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風雨のなかの朝日岳〜白馬岳縦走

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山域山名:北アルプス・朝日岳、雪倉岳、白馬岳(新潟県、長野県)
期  日:2009年8月6日(木)〜7(金)
山行形態:無雪期テント泊
参 加 者:宮田(単独)

行動記録:
 雪倉岳、朝日岳は幾度もGWに山スキーで登っているが、白馬岳から朝日岳の稜線はこれまで歩いていなかった。蓮華〜朝日岳〜雪倉岳〜白馬岳〜大池〜蓮華の周回ルートをテント2泊の予定で行ってきましたが…。

8/6 蓮華温泉(6:10)→瀬戸川(7:05)→白高地沢(8:05/8:15)→花園三角点下(9:15/9:25)
→五輪の森(10:25/10:35)→吹上のコル(12:00/12:10)→朝日岳(12:45/13:15)
→朝日平(13:45)
<天候:くもり、午前晴れ間あり、午後から霧、夜から雨>

 朝6時10分に蓮華温泉発。兵馬ノ平湿原から朝日岳と雪倉岳が見える。今回は展望を楽しみながら登山ができそうだ(これもぬか喜びに終わる)。急坂を下りて瀬戸川鉄橋を通過。春は雪上から川に下りられるのだが、夏はブッシュが濃くて登山道から流れを見ることもできない。白高地沢手前の水場で休憩。あまりの暑さに汗がしたたり落ちる、冷たい沢水がうまい。麓では前後して高校生パーティなどと前後して歩く

 白高地沢仮橋を通過。現在の橋は大岩のたもとにあるが、ペンキの跡から昔の橋は200mほど下流にあったらしい。この仮橋も大水が出ればまた流されてしまうかもしれない。樹林帯を抜けると大きなお花畑の一角に出た。蓮華温泉の屋根と噴気が見える。花園三角点を過ぎると次第に雲が沸いてきて展望は効かなくなったが、足下には色とりどりの高山植物が咲き誇っている。今回は花の写真を撮ることに決める。お花畑周辺の小1時間くらいで続々と朝日小屋から下山してくる登山者とすれ違う。30名くらいだったろうか。今日の登りも同じくらいで山には人が少ない。お花畑で先行者を追い抜くと、その後はひとり歩きとなった。五輪山は広い尾根と北側には湿原平坦地が階段状にあって、山スキーも十分楽しめる地形だ。

 針葉樹うっそうとした五輪の森を抜けると、明るい稜線下にも大きなお花畑がいくつもあった。小動物が足下の岩間をチョロチョロしていたので、隙間にレンズを向けて何とか写真に納める、コジョか?。

 一時、ガスが晴れて山頂下から白高地沢斜面が望めた。何度行っても素晴らしい山スキールートであるが、夏道を登っていると積雪期ルートがいかに山頂に至る合理的なルートであるかも分かる。ちょうど昼に吹き上げのコル着。昨秋の栂海新道の起点、大岩には「栂海→」「日本海→」の赤ペンキ文字がある。日本海方面につながる延々とした山々を眺めて、懐かしさに浸る。

 ガスの朝日岳山頂にも誰もいなかった。あとで単独者がやってきたが、明日、栂海新道を目指すという。やっぱり縦走派憧れのルートである。おにぎりを食べてあとは下るのみ。朝日小屋への途中樹林帯で猿の群れと遭遇、こんな高山まで進出しているのか。

 13時45分に朝日平着。小屋で受付をしてテント設営。先着は白馬から来たソロのみだった。一人缶ビールで乾杯。山に来ると午後のこのひとときが、しあわせな時間なのである。ほろ酔いで寝ていると、いつまにか高校生パーティが到着していた。結局今日のテントは7張りのみで、朝日小屋も10畳に6名とかなり空いていたらしい。



8/7 朝日平(5:05)→朝日岳(5:50)→小桜ヶ原(6:50/7:00)→雪倉岳(9:10)
 →避難小屋(9:35/10:15)→鉱山道分岐(11:00)→三国境(11:45/12:00)
 →白馬岳(12:25/12:35)→白馬大池(14:15/14:30)→蓮華温泉(16:20)
<天候:雨、午後から雷と暴風雨>

