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雪上訓練in谷川岳マチガ沢


山域山名:谷川岳・マチガ沢(群馬県)
期  日:2011年4月3日(日)
参 加 者:L浅見 SL宮田 SL大嶋 高橋仁、相沢、駒崎、栗原聡、木村、栗原昌、田村

行動記録:熊谷(5:00)→谷川岳ロープウェイ駐車場(7:10/7:50)→マチガ沢(9:00/訓練/15:00)→
駐車場(15:30)

<天候:曇りのち晴れ>

 今年の訓練は去年が雪山山行であったことから、順番で基本行動に特化したものだった。谷川岳ロープウェーの駐車場から30分ほど歩きマチガ沢出合へ到着。訓練は沢を少し登った斜面で行う予定だったが、雪の状態が不安定なことから大事を取って林道沿いの斜面で行った。

 雪が緩んでいない午前中にまず滑落停止訓練を行った。斜面から勢いをつけて転がり、速度が出たところでピッケルを雪面に刺して停止するという訓練だ。私は雪山は山スキーしかやらないので、それ用の軽いピッケルとアイゼンで訓練を行った。最初に空荷で転がった。いろいろな姿勢で試してみたが、雪がそれほど硬くなく斜度もほどほどの今回の条件では問題なく停止することが出来た。ザックを背負った状態では多少制動距離が伸びたが問題なく停止した。しかし実際の現場ではもっと雪が硬くて斜度も急なところを通過することもあるので、止まる止まらないではなく、いざというときに今回訓練した動作が自然に出るようにしたい。

 次にアイゼンを履いた状態での歩行訓練を行った。登り、下り、トラバースなど山ではいろいろな場面があるが、思いつく限りの条件を試した。実際の山ではピッケルで滑落停止できることはあまり期待できない。それよりも確実な歩行で転ばないことが重要である。特に横風が強いときは体ごと持っていかれそうになり、滑落する危険性が高い。アイゼンの爪をしっかり雪面に効かせた歩き方を日頃の山行から心掛けたい。







 昼食後は装備の使い方を練習した。ピッケルを使った支点作り(スタンディングアックスビレイ)は支点となるようなもの(木や岩等)が何も無い時に有効である。腰がらみでひと一人問題なく支えることが出来た。

 次に会装備のフローティングロープの使い方を学んだ。これは山行形態によらず必ず持っていくことになっているが、その使い方は意外に会員に浸透していない。クライミング用のロープと違って軽い分、摩擦に弱いので懸垂下降などは出来ないが、お助け紐としては十分な強度を持っている。袋毎ロープを投げるような仕様になっているので、使い方をよく理解しておきたい。また使った後は次に使う時に絡まないように収納したい。

 次に2点に張ったロープの間をスリングでセルフビレイを取りながらトラバースする練習も行った。スリングも個人装備として毎回持っていくことになっている。ビレイする際は中間点を跨げるよう、ロープにカラビナは必ず2枚通してビレイしなければならない。

 最後に雪の中にピッケルなどを埋めて支点にする方法を学んだ。雪質によってはかなりの荷重を支えることが出来るが、力が上向きになるとすぐに抜けてしまう。従って荷重が上向きにならないように雪面に必ずロープの案内を作ってやる必要がある。また軽い雪では荷重が掛かると雪ごとずれてしまう恐れがあるので、これを使わなければならなくなったら、よく状況を確認して使いたい。

 少し寒かったが天候もよく、3時までたっぷり行うことが出来て充実した訓練が出来た。雪山に入る人はもちろん、ハイキング志向の人も知っておいて損は無いので、来年はもっと多くの人が参加できればと思う。                 (栗原昌記)





【初めての雪上訓練


 私にとっては初めての雪上訓練経験だった。スキー以外で山に入ったのは数カ月ぶり。山頂付近に登山者が見えたが、私は谷川岳を含めてこの周辺の山には夏ですら登ったことがない。谷川岳や白毛門、また午後からは笠ヶ岳もきれいに見えてきて、訓練中も「青空とのコントラストがきれいだなあ」とか、「白毛門に登る人たちがいる、うらやましいな」とか、心満たされることもたくさんあり、楽しい一日だった。

 今回の訓練の中で、おそらく最も使う機会の多い技術はアイゼンワークだと思う。アイゼンを正しく使うと安定して歩行できることが実感できた。今回使った斜面は大した急斜面ではなかったが(30〜40°くらい?)、滑落するとピッケルを斜面に立てても簡単には止まらなかった。滑落を防ぐことがとにかく重要だと思った。

 スタンディングアックスビレイ、スノーバー・ピッケルを使った確保など、普段はなかなか使わなそうな技術はいざという時のためのものだと思う。雪山は危険が多いので、山スキーに行く自分にとっては有意義であったし、訓練を定期的に行うことが技術を定着させる上で重要だと思う。       (感想:田村記)



【マチガ沢雪上訓練総括】

 朝のうちだけ小雪が降ったが、昼前から回復して日差しのあたたかい中でマチガ沢出会いの左岸、西黒尾根側の斜面を利用して雪上訓練を行った。訓練内容は@滑落停止Aアイゼン歩行Bフローティングロープの使い方Cスタンディング・アックスビレイDスノーバーを使った支点工作。

マチガ沢で初めて訓練をしたが、雪崩の危険があるということでマチガ沢そのものは入山禁止になっていた。出合手前の斜面を使って訓練したが斜度もちょうど良かった。滑落停止は朝一番で雪が堅いうちに行った。ピッケルは持っているが滑落停止の練習をしたことがない人もいるのではないか。少なくとも年に1回の訓練は必要だと思う。転んだり、滑ったりしたら、何よりも早く、停まる体制を作ることが大切だと実感した。ザックを背負ったときや、左手で持っていることを想定した訓練を行ったが、各人がいろいろな場面を想定してシミュレーションできたことに意味があると思う。

山スキーをやっていれば、アイゼンやピッケルが必用な場面に出会うこともありえる。きびしい場面ではピッケル、アイゼンを使うだけで安心感を感じる。万一転倒しても止められると確信できるくらい、しっかりと使いこなし体の一部となるように訓練を続けて行きたい。
        <CL 浅見記>