国内山行記録    熊谷トレッキング同人

大雲取谷・小雲取谷 敗退

山域山名:奥多摩・日原川水系・大雲取谷〜小雲取谷
期  日:2008年8月2日(土)〜3日(日)
参 加 者:L浅見 K 木村 栗原昌

行動記録:
8/2 行田(4:30)=鴻巣(5:00)=東松山(5:30)=日高(6:00)=大ダワ林道入口(8:40/9:20)→ 大雲取谷出合(10:25/10:45)→昼食休憩1207m(12:45/13:15)→ビバーク地(13:30)

 自宅を4時半に出発し、栗原さん、Kさんをひろって日高で浅見車に乗って日原へ。林道はダートな道でオフロード車でないと少々厳しい。予定どおり大ダワ林道入口まで車で乗り入れることが出来、早速入渓準備をしていると、我々の後にやってきた釣り師さんから実は日原林道は本日開通予定で少し早めに昨晩ゲートが開いたことを知らされる。我々はラッキーであった。

 大ダワ林道入口から5分も下ると長沢谷。入渓し下降していくと、すぐに2m程の滝。ヘツるのは簡単だが滑り台が楽しめそうなので栗原・木村は早速トライ。その後は河原歩きで、途中1箇所だけ5mの滝がある。ここも飛び込むのも有りのようだがさすがに怖いので右岸をヘツって下り、出発から1時間程で大雲取谷出合に着いた。

 大雲取谷に入って少し進むと左に大崩壊の後があり、その後滝と釜の連続と参考にした遡行図にはあったが、実際には崩壊地の先がさらに崩壊しており、巨岩がゴロゴロしていて谷が埋まってしまっている様だった。楽しめる釜や滝がいくつか埋まってしまったようで一瞬がっかりしたが、その後も泳げる釜や滝は連続して出てきたのでそちらを大いに楽しむ。

 権衛谷出合を過ぎ、さらに進んでいくと何箇所かビバーク適地があり、すでに休んでいるパーティもあった。小雲取谷出合から500m程手前と思われる地点でこれ以上先にはよい場所がないと思われるためビバーク決定。薪を集め、焚き火をしながらのんびり過ごす。Kさんが飯盒の中身をぶちまけるアクシデント(笑)があってご飯が目減りしたが、それもご愛嬌。まずは夏の沢を満喫した一日目であった。

8/3 ビバーク地(6:10)→小雲取谷出合(6:45)→1300m(7:30/7:45)→<Kさん介護>→ 小雲取谷出合(11:55)→大ダワ林道入口(13:30)

 昨晩は寒くもなく快適に眠ることが出来た。昨日ご飯が無くなってしまったのでパンとコーヒーで朝食を済ませ出発。

 出発後30分程で小雲取谷出合に着き、小雲取谷に入る。最初小滝が連続する。特に難しい所は無いが、まだ気温があまり高くないのでなるべく濡れないようにしながら順調に越えて行く。

間もなくゴルジュ帯となり、その奥に大きめの滝が見えた。遡行図にあるF1(8m)だ。手前で小休止の後滝下へ。右岸を高巻くことも出来そうだが滝中にもホールドは豊富にあるように見える、夏だしここはシャワークライムで直登でしょう、という事で浅見さんがまず登る。

次にKさんがロープで確保しながら取り付くが、最初の一歩が中々登り切ることが出来ない。かなり長い時間滝に打たれていて大丈夫かと思いはじめたころ、よろよろと戻ってきて、その場にへたりこんでしまった。顔面蒼白で唇も紫色で震えが止まらない。ショック状態に陥ってしまったものと思われた。少しでも暖かくするように雨具を着るよう言ってみるが、着る気力もないようだ。浅見さんも降りてきてこれ以上遡行を続けるのは無理と判断。とにかく日の当たる場所まで行って体を温めるのが先決と、木村、栗原は荷物を持って先に下り、湯を沸かして待つ。しばらくして浅見さんに支えられながらKさんもどうにか降りてきた。その場にマットを敷いて横にして休ませる。乾いた服に着替えさせ、ツエルトをかぶって中でガスコンロを焚いて暖める。中々回復しないが、多少しゃべれる様にもなり、ガスも切れたので、荷物を分けて持ちゆっくりと下り始める事とした。動いている内にいつものKさんの調子に戻ってきたので一安心。