 5時5分に小雨と霧で視界30mの朝日平を雨具で出発。この夏ほど雨具に世話になった年はないだろう。水平道は通らず「あくまでも稜線をトレース」するため、また山頂を目指す。誰もいない朝日岳山頂で一応記念写真を1枚撮る。分岐から白馬岳への登山道を行く。所々崩れている箇所があったり結構細い道なので、この間のメインは水平道なのだろうか。

 小桜ヶ原は濃霧で視界なし。赤男山西面にはいくつか小湿原があって、ここにも花がたくさん咲いていた。視界があれば雪倉岳がきっと綺麗だろう。燕岩を見て、赤男山の由来に納得。雪倉岳との最低鞍部にテント適地が2カ所ほどあった(水場ありだがキャンプ禁止の看板もある)。次第に登山道は乾燥したガレ場を行く。雪倉岳北面のカール状地形だが、5年ほど前に山スキーで痛快に滑走した記憶を思い出す。尾根や岩など起伏が確認できず残念。標高を上げるにつれて次第に雨風とも強まる。雪倉直下でやっと白馬山荘からの登山者とすれ違うようになる。朝日平に向かったのは10名強しかいなかったので今日の朝日小屋も空いているだろう。

 9時10分に雪倉岳山頂へ。強風と雨でとても休んでなんかいられない。セルフタイマーで写真を撮ってそそくさと下山開始。体温も下がり気味になったところで雪倉岳避難小屋が見えた。時間は早いが小屋の中にあがって昼食を取る。これを逃すとお湯を沸かす機会はもうないだろう。小屋には京都からの登山愛好グループ5名が休んでいた。彼らは天候が悪いので三国境に引き返すという。

 小屋を出発して15分ほどで鉢ヶ岳東斜面の雪渓で水補給する。雪渓の大きさからして8月いっぱいはもたないかもしれない。この周辺も見事なお花畑だった。11時に鉱山道分岐。先週、やっと瀬戸川に橋が架かったらしい。ここから急登を登り切ると三国境へ。白馬大池からの単独者に避難小屋や水場の状況を教えて情報交換、お互いの健闘をたたえる。風雨は相変わらず強いが、あくまでも白馬岳山頂を目指す。

 何も見えない白馬岳山頂着。辺りには誰もいない。円柱の展望標で強風を避けてチップスを食べる。写真を撮って下山開始。三国境手前で雷鳴が2回する。これはやばい、一気にペースアップ。雨はスコールのように降り出し、風は北側から吹き付けて時折体を揺すぶる。少なくとも船越の頭までは稜線づたいに行かねばならない。もうガンガン飛ばします。何人抜いただろうか。夏山しか登らない一般登山者にはこの条件はきつかったに違いない。もう1回近くで雷鳴がしたらすぐに逃げられる場所を確認しながら下る。

 結局、ノンストップで白馬大池へ。相変わらず雨は土砂降り、一人でテントを張る気にもなれず、時間も十分あるので下山することにする。一旦小雨になったものの、また本降りとなる。登山道は川のようで、横切る小沢が道を覆うように流れている。下りで一気に疲労度が増して、蓮華温泉の屋根が見えてからが本当に辛かった。

 16時20分に蓮華温泉着。もうヘロヘロです。ずぶ濡れの服とザックを車に放り込む。やっと温泉に浸かれる。たぶん外来入浴の時間は過ぎてはいたが、ずぶ濡れでやってくる登山者のために断りはしなかった。蓮華温泉の内湯は熱かった〜。風呂を出る頃には雨が上がっていて、雪倉、朝日岳の山頂が見えていた。


 下山時すでに小屋の前には救急車と警察が待機していた。聞いてみると、悪天候で朝日岳を諦めた女性2人組が鉱山道下山に切り替え、途中(9:30頃)で一人が足を滑らせて行動不能になったとのこと。警察は救助ヘリに遭難ポイントなどの無線交信をしていた。林道を車で走っていると、ヘリが飛んでいたが、無事に救助されたとのことです。