結成10周年記念企画記録    熊谷トレッキング同人

山上の庭園に遊ぶ 苗場山

山域山名:苗場山(新潟県)‘熊谷から見える山’
期  日:2006年7月9日(日)〜10日(月)
参 加 者:CL浅古 SL川辺 逸見、駒崎、木村(計5名)

行動記録:
7/9 熊谷(6:00)=和田小屋下駐車場(8:30/9:00)→和田小屋(9:35/9:50)→六合目(10:20)
 →休憩(10:35/10:45)→中ノ芝(12:00/12:30)→神楽ヶ峰(13:20)→雷清水(13:50/14:00)
 →遊仙閣(15:05)

 高速の道中、群馬県内は濃い霧と時折降る雨にやはり天気は期待出来ないかと思ったが、関越トンネルを抜けると意外と明るく、期待がふくらむ。湯沢I.C出口で、新幹線で来ていた浅古さんをひろって登山口の和田小屋へ向かう。

 準備を整え、9時出発。しかし5分もしないうちに雨が本格的に降り出し、結局最初から雨具を着けての行動となってしまった。意気消沈しながらも、とりあえず予定通り進むことにする。神楽ヶ峰の稜線まではスキー場脇の樹林の中の登り。雨も止まず黙々と登っていく。場所によっては雨水が小川となって道を流れており歩きづらい。湿度、温度とも高く大汗かきながらの登り、しかも羽虫がやたらとたかってきてうるさい。ジタバタしながら進んでいく。林間や谷間にはまだ雪が残っている所もあり、今年が大雪であったと改めて思わされる。道端にはイワカガミやミツバオウレンなどが咲き、慰められた。

 中ノ芝まで来ると、雨もやみ、視界が開けた。越後の山々も眺められる。ちょうどお昼時でもあったので、ここで昼食休憩とする。そばにはワタスゲの揺れる小池塘もあり、ようやく苗場山という感じになってきた。

 この先も雨は降ったり止んだり。暑いので、傘持参の川辺さんと木村は傘を差して進む。行き交う登山者も結構傘を差しており、この時季は傘があったほうが快適だろう。神楽ヶ峰は登山道脇の小突起といった印象で、駒崎さんは拍子抜けしていたようだ。ここを越えると苗場山本峰がそのどっしりとした姿をあらわす。雷清水の冷たい水で喉を潤し、鞍部に向かって下る。鞍部のあたりはモミジカラマツ・ミヤマカラマツの白い花のお花畑できれいだった。

 ここからは、山頂に向けての最後の急登を頑張る。やがて視界を遮るものが無くなり、山頂台地の一角に出た。山頂も雪が残っている所もあるものの、大小の池塘が点在するこの景色は、まさに「神々の田圃」だと思う。遊仙閣で受付を済ませた後、さっそく散歩に出掛ける。広大な台地上に登山者はほぼ我々のみ、思い思いに散策したり、写真を撮ったり‥。時折小雨が降るもののガスはかかっておらず、視界が効くことがありがたい。十分に楽しんだ後、小屋に戻る。

 今晩の遊仙閣の宿泊者は我々のみ。夕食時には、昔、世田谷労山に加入していたという主人の高波氏よりワインまでご馳走していただいた。(遊仙閣は労山カードで300円引き)


7/10 遊仙閣(7:00)→頂上台地末端(7:40)→1850m(8:25/8:35)→1650m(9:25/9:40)→
 フクベの平(10:05/10:15)→最初の鉄橋(11:25/11:35)→赤湯温泉山口館(12:15/13:35)→
 見返りの松(14:15/14:25)→鷹ノ巣峠(14:45/14:50)→林道終点(15:40)→
 林道ゲート(16:05)=和田小屋(17:00)=熊谷

 昨夜より、強い雨が屋根をたたく音が聞こえ、本日の行動がどうなることかと思ったが、朝方には雨が弱くなり一安心。山頂の標識の所で、「見える山」の証拠写真を撮り出発する。  
 台地末端までは、また景色を楽しみながらゆっくり歩く。朝なので昨日より空気が澄んでいる感じがする。高波氏より教えていただいたヒメシャクナゲの花も見つかり、早速カメラにおさめる。台地末端からは最初は岩場の急下降。雨で土も崩れやすくなっており、注意しながら下る。しばらく降りた所で振り返ると、台地から小滝が流れ落ちているのが見え、まるでギアナ高地のようだ。

 この後は、ゆるやかな樹林の尾根道と急坂を繰り返す。倒木や木の根で少々歩きづらい。やがて出たフクベの平は美しいブナ林の平坦地。ここを過ぎると赤湯に向かっての急坂一辺倒の道となる。カツラやトチの巨木がすばらしいが、道は荒れているところがあり、崩れやすい砂礫の急斜面の通過や、大雨のためか沢沿いに深くえぐれている場所などがあり、気を使った。最近はこのルートはあまり歩かれていないのかもしれない。天気も晴れてきて暑く、水場の冷たい水がありがたかった。

 長い下りの後、やっと沢に架かる鉄橋に降り立ち、吹き抜ける涼風に一息つく。小尾根を乗り越し、河原を少し歩くと赤湯温泉に着いた。昼食をとった後、早速温泉に入らせてもらう。男性用の薬師湯と女性用の青湯、河原沿いに玉子湯がある。茶褐色の湯で、湯温も丁度良く、いい湯であった。

 ここからは後は下るだけ、と思っていたら、いきなり鷹ノ巣峠への登り返しの急登。温泉で体温が上がっていたせいもあり大汗をかく。見返りの松で携帯でタクシーの予約を入れ、峠からは今度こそ下るのみのはずであったが、もうすぐ林道という所で思いもよらぬ難関が。なんと最後の鉄橋が土台が崩れ真ん中でVの字に折れ曲がっている!鉄パイプの補強とロープで何とか通れるようになっており通過出来たが、見た瞬間はもう苦笑するしかなかった。

 あとは林道を30分程でタクシーの待つ林道ゲートに着き、和田小屋に戻る。帰りも新幹線利用の浅古さんと越後湯沢駅で別れ、平日でガラガラの高速を快適に飛ばして帰路に着いた。この時季としては満足すべき楽しい山行でした。          (木村記)

『苗場山で出会った花(逸見記)』
 マイズルソウ、ショウジョウバカマ、コイワカガミ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、
 チングルマ、ユキザサ、アカモノ、ウラジロヨウラク、ハクサンチドリ、イワナシ、
 コミヤカタバミ、ズダヤクシュ、イワイチョウ、モミジカラマツ、ミヤマカラマツ、
 ミツバオウレン、エンレイソウ、オノエラン、ヤマガラシ、オオバノヨツバムグラ、
 シラネアオイ、ツバメオモト、ヒメシャクナゲ、ギンリョウソウ、ネバリノギラン、
 ワタスゲ、ヤグルマソウ、ウスユキソウ、コケイラン(ササエビネ)、ヤシオツツジ