熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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「北アルプス読売新道」

個人山行報告

山域山名:北アルプス、読売新道
期  日:2011年8月12日(金)〜14日(日)
参 加 者:新井久夫(単独)


行動記録:

8/12 立山駅(6:10)=室堂(7:09〜18)→一ノ越(7:57)→
雄山(8:26〜38)→一ノ越(8:58)→ザラ峠(10:44)→
五色ケ原キャンプ場分岐(11:02)→刈安峠(12:18〜28)→
平ノ小屋(13:08)、渡船(14:00〜20)→奥黒部ヒュッテ(15:45)
〈天候:晴れ〉

 11日夜11時過ぎに立山駅前駐車場に到着。未だ余裕有り隅の方に停め就寝。翌朝5時に起床し準備して居ると、隣の車の若者が「切符を買ってきた」と話している。聞けば5時10分より発売しているとの事。ダッシュで切符売場へ。6時10分発のケーブルカーのチケットをゲット。安心して準備続行。

 思っていた程の混雑も無く室堂着。室堂は蕎麦屋も仕舞っており閑散としていた。(扇沢は大混雑だったそうな)雄山神社参拝の為直ぐに出発。

 一ノ越に着くと小学生の群れ。此れより早く行かねばと頂上に向かう。高度が上がるに連れ此れから行く山々が見えて来る。今年3回目の雄山頂上。360°の展望。富士山迄見える。黒部五郎は遥か彼方。赤牛、水晶はデカイ。

 500円払い神社へ。神主さんに山の安全を祈願しお祓いして貰う。(自分では)神主さんは全然別な事を言って居たようだが。混まない内にとサッサと降りる。

龍王の手前、富山大学の診療所の処でスゴの小屋から来たと云う人に会う。早い人は居るもんだね〜。龍王を過ぎると登山者の数はガクッと減る。ザラ峠迄は非常に気分の良い処だ。周りの山々を見乍快調に進む。

獅子岳からザラ峠の下りはガックリする。こんなに下るのかと思うと凄く損した気分。366mも降りるんだもの。五色ケ原に登り返すと直ぐにキャンプ場への分岐。キャンプ場に向かう。テント2張りのみ。針ノ木〜烏帽子方面を向きお握り食べ乍渡船の時間を見る。14時丁度。

急いで降りる。途中熊の糞が2ヶ所在ったので鈴を付ける。何と言う事無く刈安峠。此れで一安心。平ノ小屋に向かう。若人2人登って来る。五色から先で会ったのはこの2名のみ。

平ノ小屋で一応時間が早いので先に進むと声を掛け渡船場へ。ボーっとして待っているとダム方向から1人の若者。長野県の上田から来たそうな。上ノ廊下へ行くとの事。「一人で大丈夫?」「平気です。山渓のDVD見て予習しましたから」。そう云う問題じゃないと思うんだけど。「気を付けて。ヤバそうだったら戻った方が良いよ」と言うのが精一杯。「水さえ少なければ大丈夫ですよ」まあ渡渉と泳ぎしかないからそうなんだけど。「上手く行けば1日で抜けれます」其れ無いんじゃない。

乗船は2名のみ。船に乗ると運転手さん、ロッドを出してムーチングし乍対岸へ。「釣れるんですか?」「結構ね」「上流はどうですか?」「未だ遡上してないから駄目だよ」「じゃあ9月になれば?」「釣れるね」

船の舳先を対岸に押し付け上陸。戦争映画みたい。奥黒部ヒュッテに向け出発。30分程歩くとドデカイザックを背負ったグループが。70Lか?何入ってんだろう?60〜70歳代の男女8名程。マサか12時の船の人達か?聞けば12時の船で笠ケ岳迄行くそうな。女性はザックが重すぎて梯子を前向きで降りれず、登る時と同じ格好で降りてました。「笠まで」と誇らしげに言ったけど一寸無謀?

僕等はサッサと小屋へ。受付を済ませると(8800円)「風呂が空いたら呼びますから部屋で待ってて下さい」。風呂アンの。凄い。トイレ行ったら洋式の水洗トイレでした。コンナ山奥で。関電の電気が来ているらしく明かりも煌々と付いてました。

スバリと云う名の部屋に行くと岡山からの御夫婦。後は僕等2人。御夫婦は明日は読売御新道。私と一緒。実は凄い人達でした。旦那さんは100kmマラソンを年に3〜4回。それ以外にフルも数回。奥さんも100kmマラソンを年に2回程。流石に此処まで来ると変な人が多いね。それでも「水晶迄行けるかな」なんて心配してましたけど。精々直線で10km有るか無いかでしょう。100kmから見れば大した事ないでしょう。