小雲取谷出合まで戻って休憩の後、背後の斜面を100m弱登って大ダワ林道にエスケープ。林道を1時間程で無事下山となった。                              (木村記)




奥多摩・小雲取谷敗退について

浅見政人

1.敗退までの経過


 安定した晴天で、この夏一番の暑さとなった8月3日の日曜日だったが水の怖さを思い知らされる沢登りになってしまった。

前日に長沢谷を下降し、大雲取谷を遡行して、約1150m付近でビバーク。当日は快晴。6時に出発して30分ほどで小雲取谷出合い(1200m)に達し、ここから小雲取谷に入る。

 ゴルジュの中の小滝を快適に登っていった。ゴルジュ帯を抜けたところで休憩。7時くらい。ここからF1(8m・標高1350m)が見え、先行パーティーが左側を高巻き立木を支点に懸垂下降で滝上に降りていた。

 出発して5分で滝下につき、全容を眺めてみると先行パーティーの巻き道はガレ場と草つきで安全とは思えなかった。ならば水流の左からとりつき、シャワークライムで水流の右側にでて登った方が安全だと判断した。ガイドブックにも水流の右側を登るとある。

 滝そのもののグレードは3級程度で難しくはないと思うが水量が多く、シャワークライムは全身に強い水流を浴びる。しかし、一番強く水を浴びる部分は釜から1mほどの高さで落ちてもダメージは少ないと考えた。

 前日から、浅見・K・木村・栗原のオーダーで登っていたので、そのまま浅見がザイルなしで登った。はじめ左側を一段登ってから水流の中をトラバース気味に右側に登ろうとしたが水流が強くて足の置き場がない。あきらめて釜の中から直接水流の正面にとりついた。全身ずぶ濡れで強い水圧を感じるが水圧に抵抗しながら体をズリ上げるとしっかり立てるフットホールドがあった。そこからは水流の右側を登れるが滝上にでるところがホールドがのっぺりしていて高度感もあると感じた。

 安全のために3人を登らせるときはロープを使おうと考えた。滝右側の立木を支点にしてセルフビレーを取り、30mのロープを投げて、登ってくる様子が見えるように肩がらみで確保した。

 順番通りにKさんがロープをつけて登る。はじめ一段登ってからトラバースしようとするがやはり難しい。水温が低いので眼鏡が曇ってしまい、外してザックにしまってから、今度は水流の中を登る。水流の中一歩目のフットホールドまで乗り移るのに苦労する。ロープははじめ張り気味にしていたが水流の中で動けなくなっては危険なので意識してゆるめにした。Kさんの話でも右足にもう少しで乗れそうなのでがんばっていたと言う。

 上から見ていると水流の一番強いところで水にたたかれるヘルメットが見えるが1分間くらい全く動かないので不安になる。釜のそばでみていた二人にも心配な表情が見え、Kさんに近づこうとした。Kさん自身もあきらめて釜の中に降り、ふらつきながら岸に上がって座り込んでしまった。栗原さんがKさんのハーネスからロープを解いた。

 少しでも早く下に降りたかったのでロープを引き上げ、立木を支点にして懸垂下降で降りようと考えた。ロープを投げようと下に声をかけると木村さんが大きくバツを作っている。栗原さんがKさんの様子を知らせにロープなしで登ってきていた。

 「(Kさんは)もう登れそうもない」という意見を聞いてこのまま懸垂下降で降りることを伝えるが、栗原さんは懸垂下降の経験がないことがわかり、左岸のルンゼまではっきりした踏み跡があったのでそこを降りるように指示を出し、自分は懸垂ですぐに滝下に降りた。

 すぐにKさんに声をかけるが顔色が真っ青で頭痛を息苦しさを訴える。木村さんとルンゼを降りてきた栗原さんに指示を出して少し下ったところで日が当たっているところでKさんを休ませるように準備してもらう。Kさんに付き添ってゆっくり降りたが震えと吐き気と頭痛でつらそうだった。

