国内山行記録    熊谷トレッキング同人

個人山行
室堂から五色ヶ原、薬師岳縦走

山域山名:北アルプス・五色ヶ原、薬師岳(富山県)
報 告 者:宮田(単独)
期  日:2007年8月17日(金)〜20日(月)

行動記録:
8/17 地鉄立山駅P=室堂(8:00)→浄土山(9:00/9:10)→鬼岳東面(9:50/10:00)→
 獅子岳(10:25/10:45)→ザラ峠(11:25/11:35)→五色ヶ原(11:55)→キャンプ指定地
8/18 五色ヶ原(5:55)→蔦山(6:40/6:50)→越中沢岳直下(7:55/8:15)→越中沢岳(8:25)→
 鞍部(9:10/9:30)→スゴノ頭(9:55/10:00)→スゴ乗越(10:40/10:50)→スゴ乗越小屋(11:40)
8/19 スゴ乗越小屋(5:00)→間山(6:10/6:20)→北薬師手前2750m(7:10/7:20)→
 北薬師岳(8:00/9:10)→薬師岳(9:50/11:00)→薬師平(11:35/11:45)→薬師峠(12:30)
8/20 薬師峠(5:35)→太郎平(5:55/6:10)→1934手前(7:10/7:20)→折立(8:30)

 日本最高気温40.9℃を記録した8月16日昼過ぎに熊谷を脱出、国道18号をのんびり走り、ここも暑いぞ32℃の軽井沢を通過、ETC通勤割引圏内に入った北陸道で富山へ。立山駅に午後10時着、駅前の無料駐車場は9割方埋まっていた。仮眠。

<1日目・天候;霧後にわか雨>

 午前6時の始発ケーブル、バスに乗って室堂へ。稜線はガスっていたが、薄日が差す空気はひんやりととても心地よい。いつもの熊谷は出勤時にすでに30℃を越えていたので、ここは天国です。いつも登っていた一ノ越は通らず、浄土山経由で稜線を登る。11月の初滑りで取り付いた斜面だ。上部はかなりの急斜面の岩場となっている。初冬の悪条件では雪崩がいつ起きても不思議でない斜度である。雷鳥のつがいに遭うとすぐに浄土山山頂に飛び出す。濃いガスで周囲の景色はない。少し歩くと富山大学立山研究所(といっても、プレハブのお粗末な建物)あるピークに出た。学生2名が空色のペンキを塗っていた。

 ここから龍王岳、鬼岳に続く稜線が険しいところ。夏道は龍王岳は西側から巻きながらの急下降。残雪が残っているとスリップは要注意、滑ったら立山カルデラに落ちていく。鞍部にはお花畑があった。鬼岳東尾根を超える部分も悪場が続く。雑誌の写真に載る残雪のトラバースは約20m程度とかなり融けていた。小尾根で休んでいると、ガスの隙間から足下に広大な御山谷が見える。東面はカール状地形で、御山谷からどのカールに取り付いてもスキーは楽しそうだ。御山谷からピークに立つのなら、獅子岳からザラ峠に下った東面に取り付くのが一番よさそう。ただし、御山谷の登り出しは2100mからになる。オートルートを目指すのもこのルートか、鬼岳〜獅子岳鞍部を目指すのがよいだろう。

 獅子岳南側は広い稜線状に大きなお花畑があった。とても気持ちよい場所だ。時折、黒部ダムの湖面も見える。歴史とロマンの峠のザラ峠は、荒涼とした雰囲気。今日はカルデラ側からガスと強風が吹く抜け、とても寒い。五色ヶ原まではちょっとした急登で到着。この辺りから左膝の痛みが出てきた。明日以降の行動に幾分不安がよぎる。

 ヒュッテは2,3年前の台風で被害をうけて泊まれそうにない状態、内部は荒廃していた。山荘でキャンプの受付。お盆までは混雑していたが、その後は100名程度の客数らしい。(あとで行動中に遭った登山者に聞いたら、お米は硬く不評であった)

 木道を10分ほど下るとキャンプ場。キャンプ場のすぐ上の斜面が、一番きれいなお花畑があった。テントを設営して昼食。するとすぐににわか雨が降り出した。テントで寝ころんでいたが、とても寒く、セーターを着ようか迷ったくらい。日没直前にガスが晴れて、烏帽子から野口五郎、赤牛岳の景色が眺められる。この角度からみる黒部源流の展望は初めてなのでうれしかった。今日のテントは10張ととても静か、学生2パーティ以外は単独か2名テント。このキャンプ場は豊富な水場もあって、天候が良ければ最高の別天地です。

