熊谷トレッキング同人 国内山行記録
トップ 海外トレッキング 国内登山 山スキー 入会のご案内 お問い合わせ

雨の黒部源流遡行敗退

山域山名:黒部源流(富山県)
期  日:2008年8月6日(木)〜10(月)
参 加 者:L浅見、栗原昌(計2名)
行動記録:
8/6 移動日
 午後7時半に鴻巣を出発。今回は私が下山後に直接実家に戻るので別々に車を出す。土砂降りの高速を走って12時半に有磯海SAに到着、浅見さんとおち合う。そのまま車中泊。

8/7 折立1360m(7:25)→1815m(8:35/8:45)→2080m→(9:35/9:40)
 →太郎平2320m(10:50/11:15)→2074m(12:00/12:15)→薬師沢小屋1940m(13:25)
 4時半起床。浅見さんの車に乗換えて出発。立山ICを降り、5時半に亀谷ゲート前に到着。既に20台位の車が列をなしていた。6時ちょうどにゲートが開き料金を払って林道へ。1時間後、折立登山口に到着。駐車場は満車でスペースを探して少しうろうろするが、なんとか止められる場所があってほっとする。
 雨はぽつぽつ来ていたので今回も最初からカッパを着てからのスタート。またかよと思い、モチベーションがいまいち上がらない。7時半に出発。出だしから急登のきつい登りだ。夏山初日でまだ体が慣れていないのに、ウォーミングアップ無しでのこの登りは堪える。浅見さんのペースに遅れないよう必死でついていく。1時間強のち、休もうかの声にほっとする。勾配のきつい所はここまでで、この先は緩いだらだらとした登りが太郎平まで続く。11時前に太郎平到着。雨は上がっていたが展望はまるで無し。大休止して燃料補給する。

 小屋からすぐに分岐があり、薬師沢に降りるルートへ。薬師沢まで300mほど下る。このあたりはいくらか展望があったので山スキールートを教わりながらのんびり歩く。このあたりもいつか滑ってみたい。下り終えるとあとは薬師沢小屋まで木道のお散歩道。カッパを脱いで身も心もリフレッシュする。沢に架かる橋をいつくか越える。左俣に架かる橋を過ぎた後に急に空が暗くなり、程無く土砂降りの雨が降ってきた。小屋はもうすぐだったのになんという間の悪さ。びしょ濡れのまま1時半に小屋に到着。ありがたいことに乾燥室にストーブが焚いてあったので、ほとんどすべての荷物を乾燥室へ。部屋着に着替えてやっと落ち着く。

 小屋は黒部川と薬師沢の合流地点に建っており、よくもまあこんなところに小屋を建てたものだと感心する。小屋は見てわかるくらい全体的に傾いていて、フロントに現在の傾斜角が書いてあるのがユーモラスだった。ここは沢屋さんと釣屋さんの前線基地となっているようで、泊っている客もそれらしい人が大半だった。寝床は3畳に4人と比較的ましな込み具合。夕食は3度に分けてあり我々は1回目だった。

 沢は増水しまくって激流に変わっており、とても明日沢登りを出来るような雰囲気では無かった。明日のことをいろいろ相談しつつ、すべては明日の天候次第ということで7時就寝。

8/8 薬師沢小屋1940m(6:15)→木道末端2390m(7:35/7:45)→雲ノ平山荘2540m(8:55/9:15)
→テン場2570m(9:35/9:50)→祖父岳2825m(10:25/10:40)→水晶小屋2870m(12:00/12:30)
→水晶岳2986m(13:05/13:30)→温泉沢分岐2870m(14:15/20)→温泉沢2270m
(15:20/15:30)→高天原温泉2050m(16:15/16:50)→高天原山荘2130m(17:10)

 4時半起床。5時から朝食。起きてすぐ外の様子を見に行ったが、多少量は多いが、流れは落ち着いており、雨も降っていない。これならいけそうだということで当初の予定通り黒部源流をやることになり、沢装備に着替えるが出発直前にまた雨。大した降りではなかったが大事を取って沢はキャンセル。予備ルートの雲の平経由で水晶岳を目指す。また着替え直して6時15分出発。
 小屋の前の吊り橋を渡り、向こう岸から急登へ取りつく。折立の急登と同じくらいの勾配だったが、昨日一日で体は大分慣れて、1時間強で難なく雲の平の木道末端に辿り着く。小休止のち雨が上ってカッパを脱ぐ。展望も次第に開け、時折青空も見える。雲の平は前から行きたかったが、本当に気持ちの良い所だ。1時間程の散歩を満喫して雲の平山荘に到着。小屋の女の子がお疲れ様と、名も無き我々に声をかけてくれたのがうれしかった。

 話によれば水晶小屋は噂通り今日もひどい混み様で、時間があればここまで戻ろうかという話をする。水はテン場にあるということで、20分程先のテン場で水を汲み、そこから祖父岳の登りに取りつく。テン場から30分強で山頂到着。展望はよく、今日昇る筈だった黒部源流から岩苔乗越までよく見える。小休止のち少し下って岩苔乗越を経て、そこからまた登り、12時ちょうどに水晶小屋到着。ここで昼食を兼ねて大休止。

 やはり今日も小屋は混んでいて、1畳に3人という。じゃあ折角早く着いたので、明日の行程を半日前倒しして、これから温泉沢を下って高天原まで行くことにする。12時半出発。小屋から30分ほどで水晶岳到着。運悪くちょうど山頂で団体さんとバッティング。記念撮影のため30分ほど待たされる。その間にハーネスを付けたりと、温泉沢下りの準備をする。さっき立ち寄った雲の平山荘があんなに遠くに見える。真下には高天原山荘も見えるが、まだまだ先は長そうだ。