 二人が日の当たる場所でお湯を沸かして待っていてくれたが、吐き気がして飲めない。ツエルトとエアマットを出して横たわらせ、乾いた服に着替えてもらった。みんなでツエルトをかぶってガスコンロを焚いて温度を上げた。顔色は良くなったように感じたが、体調は回復せず、何度か嘔吐した。約1時間体調の回復を待ったが大きな変化を無かった。

 冷たい水に長く打たれたこと・ほとんど息ができない中で登ろうとがんばったこと・水の圧力を頭に受け続けたこと等が原因だと考えられる。ガスが無くなって火力が衰えたのを機に少しずつでも下山にかかることにする。

 小雲取谷出合まで標高差150mを下降してそこから大雲取谷と並行している大ダワ林道(登山道)に上がって下山することを確認する。Kさんの荷物を3人で分担してできるだけ軽くしてゆっくりと歩き出した。酸欠による頭痛と吐き気があるのならば、横たわらせて休ませるより歩かせて血流を良くすることで回復するのではと考えたが、10分ほど歩くとKさんの体調はずいぶん良くなったようで、一安心する。

 小滝のクライムダウンでは念のために結び目を作ったロープを垂らしたがほとんど利用しないで降りていた。出合では言葉数も多くなり、ほんとうに安心する。(12:00)ここからは大ダワ林道めざして尾根上の踏跡をまっすぐに登り、標高差約50mで大ダワ林道にでる。ここで沢装備をはずして平坦な登山道を1時間弱で長沢林道の駐車場に戻った。

2.反省点

@メンバーの力を把握しきれていなかったこと。

 今回のメンバーは、一般登山に関してどのコースも問題なく歩ける体力と経験を兼ね備えている。Kさんも夏場は毎年沢登りを経験し、ずいぶん慣れてきたと感じている。今回もトップを歩いていた私の歩き方とは、まったくちがったホールドを使ってゴルジュを突破するようすを見て「沢の歩き方がうまくなった」と声をかけた。しかし、水流に抵抗して滝をよじ登ることに関しては、技術だけでカバーできない 瞬発力が要求されKさんには過酷だったと思う。リーダーとしてそこまで見通して直登ではなく高巻きを選ぶべきだったと思う。

Aパーティーとしての力量不足

 今回の沢登りは元々は万太郎本谷をめざす計画だったが、リーダー以外は沢登りに関しては初心者なので、時間のかかる大きな谷だと万一のとき危険であると例会で指摘され大雲取・小雲取谷に変更になった。

エスケープルートとして大雲取谷に平行している大ダワ林道があることが今回の大きな安心になった。もし、今回と同じことが万太郎谷の二日目におこったらと考えるとゾッとする。

 いざというとき安心して懸垂下降ができるような訓練を計画的にやっていかなくてはならない。またオーダーの組み方にしても、ロープの操作をことを考えるとどうしても自分がトップになってしまうが、本来リーダーは最後尾にいるべきだ。後にいればKさんに対するフォローもできたと思う。その意味で、メンバー一人一人がいつでも確実なロープ操作ができるように訓練をしなくてはならない。机上学習ではなく、より実践的なロープワークのトレーニングが足りなかったと思う。

B報告書をメールで送信したのが、約1週間後になってしまい。心配をかけてしまった。

 会三役、技術委員長には早急に概要の連絡をすべきだったと思う。今後、上記メンバーを携帯電話のメールグループに登録して、下山報告と安全上の問題の有無を一斉送信するなど改善したいと思う。

Cコミュニケーション不足

下山後のメンバーの報告を読んで、滝の直登にKさんが不安を持っていた事がよくわかった。その気持ちをしっかり聞いていたら、判断が変わっていたかもしれない。滝の下でメンバー全員の意見を聞くべきだったと思う。

D滝の登攀についての連絡方法について

 F1は水量が多く、滝の轟音で声が通りにくい。今回も腕で×を作ったりして意思の疎通を図ったが心もとない。トランシーバーなどで連絡を取り合うのも一つの方法だと思う。

E確保の方法について

 肩がらみ確保にした理由は、足場と立木の関係で充分に加重に耐えられると思ったこと、水流の中を登る人の様子を見てすぐに弛められるからである。ATCの使い方など検討していきたい。