<2日目・天候;霧、小雨>

 朝から濃いガスで展望はまったくなし。山荘まで登り返し、鳶山を目指す。やっぱり左膝が痛む。ちょっと絶えられないような痛みを感じたので、急きょテーピングを巻く。鳶山についてもまったく視界なし。もう、今日はあきらめてひたすら歩くしかないか。急坂を下って鞍部から越中沢岳に取り付く。北面は平らな地形で残雪期は方向を間違うと迷うかもしれない。尾根が細くなって登りになった頃に雨が降り出す。仕方なく雨具を着る。すぐに越中沢岳山頂へ。山頂では4,5名の登山者と滋賀大ワンゲルパーティがいっしょになり、この日一番賑やかなひととき。今日の五色ヶ原からスゴの稜線は20〜30名程度しか登山者はいなかった。北アルプスでは蓮華〜舟窪〜烏帽子と並ぶ不遇の稜線なのか。地形図をみても、2500m程度のマイナーな山ばかり、しかもアップダウンがきつい点も同じである。

 越中沢岳からは足場の悪い下降が続く。安定した足場を選べず、膝の痛みが増していく。ガスも薄くなったので、鞍部で雨具を脱ぐ。鞍部からスゴノ頭へはもの凄い急登、頭で稜線は90℃方向転換してスゴ乗越までの下りは急下降、この急坂の春の雪付きはどのようになっているのか。細い岩尾根ではないので、条件はそんなに悪くないのかもしれない。この辺りでもう膝は限界に近い。数歩歩いては休むの連続であった。スゴ乗越は低い樹林帯に囲まれた静かなところだった。

 スゴ乗越までは、小ピークを2つ登らなければならなかった。最後は足を引きずるようにテン場へ。何とか登り着いて、ひとまず安堵である。キャンプ場は20張り程度とこじんまりしたもの、水場とトイレは100mほど離れた小屋を借りられた。稜線の小屋なのに、間山にから引いた水は豊富で、ここもとてもよいテン場である。

 昼食を食べて、テントで昼寝。膝に昨日と同様スプレー式鎮痛剤を吹きつけ、安静あるのみ。今日のテントは滋賀大と2名テントと3張りだけ。小屋の宿泊も10名くらいで、とても静かな場所だ。夕方ガスが晴れて、烏帽子から赤牛岳、水晶岳、雲ノ平までの夕照の雄大な山々が見えた。ここまで来た甲斐があったというもの。ここからみる今日越えた越中沢岳とスゴの頭はとても大きく見える。夜には満点の星空、明日は晴れそうだ。

<3日目・天候;快晴のち激しい雷雨>

 今日は薬師岳を越えて薬師峠まで。昨日のようなアップダウンはなく、山頂まで登り続けるのみ。膝のテーピングもしっかりと巻いて、膝上をバンダナで縛った。すると、痛みはグッと和らいだ。サポーター機能を兼ね備えたノースフェイスの夏用メッシュタイツも初日から履いているのだが、やはりテーピングの威力は凄いと認識。

 暗いうちにテントを撤収。間山の登りで日の出を迎える。黒部源流を囲む山々を眺めながらの登りで、とても気分がよい。吹く風も秋のような感じで、汗はまったく出ない。結局、今回は全行程を通じて、汗を拭くタオルは出さずじまい。膝の状態も悪く、息を切らすようなペースで行動しなかったためか。

 北薬師北方2832mピーク下の2重山稜に大きなお花畑があった。ピークを越えて北薬師までは広い稜線散歩で、人も少なく最高の場所です。北薬師山頂は金作谷カールの彼方に槍が見えて、黒部川上の廊下もよく見える。本峰より景色は抜群によく、お気に入りのピークでゆっくり休む。金作谷の雪渓は黒部川まで続いている。今日は昼過ぎまでにテン場に着けばいいので、ここで1時間以上も休んでしまった。

 本峰までは細い稜線を東西側につけられた夏道をいく。山頂に着くと、太郎平からの往復登山者がたくさんいるので、とても賑やかになった。昨年GWに滑り込んだ中央カールを見下ろす。また来てもいいか。昼食休憩を兼ねて、ここでも1時間休む。単独だと気兼ねなく自由に居られるのがよいところ。あとは薬師峠まで下るのみ。広大な薬師沢を滑降した記憶を辿って下る。沢にはまだ雪田が残っていた。途中でたくさんの登山者とすれ違って峠へ。

 テント設営して1時間ほどで北ノ俣向こうから雷鳴がとどろき、ほどなくどしゃ降りとなる。落雷も何度あった。ひとつ去ってまたすぐに第2団が通過。3時間くらいは降り続けた。午後から登っていった登山者は大丈夫だろうかと心配になるような雷で、夏山での午後の行動は慎重にしないといけないと改めて認識した。(あとで聞いたら、森林限界の登山者はハイマツに隠れていたらしい)今日のテン場も10張り程度、最盛期と比べたら嘘のようだ。でも、山荘は定員いっぱいでかなり混雑していたらしい。

<4日目・天候;快晴>

 今日は9時30分のバスに間に合えばいいので、明るくなってからゆっくりと撤収。とてもよく整備された登山道を下っていく。膝の痛みも大したことなく、快調に下降。バス発1時間前に折立に到着。バスに乗って有峰口駅で富山地鉄に乗り換えて立山駅駐車場へ。

 立山山麓温泉で汗を流し、魚津できときと寿司をたべて、親不知を眺めてから高速で家路へ着く。