「風呂空きましたよ」と呼ばれて行ってみれば、風呂桶は1人しか入れ無いけど、洗い場は矢鱈広くて5〜6人は洗えるね。風呂には石鹸とシャンプー迄有って、「国立公園内で好いの?」と思ったけど使っちゃいました。

ダッシュで出てビール。小屋の前のテーブルで小屋の親爺さんが飲んでたので一緒に。凄く雰囲気の良い処。大きな木の林の中の小屋。気分は最高。仙人温泉も良いけど此処も良い。コッチの方が良いね。(高橋さん御免)

先程のデカイザックの集団到着。親爺さんと明日は赤牛でビヴァークと相談。まああのスピードでは仕方無いでしょう。

親爺さんの話だと此処に来るのは「上ノ廊下、東沢、読売新道」の3パターンのみ。最近は東沢組が多いとの事。読売新道は登った人も降りた人も二度と来ないらしい。木の根っ子が多くて歩き難いらしい。雨が降ると最悪と言って居た。秋になると「釣り師」。ダムからニジマスが刺して来るらしい。10月1日から禁漁なので開業は9月一杯。今年は道がチャンと開通したのは8月になってから。雪崩で梯子が全部壊されてしまうので毎年作り直しをするとの事。大変です。御苦労様。

夕食は豚カツ。揚げたてを出して呉れました。食事をしているのは10名。つまり泊まって居るのは10名のみ。テントは10張り以上有りました。殆どが東沢遡行らしい。

泊まって居る人は読売新道を降りて来たのが3人、登るのが4人上ノ廊下が1人、不明2人でした。岡山の御夫婦が2時半に起きて、3時に出ると言うので食事後早目に消灯。



8/13 奥黒部ヒュッテ(4:36)→赤牛岳(7:56〜8:05)→
温泉沢ノ頭(9:30〜32)→水晶岳(10:10〜25)→水晶小屋(10:45)→岩苔乗越(11:19〜35)→雲ノ平分岐(12:10〜17)→
三俣蓮華岳キャンプ場(12:45〜55)→三俣蓮華岳(13:35)→
黒部五郎小舎(14:39)
〈天候:晴れ時々ガス〉

 岡山の御夫婦が2時半に目覚まししたので目は覚めるも4時に起きて準備。上ノ廊下に行くかれに挨拶し出発。未だ薄暗くヘッドランプ付けて行く。5時過ぎに明るくなって来る。結構登り難い道だ。

1/8と表示有る処で朝飯。此処まで1時間。矢張り8時間位掛るのかと暗い気持ちになる。しかし標高は400m程登って居り後900mだけ。標高差から考えれば後2時間一寸で行ける事になる。横が長いんだよね〜。お弁当はお握り2個とオカズ。お握りは良いね。1個食べて出発。

6時過ぎに岡山の御夫婦に追い付く。「早いですね。私等の倍のスピードですね。」と言われたが急いで居たので「大した事無いです」位の事を言った様な気がする。先を急ぐ。

木の根を乗り越えるのが多い。結構高さも有りクライミング状態。此れなので装備の軽量化が重要と降りて来た人達が言ってたんだな。荷物が重ければ全くスピードは出ないでしょう。デカザックのグループ危うし。

2/8、3/8、4/8とクリアーし4/8が2356mのピークだったような気がする(焦って居て確認出来ず済みません)此の辺りから後ろを振り返ると黒部湖が綺麗に見えて来る。6時59分に2578mのピーク着。此処で弁当を全て食べる。快晴で汗だく。ヒ―ヒ―言い乍登る。赤牛のピークが見えた処で前方に登山者が。スピードアップ。

赤牛の頂上に着くと先行者はトレランであった。奥黒部を3時半頃出たらしい。あの道だと走れないのでコンナ物か。高天ケ原の温泉に入って野口五郎に行くと言って稜線を走って行きました。眺めは快晴なので最高。槍が見えると気分が好いね〜。

頂上に居ると水晶小屋から来たと登山者が。ブナ立尾根を登り烏帽子にテント張って昨日は水晶小屋に泊まって来たそうな。今日は烏帽子に帰りテン泊との事。「何処までいくんですか?」「出来れば黒部五郎迄」「其れは無理でしょう」と云うから黙ってました。昨夜も此れを行ったら全員が「無理」と言ってましたからね。

此処から水晶は遠かった。黒部五郎の方から見ても「長大な尾根だな」と思ってたけど、歩くと本当に長い。アップダウンも有るし。また此方から黒部五郎から薬師の稜線を見ても長大。6月に行った時も結構あったからね。明日もアンナに歩くかと思うと頭が痛い。薬師止めようかどうしようかな。