小雲取谷報告
K

 みなさんにご心配ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

当日の体調は良好、それまでの遡行で特に行程がたいへんだとか危険を感じることはなく進んでいけた。問題の滝では先行グループ(2人)が高巻いていたが懸垂下降していて(自分では見ていないが)リーダーに行くしかないでしょと言われ、自分でもこの好天下シャワークライムなんだなーと思う。

 リーダーの登りを見ていて一段目の登りが自分はできるか、一段目のテラスに登れば後は行けそうな気がした。ここの一段目に水量の多さと自分のスタンスでは登れるか、無理かなーと思う。やるだけやってみなくては、また自分では滝右から行った方がいいかなーと行けそうな場所をさがす。ザイルは左におろされ左から登ることとなる。

 そのとき、無理だったらどうする。自分だけ高巻くわけにはいかず、リーダーには声が届かず、手でダメ合図をしたらリーダーは降りてこなくてはいけなくなるし、できるだけガンバってみようと思った。

 水は冷たく、左側から登ろうとしたが無理で滝下へと行くと胸の下まで水につかる。頭にガンガン滝の水が当たる中、足がかりになるところはないか、手でつかめるところはあるか、よじ登れるかやってみる。頭を上げると頭中が流れの中に入ってしまう。頭は痛く、息もできない、無理なようだがやめてもまたチャレンジしなくてはならないと思いガンバるだけガンバってみようと必死になった。

 手も足も冷たく上がらなくなってきて、これ以上やっても無理だと思いあきらめ滝から離れようとした。この時栗原さんが私を滝の上に上げようと後から手を貸してくれようとしたのがわかったが無理と合図して離れる。頭がガンガン痛く重い。くらくらでやっと水辺にたどりつく、寒く、頭が痛く、呼苦しい、右耳に水が入ったので立って出す。

 後は動くことができず、うずくまる。栗原さんが、浅見さんの所へ行くのが見えた。寒いので、ザックの上の方にあるフリースをとってはおるのがやっとだった。頭痛、嘔吐、多呼吸、寒気の症状が続く。

反省
 自分には、体格、技術的にこの滝をこえる力量がなかったことと、がまんしてねばりすぎてしまったことによりおきたと思う。その時は、自分では寒くてぶるぶる震える程度ですむと思ったので、これほど回復に時間がかかるほどダメージを受けるとは思わなかった。 滝を登るのが無理そうな時、どうすればよいか、事前にリーダーと話し合っておけばよかったと思う。



木村個人の意見
木村哲也

 今回のアクシデントに関して個人として考えると、沢登りにおいて高巻きは必ずしも安全とは言えないし、浅見さんもここを高巻いた場合降りる所が懸垂下降になる事を確認していたので、直登するという選択自体は正しいと思う。

 ただしKさんは女性であることを考えてもかなり小柄な方であり、一歩目が彼女の体格ではかなり厳しかったようだ。また女性は冷え性だといわれる部分もあり、8月号の岳人にはシャワークライムの際には雨具を着用するなどの工夫が紹介されている。Kさんも濡れは苦手のようなので、登る前に雨具を着るようアドバイスは出来たかもしれないと思った。



雲取谷敗退に関する事実関係

栗原昌史

 一本目の休憩直後にF1に到着。水量は多かったがホールドも多く、難なく登れそうに見えたので「これくらい大丈夫でしょう」と云う。浅見さんがトップで登っている間、Kさんは右側から高巻けないかと云っていたが、どう見ても滝を登る方が安全そうに見えたので、「巻いた方が危険ですよ」と云う。トップの浅見さんからロープが下ろされ、Kさんは私から?という感じでこちらを見たが、特に順番変更の指示はされていなかったのでロープ末端を指差して準備を促した。

