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北の巨人・幌尻岳と鋭鋒ニペソツ山


参加者:大島、軽石、駒崎、浅見

 北の山は遠い。大きな魅力を持った山域であるが、その懐に入るまで多くのハードルを越えなければならない。航空券やフェリーを予約すること、更に山小屋の予約を取ることもたいへんな障壁になっている。軽石さんがこれらの手配をしてくれて3人で予定していた今回の計画に、遅れて入れてもらい北の山々の魅力を改めて感じることができた。


7月25日(月) 熊谷発16:40=新潟フェリーターミナル20:40=出港23:30

暑い熊谷を出発したパジェロは関越で一路新潟港をめざす。越後川口で夕食。フェリーに乗るときにはドライバー1人だけが運転して、乗員3人とは船内で合流する。新日本海フェリー一等船室は2段ベッドでカーテンで仕切られている。快適。

7月26日(火) 苫小牧東港着17:20=豊糠山荘19:30 

夕方までのんびりと過ごす。レストランでバイキング形式800円の朝食を取る。昼食もバイキング1000円が人気だったが、軽食コーナーで済ます。苫小牧からは途中、軽石さんがチェックしていたコンビニで行動食を仕入れて、豊糠山荘まで約2時間。2年前まで中学校だった宿は男女別の2段ベッドの部屋になっている。夕食はジンギスカン鍋。羊の肉は柔らかくて美味だった。


7月27日(水) 豊糠山荘3:00=第一ゲート4:00/4:10〜北海道電力取水施設5:30〜
幌尻山荘8:30/9:00 〜森林限界11:00〜幌尻岳山頂13:00/13:15〜
幌尻山荘16:30

幌尻岳は日本百名山のなかでも最難関とされる。その理由は長い林道歩きと額平川の遡行であろう。さらに、今年からはゲートまでの自家用車の入山が規制されシャトルバスが唯一の交通手段となった。豊糠山荘でおにぎりを受け取り午前3時のシャトルバスに乗り約1時間でゲートに着く。我々4名を含め2台のバスで20名ほどが入山した。北電取水施設までは1時間半の林道歩き。ここで沢靴に履き替え、額平川の遡行が始まる。渡渉地点には2mほどの木の棒が置いてあり、手助けとなる。ガイドブックでは約15回の渡渉とあるが水量によって変わる。フエルト底の沢靴は必携。初級の沢登りを体験してからチャレンジしてほしい山である。水流の中を歩くのに慣れていれば、楽しいアプローチになる。赤ペンキの案内を見失わないように歩けば特に問題はないが水量が多いときは撤退するしかないだろう。約3時間で幌尻山荘に着く。沢靴と不要な荷物をデポして9時出発。ここからは樹林帯の急登である。約2時間で「命の水」という看板が出てくるが水場までは距離がありそうである。標高1700m位から樹林がなくなり花が多くなる。左側にカール底が見えるようになるがガスが湧いて視界は悪い。山頂も見えないまま黙々と登る。花マニアの駒崎さんは元気よく写真を撮りながら登る。13時山頂着。ガスで展望なし。反対側には深田久弥が登った新冠川や七つ沼カール、戸蔦別岳があるのだが標識以外は何も見えない。いつか晴れた日にまた来たい。ガスの中、花の名前を復習しながら来た道を下降する。急な下りにウンザリしたころ幌尻山荘につく。小屋の前は朝と違って40人ほどの登山者で賑わっていた。素泊まりの小屋なので持参した夕食を外のテーブルで調理して食べた。食べ終わるころ雨が降ってきたので早々に就寝。毛布一枚と枕があるのでインナーシーツだけでも快適に眠ることができた。


7月28日(木) 幌尻山荘4:10〜北海道電力取水施設5:50〜第一ゲート7:50/8:30
=豊糠山荘9:30 =道東道占冠IC=音更帯広IC=幌加温泉
=杉沢出合・登山口15:00頃

 水流の中を歩くので明るくなってから出発。夜の雨もすぐに上がったので水量も増えず快調に下山できた。ゲートでバスを待つ間に濡れた沢靴を干す。

この日は「日高の盟主」幌尻岳の麓から「大雪山系の鋭鋒」ニペソツ山の登山口までの移動日である。道東道でトマムのスキー場をながめ、音更町で食料を仕入れ、豚丼を食べ、北海道らしいまっすぐな道を北へ向かう。ニペソツ山の麓、ひなびた幌加温泉で入浴、露天風呂は開放的だがアブが多かった。

国道から林道を約20分ほど走って杉沢出合の登山口につく。10台ほどの駐車スペースがあり、早く着いた我々は川のそばにテントを張ることができた。川を見ながら早めの夕食をすませた。本州とは違った明るい針葉樹林の森を流れる川のほとりでマットを出して空をながめていたら眠ってしまった。目が覚めてここが北海道だと思い出して、少しびびった。熊に喰われなくて良かった。


7月29日(金) 杉沢出合・登山口3:50〜天狗のコル6:25〜前天狗8:05〜
         ニペソツ山頂10:25/11:00〜天狗のコル13:50〜登山口15:35
         =糠平温泉=帯広=占冠=夕張=苫小牧西港23:30

 ヘッドランプをつけて出発。天気は曇りだが、両側のササの水滴で体をぬらしながら樹林帯を登る。天狗のコルを過ぎナナカマドの林を抜け、大雪山系が見渡せる場所で休憩。トムラウシや石狩岳が見える。前天狗の手前でナキウサギの声を聞くが姿は見えない。前天狗からニペソツの勇姿を見たかったがガスに覆われて見ることができなかった。この日15名ほどの登山者の多くが展望に恵まれずに下山していったが、我々が山頂にたった一瞬だけ頂上付近からガスが取れ周りの山々をながめることができた。

 北海道の山の魅力のひとつに懐の深さがある。ニペソツ山頂からのながめは人工物がいっさい見えない。長い時間歩いてやっと見ることのできる自然の姿だと思う。下山する頃にはまたガスが出て、ついにニペソツの勇姿をながめることはできなかった。ただ登りでは見られなかったナキウサギの見つけることができた。一番最初に出発した我々が下山したのは一番最後になった。それだけ贅沢に山を楽しんだということでしょう。

豊糠温泉で汗を流し、帯広でお土産とラーメン。夜のロングドライブを楽しんで苫小牧に着いた。


7月30日(土) 苫小牧出港01:30=大洗着19:45=熊谷着22:30 

商船三井フェリーカジュアルルームは4つのベッドがカーテンで仕切られていて、予想以上に快適。一回り小さな船でレストランがない。自販機のカップ麺やホットドッグ、焼きおにぎりなどで済ます。リーズナブルである。

 今回の北海道山行は前後の2日間が船だったので体力的に楽だったと思う。時間があるときにはとてもいい方法だ。

緻密な計画を立ててくれた軽石さん。インドから北海道とエネルギッシュに登る大島会長、百名山残り3つ。花や動物に詳しい駒崎さん。楽しい仲間と充実した北海道の山を楽んだ。ありがとうございました。(浅見記)


出会った花(記録 駒崎)
幌尻岳
エゾレイジンソウ、エゾツツジ、エゾイソツツジ、ウズラバハクサンチドリ、チシマキンレイカ、エゾヒメクワガタ、エゾツガザクラ、エゾハクサンイチゲ、エゾコザクラ、イワブクロ、トカチフウロ、フタマタタンポポなど
ニペソツで新たに出会った花
メアカンキンバイ、クモマユキノシタ、コマクサ、エゾルリソウ