温泉沢ノ頭手前位からガスが出て来て槍も見えなくなりました。高天原山荘の赤い屋根はズット見えてましたけど。

水晶迄来ると、流石にメインルート。沢山の登山者が。暫く様子を見るも槍は見えて来ず前進する事にする。曇って居るので其れ程暑く無く、道は良いし快適。

水晶小屋着。32年前裏銀座から奥穂迄行った時に通ったはずなのに全く記憶無し。振り返れば黒部湖が。思えば遠くへ来たもんだ状態。ワリモ北分岐から岩苔乗越目指す。

ビチャビチャの登山道ー既に黒部最源流―を黒部川源流の碑へ。碑は雲ノ平分岐を一寸上がった処に在りました。思っていた程感動的では無かった。

此処から三俣山荘迄150m、三俣蓮華岳迄だと440m程の登り返し。此れがキツカッタ。三俣蓮華岳の登りなんてバテバテ、ヘロヘロ。北側の山はガスの間から時折顔を出すのに、南側は全く見えず。双六小屋への道はハッキリして居て小屋らしいのが、ギリギリ見えず。

蓮華の頂上もガスの中。サッサと五郎に向かう。矢張り下りは楽。巻道を眺め乍黒部乗越へ。

全面には五郎が。頂上はガス。まあ楽しみは明日に取って置きましょう。最後の急坂を跳ぶ様に下り、小舎へ。長かった〜。明日は帰るだけ。

受付をし着替えて、生ビール(900円)。小舎の前のテーブルで鎌倉の御夫婦と飲んでいると、千葉の男性、岡山の女性、名古屋の男性2人、鎌倉の御夫婦の長男、長女と段々増えて来て大宴会状態。大変愉快でした。

夕食は5時から。此処も大豪勢。天麩羅やら何やらで食べきれない程。トイレも綺麗だし、乾燥室、更衣室は有るし、中々良い小舎でした。

布団は1人1枚。其れ程混雑して居なかったようです。隣の名古屋の方の7時頃の「電気を消せ」の号令で寝てしまいました。



8/14 黒部五郎小舎(5:00)→黒部五郎岳(6:09〜27)→
中俣乗越(7:08)→北俣岳(8:04)→太郎平小屋(9:00〜15)→
薬師岳(10:50〜11:00)→太郎平小屋(12:25)→折立(14:11)
〈天候:晴れ〉
 皆さんは早々と起きて出て行きましたが、何となく帰るだけなので愚図愚図して居て4時半頃起床。外に出てみると快晴。此れはイカンと直ぐ準備して出発。

 遂に今回の大目標であった黒部五郎のカールへ。右手に薬師を見乍登る。太陽が鷲羽の辺りから顔を出して来る。五郎の大岩壁に陽が刺しオレンジ色から段々と白っぽく成って行く。素晴らしい。此れが見たかった。大感激。全ての物に感謝。

 頂上へと急ぐ。360度の展望。遠くは白馬から昨日越えて来た赤牛、水晶、鷲羽、三俣蓮華、槍、笠。乗鞍、白山迄。見えて居る山の内で登って無いのは白山だけ。遂に遣りました。

 9時位に太郎平に着いたら薬師に登る事としたので早々に頂上を引き揚げる。此処から先は6月に来て居るのでチョロイだろうと思ったけど、矢張り昨日見た通り結構長かった〜。だけど横に行くだけだとスキーより軽い荷物で歩いたほうが早いね。

 ジャスト9時に太郎平着。軽く食べて薬師峠へ向かう。此れが長い。帰りに此処を登るかと思うと気が滅入る。まあ頂上までは標高差は600m程なので1時間半も有れば着くでしょう。

 しかし暑い。昨日と違って猛暑。ま時間も遅いしね。尾根に出ると風が出て来て少しは楽に成りましたが。避難小屋の辺りに来るとガスが。赤牛、水晶が見えなくなると焦って登る。まだ平気。

 頂上に着くと昨日歩いた稜線がバッチリ見える。嬉しい。剣から続く薬師側の稜線、読売新道、其の向うの親不知から続く後立山、裏銀座皆歩いた訳だ。充分に満足。しかし未だ行って無い処も沢山有るので色々挑戦だな。

 薬師峠迄降り水を汲んで太郎平へ。小屋でタクシーを頼むと私1人だけみたい。仕方ないので2時間後に予約し、折立へ急ぐ。

 2時半に間に合わないんじゃ無いかと思って、今回の山行で一番焦って飛ばして仕舞いました。20分程早く着いたら、タクシーの運転手さんが乗り合い希望が2名居ると言うので、3人で立山駅迄。ラッキー。此方の方は兵庫からのカップル。年が凄く若そうなので夫婦?恋人?3時過ぎに立山駅到着。

 今回は現在の自分自身の体力、知力(?)をフルに使って天候にも恵まれ非常に満足の行く充実した山行でした。此れからも想像力を発揮して色々な事、処にチャレンジしていきたいと思います。