 山頂から45分程で温泉沢の頭へ。稜線は赤牛岳へと伸びているが、ここで分岐して真下に見える温泉沢へ一気の下りだ。転んだら止まらないような急傾斜の下りを黙々と下るが沢は見えているのになかなか近づかない。温泉沢の流れについた時には足がくたくたになっていた。そのまま行けるところまで登山靴で行って、靴が濡れそうなところで沢靴に履き替える。沢自体は穏やかで難しい所は無いが、靴を濡らさないで行くには難しそうだ。

 やがて硫黄の匂いがし始めると高天原温泉に到着。もう4時を回っていたが、いったん小屋に行く気力も無かったので、遅れること承知で温泉に入っていく。白濁のちょうど良い湯加減で、疲れた体には最高に気持ちいい。30分ほど浸かって出発。温泉に入ったせいで気が緩んで、山荘までの30分が異常に長く感じた。バテバテになって5時過ぎに高天原山荘到着。長い1日だった。

 テラスで乾杯のち、5時半から夕食。蕎麦や豆腐有りの豪勢な食事だった。寝床も一人1畳あって快適。夕食のちもう1杯飲むと、疲れているからか、すっかり出来上がってしまった。夢見心地で7時就寝。

8/9 高天原山荘2130m(6:40)→高天原峠2250m(7:257:/35)→C沢2030m(8:45/8:55)
 →B沢出合1900m(9:30/9:45)→薬師沢小屋1940m(11:00/11:50)
 →赤木沢出合1980m(13:0013:/30)→薬師沢小屋1940m(14:40)

 5時半起床。この日も朝から雨。少しゆっくり準備して6時40分出発。今日はまた薬師沢小屋までなのでのんびり歩く。昨日頑張ったかいがあった。小屋を出てしばらくは平坦な木道歩きが続き、道が悪くなって程無く登りに差し掛かり、30分ほど登ると高天原峠に到着。ここでカッパを脱ぐ。ここからさらに登ると雲の平だが、我々は沢沿いの大東新道を通って薬師沢小屋を目指す。のっけから悪い道で、沢登りの高巻きのような道が延々と続く。地図上で通常の登山道になっているのが不思議なくらいだ。1時間歩いてやっとC沢出合へ。これでもまだ半分かと思うとうんざりする。もう二度と通ることは無いだろう。 

 小休止のちまた似たような悪路を30分歩いてB沢出合へ。ここから本流の黒部川に降りられそうなので沢靴を履いて黒部川に合流。雨は上がっており、多少水量は多いが、行けなくはない。靴の濡れも心配せずに済むからこっちのほうが精神的に楽だ。意図せぬ奥黒部の沢登りを楽しんだのち、11時に薬師沢小屋に到着。この頃には日差しも出てきて、時間も早かったので折角だから黒部源流を少しやろうということで、赤木沢出合まで沢登りをやることにする。

 不必要な荷物を小屋にデポして、昼食中にテラスで着ているものを乾かして12時まえに出発。出だしから水量多めで普段は簡単そうな所でも難しくなっており、ボルダリングの真似ことのようなことをやりつつ、時には腰まで浸かって1時間ほど楽しんだのち赤木沢出合に到着。すぐ上流の簡単なナメ滝の上で記念写真をお互いに撮る。それにしても奇麗なところだ。快晴の時だったらもっと気分がいいだろう。帰りも行きと別ルートを敢えて通ったりして2時間余りの沢登りを満喫した。

 2時半過ぎに小屋へ戻る。テラスで着ているものを乾かしついでに乾杯。やがて小屋の奥のテラスに移動して、服を乾かしつつ歓談していたが、雨がまた落ちてきたので乾かないままもう必要の無い沢装備をザックに詰め込む。小屋は一昨日ほど混んでおらず、一人1畳で快適だった。5時の夕食のち自炊室でコーヒーを沸かして、居合わせた夫婦と単独女性としばし歓談する。8時就寝。

8/10 薬師沢小屋1940m(5:30)→左俣出合2030m(6:10/6:15)→太郎平2320m(7:30/7:40)
 →1900m(8:55/9:05)→折立1360m(10:20)

 4時半起床。今日も朝から雨。どうやら台風が接近しているらしく、その影響か昨日の夜はかなり降っていたみたいだ。浅見さんが昨日歓談した単独女性から、増水が心配なので一緒に行ってほしい、と声を掛けられ、太郎平まで行動を共にする。朝食後すぐに出発。心配していた左俣に架かる橋は流れより大分上に架かっており、増水はしていたがこの程度の雨では流される心配は無かった。残る2つの橋も無事越えて2時間後に太郎平小屋に到着。

 稜線は風が強くなっていた。ここでバス待ちの時間調整するという女性と別れ、我々は小休止のち先を進む。今日も入山して来ている人と続々すれ違い、台風が来ているのにと人ごとながら心配になる。道は連日の雨でぐじゃぐじゃにぬかるんで、急登のところはかなりの悪路と化していた。靴はベチャベチャになって10時20分無事に折立に到着。雨は途中止んでいたが、降りる頃にはまた降り始めていた。

 車に戻って急いで着替えて乗り込む。ゲート近くの亀谷温泉で汗を流し、GWのとき立寄った富山市内の回転寿司でたらふく食べる。それから高速に乗って、上りの有磯海SAで降ろしてもらい、歩いて車を置いている下りのSAに行く予定だったが、以外にも下りのSAと上りは5kmぐらい離れていて、とても歩いて行ける距離じゃなかった。浅見さんに無理云って一旦降りて、下りに乗り直してもらって事なきを得た。感謝。SAで浅見さんと別れる。これから私は実家熊本までの長い長いドライブが待っているのであった。
 (栗原昌記)