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沢三昧!薬師沢・赤木沢・太郎沢

アルバム

山域:北アルプス 薬師沢左股・赤木沢・太郎沢
期日:2011年8月10日(水)〜13(土)
参加者:栗原昌&聡


8/10(水)晴れ
折立1350m(7:45)〜1750m(8:55/9:10)〜2000m(10:15/:30)〜太郎平2330m(11:55/12:45)
〜薬師峠テン場2294m(13:05)

 前夜有峰林道ゲート脇の駐車場で車中泊、朝5時半頃からゲート前に車が並び始めたのでその列に並ぶ。折立の駐車率は8割程度で、意外にも駐車スペース探しに苦労する事なく駐車でき一安心した。のんびりと準備を整えて出発、睡眠不足で身体がだるいが今日は薬師峠までなので気分的に楽である。暑さにあえぎながらも3ピッチで太郎小屋着、楽しみにしていた生ビールで乾杯!続いてロング缶も各々空けてしまい、ほろ酔い気分で薬師峠テン場へ。運良く北ノ俣や黒部五郎が見渡せる快適なスペースが見つかり、手早くテントを設営し再び宴会に突入した。

明日の天気予報は曇り一時雨、明後日は曇り。明後日の方が比較的天候が安定している様子なので、明日は若干行程が短い薬師沢左俣と決めた。夜半に何度か雨音で目が覚め、明日沢に入れないと飲み過ぎてしまうなぁと心配になった。

夕食:ボイルウインナー、パスタ2種、つまみ(いろいろ)


8/11(木)曇り時々小雨
薬師峠テン場2294m(5:05)〜太郎平2330m(5:20/:30)〜左俣出合2030m(6:30/:55)
〜魚止の滝2160m(7:45/8:15) 〜赤木平2400m(10:00)〜稜線直下2530m(10:35/11:05)
〜北の俣岳2662m(11:35)〜太郎平2330m(12:50/13:30)〜薬師峠テン場2294m(13:50)

 3時半起床、夜半の雨は上がっていたがガスで視界がない。太郎小屋で最新の天気予報を確認すると、明日の予報が晴れに変わっていた。明日の赤木沢は期待できそうだ。

 今日は日帰り沢装備で荷も軽く、薬師沢小屋へと下る道をサクサクと下る。登山道は特に問題はないが、所々木の梯子が朽ちかけていたり、崩落が進んでいる箇所が見られた。この頃になるとガスは徐々に晴れ、時折雲ノ平や水晶が見えるようになった。太郎小屋から1時間ほどで左俣出合着、橋の下で入渓準備を整える。

 空模様は相変わらずどんよりだが視界は良いので、何とか半日もって欲しいと願いつつ入渓。暫く単調なゴーロ歩きが続くが、やがて滝が現れ始め、その殆どが小さく巻くか水流際を通過できる。魚留めの滝は廊下状になっていて、写真で見るよりずっと迫力があった。直登は無理と知りつつ昌が様子を見に行ったが、泳いで取り付いたところでやはり厳しいようだ。下降の場合は左岸手前の支沢を使って高巻きらしいが、右岸を小さく巻いて行けそうに見えたので今度は私が様子を見に行く。2/3程行った所で大きく一段降りる箇所があり、その先の落ち口付近は樹木で全く見えない。ロープを出せば良かった…と思ったが、既にこの位置からでは下で待つ昌と意思疎通が図れないため断念し、元へ戻った。(後で他の記録をチェックしたら、やはり右岸を巻いて滝上に抜けられたようだ。残念!)

 それでは無難に左岸支沢から高巻きますか、と取り付いたがこれが全く無難ではなかった。小さな尾根を乗越すために、モーレツな笹&樹木の藪漕ぎとなり泳ぐようだった。藪漕ぎ隊長・昌がワシワシと漕いで先を行ってくれたが、こちらが両手両足絡めとられてヒーヒー言っているうちに見えなくなった。高巻きしている間に予報通り小雨が降ってきたが、幸か不幸か密藪のお陰で雨粒を感じる事はなく、沢に戻った時には雨は止んでいた。結局この大高巻きで一つ上の滝も巻いてしまったらしく損した気分になったが、「過去最高の薮漕ぎ」と昌が評していたので、経験値が上がったという事で良しとする(負け惜しみ)。

この後もいくつかの滝を越え、気がつけば草原の中の小川を歩いていた。両岸には花々が咲き、壮大な景色の向こうに目指す稜線が見える。さすが北アルプスは詰めの藪漕ぎナシで素晴らしい!(…途中で激しく藪漕いだけど。)適当な所で草つきを登り、赤木平の池頭の間を抜け、北ノ俣岳と赤木岳の間の稜線を目指した。稜線直下で装備を解くため大休止、眼下に赤木平が広がり、歩いてきた左俣が白く蛇行しているのが見えた。

 さて後は一目散に太郎小屋のビールを目指すだけ、一応証拠として北ノ俣岳で記念撮影した以外は、時折雨がパラつく中をノンストップで太郎平へと戻った。

 小屋でビール休憩後、テン場に戻り夕食までお昼寝。夕食時に再び宴会、担ぎ上げた赤ワインも飲む。明日は終日晴れの予報、明朝5時に出発する事として19時就寝。

朝食:味噌煮込みうどん
夕食:麻婆春雨、じゃがりこポテトサラダ、五目ごはん、つまみ(いろいろ)


8/12(金)晴れ
薬師峠テン場2294m(5:30)〜太郎平2330m(5:45)〜薬師沢小屋1912m(7:30/8:00)
〜赤木沢出合1976m(9:00/:10)〜二俣2220m(11:50)〜赤木平2450m(12:50)
〜稜線直下2550m(13:10/:50)〜北の俣岳2662m(14:20)〜太郎平2330m(15:35/16:10)
〜薬師峠テン場2294m(16:30)

