国内山行記録    熊谷トレッキング同人

群馬・宝川ナルミズ沢遡行
安藤太郎


2004年9月18日〜20日

 参加者 4名 CL・浅見 SL・木下 食料会計・駒崎 記録気象・安藤
 天候  18日夜 小雨
     19日  晴れのち時々曇り 夜半に雨
     20日  晴れ時々曇り 夕方から雨
 気温  彼岸時期としては高め


行動記録

18日 20:30 江南 21:15本庄 0:00登山口林道ゲート

19日  6:30 登山口出発
     9:30 ナルミズ沢徒渉点(入渓準備して徒渉)
    10:05 ウツボキ沢出合=広河原(入渓)
    11:20 ナメ滝の続くあたりで大休止
     (散在するポットホールを見物しながら進む)
    13:15 大石沢出合着 幕営場所選定
    13:30 幕営地決定 テント設営 ティータイム
          昼寝 釣り 薪拾い 夕食準備 天気図 焚火起こし
    17時頃〜 夕食
    20:00 就寝
     (21時半頃から雨がパラつく)
    22:00 (安藤のみ)2回目の天気図

20日  4:30 起床
     6:10 幕営地発
     (6:40頃 ゴルジュ高巻き通過)
     (6:50頃 魚止め滝高巻き通過)
     7:20 二俣 右俣右岸に幕営適地
     ( 河床に苔と虫が出てくる )
     8:30 奥の二俣 給水 装備解除 草原の幕営適地
     9:15 稜線 大烏帽子山西のコル 靴履き替え
    10:55 ジャンクションピーク
    11:20 朝日岳山頂着 昼食
    12:10 山頂発
    13:30 幕営地着 テント撤収
    14:10 幕営地出発 登山道を下山
    15:15 徒渉点
    16:30 林道終点手前 捻挫処置
    17:40 登山口ゲート着

噂に違わず美しいナルミズ沢遡行記  

一日目

 夜に集合し宝川温泉先の林道ゲートまで行き、仮眠を取った。さすがに連休中で、車がいっぱいだった。釣り師も多いのだろう。

二日目

 ほぼ1年ぶりの登山が沢登り、しかもテント、食料、登攀用具担いで。歩き出し2時間の林道アプローチで完全バテバテ、その後の行程が心配になり、体力不足をCLとSLに申告。急遽、本日の予定を大石沢出合までとし、翌日は幕営用具をデポして空荷で遡行することに変更してくれた。
 しかし広河原から入渓し遡行を始めたら、傾斜が緩やかな沢のせいか快適順調、美しいエメラルド色の深淵や、快適なナメをゆっくり歩き、ポットホールが点在する珍しい河床をじっくり観察し、暖かな岩床で大休止、のんびり歩いたけれど13時過ぎには出合に到着、でも良いテン場もあったので幕営決定。
 昼寝したり、竿を出したり、薪拾いをしたり、明るいうちに焚火を始め、飯盒で飯を炊き、主婦の知恵でおいしいおつまみと、辛くてうまいキムチ鍋が出来上がり、お酒もすすんでお腹がいっぱいになる頃には、夏の大三角形が頭上に輝きだして・・・山の唄も少し・・・

三日目

 今日は荷は軽いが長い行程なので暗いうちから起き、昨夜のご飯の残りとミニベビースターと卵スープの「ラーゾー(ラーメン雑炊)」で眠気を覚ます。昨日の疲れは全身筋肉痛となって表れたが、歩けないことはないようだ。
 沢の水はそれほど冷たくなくて、小滝や淵は躊躇なくジャバジャバ進むけど、やはり朝から泳ぐたくないのでゴルジュは高巻いて、魚止めの滝も簡単そうだが先は長いし、ザイルも濡らしたくないので高巻き、今回ザイルは使用せず。
 二俣から右俣に入る。気持ち良さそうなテン場があちこちにあったが、流木は殆どなく、焚き火を楽しめた大石沢出合は正解だった。沢は細くなり苔が覆う。
 そしてなぜか大量の得体の知れない何かが!踏み出す足先、差し出す手のホールドに蠢いている! 女史の耳元で「プチプチプチプチ」とささやけば、ほうらもう足が出ない(クスクス)。水流が細くなるので早く水を汲みたいが、遡っても遡ってもそのゲジゲジだかムカデだかはいつまでもうごめいている。最後の草原地帯でやっと奴らは消え、それでも透明な水筒の中身を何度も確認した。
 ツメの草原は噂に違わず爽やかな風景だった。しかしその後のジャンクションピークまでの踏み跡程度の藪こきと急登がつらかった。そして朝日岳山頂からの下山道も、迷いやすい露岩帯や滑る笹薮があり一筋縄ではいかなかった。

