国内山行記録    熊谷トレッキング同人

南アルプス聖岳・赤石岳・荒川三山縦走報告

山域山名:南アルプス聖岳・赤石岳・荒川三山(静岡県)
期  日:2006年7月28日(金)〜8月1日(火)
参 加 者:大島、軽石、駒崎、木村、浅見
     他団体(U7山岳会)5名 青木、菊地父、菊地子、川崎夫妻 (5名+5名)

‘はじめに、参加者一人一人に感謝!’
 今回の山行は、U7(ユーセブン)山岳会の代表である青木由起夫氏の発案で、約1年ほど前から計画されていたものであり、南アルプス南部の中心を歩く魅力あるコースだったので、青木氏の了解のもとに熊トレの例会で参加者を募集したところ、浅見を含めて5名の参加となり、U7が日程や体力的な事などで予想よりも参加者が集まらず同じく5名の参加で合計10名の合同山行となった。

 U7山岳会は飯能日高の小中の教員を中心に自然発生的にできた会で、毎年7月下旬から8月はじめにかけて登山を続けている。代表の青木氏は浅見の高校の同級生であり、今思えば、山岳部員である彼の話を聞くうちに自分も山に登りたくなったようだ。また、仕事が同じなので勤務地は別でも会合などで顔を合わせる事があり、ある時「今度、木曽駒に行くから一緒に行かないか」と声をかけてくれた。就職以後、山から遠ざかっていた私が再び登りはじめるきっかけとなった。私はその後、熊トレに入って山スキーや沢登りも再開し、今に至っているがU7のメンバーとも年に一度の夏山を楽しんできた。とはいってもインドに行ったり、ニュージーランドに行ったりしてさぼってしまった年もあるのが正直な所である。

 私にとっては、登山の世界に誘ってくれたU7も、海外や雪山や渓谷に世界を広げてくれた熊トレも大切な山仲間である。今回の南アに大嶋会長以下4名の仲間が参加してくれて、U7と交流をはかれることが楽しみであったが、かすかに不安な気持ちもあった。

 これについては、参加者の一人一人が、それぞれの山に対する考え方は違ったとしても、相手の気持ちを尊重してくれたので、心配は無用で、とても気持ちのよい交流ができたし、ともに南アルプスの大自然を満喫することができたと思う。ありがとうございました。


行動記録:

‘遙かなり、南アルプス’
7/28 熊谷(7:00)=日高=中央道=御殿場=清水IC=畑薙P(2:30)
7/29 聖岳登山口(8:55)→出会小屋跡(9:30/9:40)→聖沢橋(10:25/10:35)→
   造林小屋跡(11:30/11:40)→乗越(12:40/12:55)→岩頭展望台(14:15/14:30)→
   聖平小屋(15:23)

 熊谷を夕方7時に出発し、中央自動車道・談合坂SAでU7隊と合流し、畑薙第一ダムについたのが深夜2時半になっていた。静岡市街から井川湖までの峠道が狭くて遠い。テントを張って仮眠。

 8時の東海フォレストのバスに乗り、聖沢登山口で降りる。バスは東海フォレストの山小屋を利用するので往復無料である。ここから寝不足の体にむち打つ樹林の中の急登が始まる。蒸し暑くたまに雨が落ちる中をひたすら登る。聖沢の中流部は登山道からは見えないが深いゴルジュと大滝をもち難しそう、聖平の源頭部は静かで美しい。聖平小屋は東海フォレスト系の山小屋ではないが、おいしいお茶のサービスがあり印象は良い。


‘天上の楽園・聖岳へ’
7/30 聖平小屋(5:05)→子聖岳(6:30/6:45)→聖岳(8:00/8:15)→聖兎のコル(9:12/9:20)→
   兎岳(10:10/10:30)→小兎岳(11:10/11:20)→中盛丸山(12:12/12:27)→
   百間洞山の家(13:25)
(以上先行隊の記録、奥聖往復隊は1時間遅れ、さらに大沢岳を経由したメンバーは30分遅れ)