 3時起床のはずが、目覚めたら4時を過ぎていた。携帯で目覚ましをセットしたはずだったが、「電源入れ忘れた〜」とうっかり昌兵衛…さすがである。

 5時半薬師峠発、今日も薬師沢小屋への道を下る。水晶・雲ノ平・槍・黒部五郎など眺めながら、気持ち良い朝の散歩となった。薬師沢小屋に着いた時、ちょうど1パーティが黒部川へ降り立つところだった。

 小屋のデッキで準備を整え、デッキにかかる梯子を下りて入渓。黒部川はほぼ平水で、本流遡行もこの様子なら問題ないだろう。徒渉やへつりを繰り返し、ゴルジュで左岸の良く踏まれた巻き道を行くとミニナイアガラの滝の前にパッと飛び出した。ここが赤木沢の出合だよと言うと、信じられないという顔で昌は赤木沢の様子を覗きに行った。確かに赤木沢の華やかな渓相を思うと、入り口はえらく地味である。

 様子を見てきた昌が「最初から泳ぎだ〜」と嬉しそうに言うが、いやいや!初っ端から全身濡らしてはたまらないと左岸をへつり赤木沢へと入った。ゴルジュを通過するとすぐ、目の前に明るいナメ・ナメ・ナメが広がり二人で歓声をあげた。
眩しく輝く水と青い空、次々現れる滝を全身シャワーを浴びながら登ったり、釜を泳いだり、巨大ポットホールに浸かってみたり、これぞ究極の大人の水遊び!そのうえ貸切り&遊び放題とはなんとも贅沢だ。3年前に訪れた時はメンバーが多く前後するパーティもあったため、常に誰かの後をついていくだけだったように思う。しかし今回は時差出勤(寝坊とも言う)が功を奏し、見渡す限り誰もいないのだ。思い思いに、時には二人でラインを相談し、笑いながらいくつもの滝を越えて行った。

 前方に屏風のような壁が見えてくると間もなく大滝。前回は左岸リッジ状を簡単に登ったが、今回は少し戻った左岸草付の巻き道を選択。こちらも特に問題なく、あっさりと大滝落ち口の上に出ることができた。大滝を過ぎ最初の二俣を右へ、ピークにさほど興味ない二人は予定通り稜線への最短ルートをとった。右俣へ入ってからも直登できる滝が次々と続き、全く飽きることはない。この右俣だけでも近場にあったら月1で通っても良いくらいだ。

 水流が細くなると両岸が狭まり、昨日の薬師沢と違い目指す稜線も見えなくなる。適当な所で見当をつけて草つきを這い上がり、草原を抜けて前日とほぼ同じ場所で大休止。昌が薬師沢小屋から担いできてくれたビールで、今日辿った沢筋を眺めながら祝杯をあげた。空はどこまでも晴れ渡り夕立の心配もなさそうだ。北ノ俣岳で2度目の記念撮影をしてから、チングルマのお花畑などを眺めながらのんびりと縦走路を戻り、太郎小屋で再び祝杯をあげた。
朝食:天ぷらそば
夕食:わかめごはん、フリーズドライカレー、つまみ(とても沢山)


8/13(土)曇りのち晴れ
薬師峠テン場2294m(6:50)〜太郎平2330m(7:10/:30)〜太郎沢出合2074m(8:05/:30)
〜稜線2338m(10:00/:30)〜太郎山2372m(10:50)〜太郎平2330m(10:55/11:40)
〜1960m(12:35/:45)〜折立1365m(14:05)
 
早立ちの人が多いらしく早朝から周囲がざわついている。縦走が大半で、薬師峠に連泊する人は少ないのだろう。今日は行程が短いので、ゆっくり撤収してから薬師峠発。太郎小屋で不要な装備をデポし、通い慣れた薬師沢小屋への道を下る。登山道の修復工事中で、作業中の人の脇を邪魔にならないように通り抜ける。なんと!昨日の朝は朽ちかけていた木の梯子がピカピカな階段になり、崩落が進み狭くなっていた箇所は岩が切り欠かれ、とても歩きやすくなっていた。雲の平へと続く人気ルート、すれ違いも容易になり小さな事故も減るだろう。

 太郎沢出合で入渓準備をしていると、単独のハイカーが「太郎沢は崩壊が進んで今はあまり良くないよ」と教えてくれた。しかしそう聞いたところで、なにせ初めてなので以前と比較できないからガッカリする事もないのだ。今日は遡行図もなく地形図だけが頼り、むしろワクワクしながら入渓した。

 序盤は崩落した両岸が迫ってくるような箇所もあり、あまり気持ちが良くない所があるにはあったが、じきに小滝が連続するようになると全く気にならなくなった。写真を撮り合いながらのんびり遡行したつもりだったが、あっという間に稜線が見えてきた。太郎沢を「ミニ赤木沢」と呼ぶ人もいるそうだが(言い過ぎです)、赤木沢のように明るい雰囲気はないものの小粒ながら飽きさせず、行きがけ…ならぬ帰りがけの駄賃?にサクッと楽しむにはもってこいだった。太郎山山頂で記念撮影をした後、太郎小屋でデポした荷物を回収して、3日ぶりの重荷を担いで折立へと下山した。

 今回の沢三本立ての計画は、1本くらい天候等でキャンセルになるかと予想していたが、天候に恵まれ静かな沢を大満喫の充実した夏休みとなった。
朝食:味噌煮込みうどん

持参アルコール:赤ワイン1000ml(購入したビール:そりゃもう沢山)
(栗原聡記)