 テン場に戻ったときはもう足がガクガクだったが、まだこれから3時間は歩かなくてはならない。すばやく撤収し、ヌタヌタの登山道を歩き、徒渉点を越えてもうすぐ林道という時CLが休憩を宣告。どうやら山頂の下りの草付で足首を捻挫したらしい。医師と薬剤師が鎮痛剤を処方し、失業者は救急法で習った三角巾の固定法で足首を縛った。足首の横の動きを制限するような縛り方なので、蹴り出す動作では痛みがあるが、横へのくじくような動きは抑えられたようだ。
 それでもほぼ予定通りの時間に下山できた。その途端に大粒の雨が降り出し、靴を履き替える間もなく車に乗り込み、風呂場まで遠く、階段がある宝川温泉はパスして湯テルメ谷川で汗を流し、すぐ近くのレストランで食事。向かいのコンビニでSL医師の指示で氷を購入し、CLは患部を冷やしながら帰途についた。




 *捻挫の記               
                                             浅見 政人


 『捻挫をしたのは朝日岳直下のクマザサ帯。朝日岳山頂付近の池塘が広がる付近は木道が整備されて歩きやすい場所だが、宝川方面に下る道はほとんど歩かれていない様子で膝丈のクマザサが左右から道を覆うような状態だった。クマザサの陰のくぼみに右足をとられて転倒した。右足首の外側を伸ばした感じで、外側の痛みが強く、内側にも時々痛みがある。しばらくすると痛みも弱まったのでそのまま下山する。この時点で個人装備の中にあった三角巾を巻く応急処置をしておけばもっと楽だったと反省している。
  よかったのは、下山靴としてハイカットの軽登山靴を履いていた事、この時点で、テントなどの幕営用具がなく、比較的荷が軽かった事。捻挫後は急斜面の下りだが、この時点では痛みが弱く、普通に降りることができた。大石沢の出合のテントまで戻り、荷物を撤収する。あと3時間ほど、斜度はないが、荷は重くなった。まだ大丈夫だと思ったので、捻挫の事はメンバーに伝えず、下山した。しかし、宝川の徒渉点を超えたあたりから、腫れが来て、右足を踏み込めなくなってきた。ずっと最後を歩いていたが、他のメンバーについていけなくなってきた。
  休憩をとってもらい、捻挫の事を伝えた。ここで木下さんから消炎鎮痛剤をもらい、服用。共同装備のザイルを木下さんに、テントのポールを駒崎さんに持ってもらった。捻挫はテーピングも考えたが、靴を脱ぐと痛みが増しそうな感じがあったので迷っていた。安藤さんが三角巾で靴の外側から固定することをすすめてくれたので、三角巾を出して固定してもらった。横方向のぐらつきが押さえられて随分楽になった。オーダーを変更してもらい、最後を安藤さんに任せて約1時間の歩きで無事宝川の林道ゲートに到着することができてホッとした。
  今回、自分がリーダーをしていて捻挫をしてしまい、心配かけたくない気持ちから、メンバーに伝えずに3時間あまり行動してしまったが、逆の立場だったら、「何で言わないんだ」と思ったであろう。メンバー全員が、自分の体調・コンディションを伝えることがパーティーを組んで行動する時の鉄則だと思う。今後の戒めとしたい。人に迷惑をかけてはいけないと強く考えすぎない事が大切だと思った。