 快晴の中を茶臼岳、光岳を見ながら登る、やがて富士山も姿を現すが、この方向から見ると双耳峰のように見える。聖岳山頂からは、これから登る赤石岳の姿が大きく迫り、南アルプスの最深部にいることが実感できる。今回の4日間、基本的にはU7隊と熊トレ隊に分かれU7が先行する形で歩いたが、ここからは空荷で奥聖岳を往復する5人と先行する5人の混成の2グループに分かれた。先行隊が大嶋、軽石とU7の青木、菊池父子。奥聖往復組はU7の川崎夫妻と駒崎、木村、浅見。先行隊の人たちには悪いが、奥聖までの稜線は高山植物のお花畑で天上の楽園のようである。写真撮影に夢中になり往復で1時間かかってしまった。

 混成パーティーで百間洞山の家を目指す。後発隊は木村さんが先頭を歩く、はじめて一緒に歩く川崎夫妻のことも考えていいペースで歩いた。兎岳、中盛丸山を越えて行くが、1つ1つの山のアップダウンが大きいのが南アルプスの特徴である。中盛丸山を過ぎた所で川崎夫妻は直接小屋に降り、木村、駒崎、浅見は大沢岳を経由してから小屋に降りた。大沢岳を過ぎると赤石沢・百間洞沢の源頭部の景色が広がり、ここも機会があったら沢で登りたい所である。山小屋はログ風の建物で雰囲気が良く、夕食までの間に交流を深めることができた。夕食は名物のトンカツ。


‘大展望のロングトレール’
7/31 百間洞山の家(4:05)→百間平(5:10/5:25)→赤石岳(7:20/7:35)→
   小赤石岳(8:05/8:15)→大聖寺平(9:00/9:15)→荒川小屋(9:40/9:50)→
   前岳分岐(11:20/前岳往復/12:00)→中岳避難小屋(12:10)→
   荒川岳手前のコル(12:35/12:45)→悪沢岳(13:28/13:45)→丸山(14:10)→
   千枚岳(14:45/15:00)→千枚小屋(15:30)

 行動時間11時間半におよぶ3000mの稜線歩きだが、天候と中岳のお花畑に励まされて快適に歩くことができた。赤石岳からは昨日越えてきた山々と、これからたどる荒川三山が望むことができ、あまりのんびりせずに先を急ごうということになる。赤石と荒川の間の大聖寺平は奥西河内沢の源頭部、ここも実力をつけてから訪れたい所である。

 荒川小屋を過ぎ、中岳までの大斜面は一面のお花畑の中をジグザグに登る。しっかり前岳のピークも踏んで、最高峰の悪沢岳を目指す。岩峰がいくつもつきだしている景色は悪沢の名にふさわしいと思った。ここから千枚岳までは固有種のタカネビランジを見つけながら歩く。千枚小屋では先行したU7隊と1つのテーブルを囲んで乾杯をした。

‘ハプニングをすり抜けて無事下山’
8/1 千枚小屋(4:00)→見晴台(6:30/6:35)→清水平(7:00/7:05)→椹島(8:45)
   バス乗車(10:30)=畑薙ダム(12:30)

 この日も天気に恵まれて、快調に椹島まで下山した。みんなで記念撮影をしてバスに乗り込んだが、畑薙の大吊り橋付近で崖崩れによる電線の切断により、バスが通れなくなっていた。一部を歩き、工事用や警察の車によるピストン輸送によってどうにか1時間程度の遅れで畑薙ダムの駐車場に着くことができた。無料の赤石温泉で汗を流し、東名・由比PAの桜エビのかき揚げを食べて、解散となった。遠いけど、だからこその魅力のある南アルプス南部だったと思う。いつか光岳にも行きたいですね。       (浅見記)