 Kさんはロープを固定した後、釜に左側から入っていった。一歩目は滝の中に入って右足をかけなければならなかったが、足が届かないようで滝の中で暫く何とか足を掛けようともがいていた。後で見ていた私は暫く黙って見ていたが、一分ほどしても滝の中に入ったまま、まだもがいているのKさんを見かねて釜の中に入り、フォローしようと近づくと彼女は滝から出て岸まで歩いていこうとした。が、岸の直前で座り込んでしまったので近づいて見ると、顔面蒼白だったのでそこで事態の重大さに気づき固定ロープをはずしてあげて何とか岸まで行くように促した。

 上にいる浅見さんに事態を伝えようと思い腕で×を作り、その後彼女のこちらの呼びかけにも反応が鈍かったので、こりゃ撤収だなと思って、上にいる浅見さんに降りてきてもらおうと確保なしに登り始めた。滝の一歩目はたいしたこと無かったが、上の方にもう一カ所だけ難しい場所があって、水圧の中での行動を強いられた。何とか登って浅見さんに彼女の様子がやばいことを伝えて、降りることを相談した。

 浅見さんは「懸垂下降で降りよう、したことある?」と聞いてきたので正直に「ありません」と答えたすると困った顔をした浅見さんは左岸側を覗き込み、こちらから歩いて降りるように指示が合ったので、それに従い、浅見さんは懸垂で、私は壁を伝って歩いて降り、彼女のそばへと駆け寄った。
 「さっきよりは大丈夫」と力無く声があったが、全然大丈夫そうでは無かった。お湯を沸かそうと浅見さんのバッグからガスを取り出そうとしたが、お湯を沸かす前に日が当たるところに移動しようと指示が合ったので私は彼女のザックを背負って駆け足で100m位先の日が当たる場所に降りた。

 また戻ってきて、付き添いをしながら私のザックを担いで降りている浅見さんからザックを受け取り、後からついていった。着いてすぐにマットをふくらまして、マットの上で横になれるようにした。早めに来ていた木村さんがお湯を沸かしていたがそれも飲みたくないらしく、口を付けなかった。

 そのうちツエルトも広げ、四隅を我々3人で支えその中でガスを付けて中を暖めた。

 30分程その状態でいたが2〜3回彼女は外に出て嘔吐した。やがてガスも無くなったので撤収する準備にかかった。彼女の荷物を3人で分担して運ぶことにした。下山途中一カ所だけロープを出す場面があったが、それ以外はなるべく安全な、水に入らないルートを降りていった。出合まであと半分といったところで彼女が元気になりはじめたので本当にほっとした。出合まで戻った後、林道まで50mほど登り、後は林道を通って車まで戻った。



登山技術委員会(2008.8.30)の報告
南雲芳夫

1,問題
(1),茂倉谷の下山遅れ
雪渓が残っていたこともあるが、上部の藪こぎにも時間を取られガイドブックの遡行時間5:30のコースについて9時間超の遡行時間。稜線1900mが16:40着。下山は最後はヘッドランプ行動。
(2),小雲取谷の敗退
 小雲取谷のF1・高さ8m、3級程度の滝であるが、水量多し。シャワークライムを強いられたが、滝壺から取り付くも、1分以上登れず、気分が悪くなり、嘔吐などの症状が出て敗退。加温等するも症状がしばらく改善せず。(低酸素症か?)

2,問題点

(1),茂倉谷は、技術力・体力等の未熟による点が大きい。
(2),小雲取谷は、体格等の差もあるが、技術力の問題もある。
また、リーダー1名のみでは、リーダーが先行した場合に他のメンバーでの的確な対応が困難。

3,対策
(1),沢登り、岩登りなどは、意識的な技術習得が必要。この点について取り組みを強化する必要がある。
 独自学習、岩ネット、県連との共同の訓練
(2),沢登りでの複数リーダー体制
 前記の通り、沢においては、先頭を行くものとラストから全体を見る者の2名の配置が必要。
(3),余裕を見越した計画
 相対的に高い危険を伴う沢登り、岩登りには、一定の余裕を見越した計画が必要。この間の経験からしてガイドブックの水準と我が会の水準には開きがあることを認識する必要がある。
(4),山行管理の徹底
当初の万太郎谷については、経験者の意見によって事前に小雲取谷に変更された。結果的にはこうした変更は必要であった。事前の山行届け出と確認の重要性が確認された。

以上