熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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屋久島、宮之浦岳

個人山行記録

参加者 軽石 単独行(ツアー登山、クラブツーリズム参加)
日 程 2012年5月31日〜6月3日

記 録
5/31 羽田8:05==鹿児島空港==鹿児島港==宮之浦港==安房宿舎15:00

6/1  宿舎5:00==淀川口6:00/6:15〜淀川小屋6:45/7:00〜花之江河8:50/9:00〜投石平10:00/10:30〜栗生岳11:30〜宮之浦岳12:00/12:15〜焼野分岐12:35/12:45〜平石13:30/13:50〜新高塚小屋.15:00(泊)

6/2  新高塚小屋6:15〜高塚小屋7:10/7:20〜縄文杉7:30/7:55〜夫婦杉、大王杉、 〜ウイルソン株〜大株歩道入口10:00/10:20〜楠川分岐11:20〜小杉谷休憩舎12:00/13:00〜荒川口14:00=チャーターバス=安房宿舎15:00

6/3  宿舎==バスで島内観光めぐり(千尋の滝、大川の滝、中間カジュマル巨木)       ==昼食後、安房港==鹿児島港==空港==羽田空港20:50


 初めてのツアー登山に多少の不安を感じたけれど、これまでの経験を生かせば何のことはないだろうと覚悟を決めて羽田で合流した。男性4人、女性5人に添乗員を加え10人のみである。ツアーのうたい文句「上級、屋久島フルコース 宮之浦岳〜白谷雲水峡」のせいか時期のせいか思ったより少ない。鹿児島港からジェットフォイルで宮之浦港に着くと本土で降っていなかった雨が降っている。道理で海上からも全く島の高さが見えないわけと納得。車で30分の安房(あんぼう)という町の宿舎に着き宿泊した。

 2日目、前夜紹介のあった地元ガイド2名が加わり、12名でタクシーに分乗して1時間、淀川口に着いた。最近はこの淀川入口が宮之浦岳日帰り登山の基地として、あるいは縦走スタート地点として利用頻度が高いようだ。曇り空の下ストレッチをしてから4人と5人に分かれガイドを先頭にスタートした。協会加盟のガイドは地層や花、島独自の植生について説明しながらなので飽きることはない。ツアーの良い点のひとつだろう。アップダウンを繰り返し次第に標高を上げていった。道はしっかりしており道標が500mごとについていて、一応の目安になる。島全体が花崗岩の隆起でできた経緯から特異な模様の岩肌が次々に現れる。断面に四角い数センチの結晶があるのが特徴的なのだそうだ。この岩は踏んだ時全く滑らないのが良い。安心して体重をかけられる。

 低い灌木が多くなり下りにかかると広い湿地帯に出た。花之江河という泥炭高層湿原である。道が四方に及んでいるところだ。ここを過ぎると森林限界が近くなり見通しが利くようになるはずが、この日はガスっていて見どころはシャクナゲ位しかなさそうだ。あちこちにヤクシカが葉をついばんでいるが人を警戒することは全くないようだ。体が小さいがこれは、環境に適応した進化なのだという。1800mを超えると奇岩、怪石といわれてるのが次々現れた。辺りは低木とヤクシマダケが主になった。本土と違って葉が小さい笹だ。

 森林限界が南アに比べ1000mも低いのは風の影響らしい。ガスの向こうに見えてきたのは巨岩のあるにせピークの栗生岳だ。三岳信仰の一峰で岩の隙間に祠があった。時折薄日も射し、宮之浦岳頂上からの好展望を期待したがやはりガスはとれず、永田岳の雄姿を見ることはかなわなかった。それでも西日本の最高峰に立ったことを実感した。15分で下山する。直下の岩陰にやはり祠があった。北東に向きを変えて下る途中はシャクナゲの群生がいたるところに見られ壮観である。来てよかったと思った瞬間でした。再び巨木の森に入り、ヒメシャラの大木がいたるところに目立つようになると間もなく新高塚小屋に着いた。

 15時着は予定通り。行動中にあまり降られなかったのは幸いだったがこのころから雨が本降りになった。ガイドの二人は早速水汲みと湯沸しで忙しい。することもなく水割りなど飲んでいる我々は「客」なのだとツアー登山の安直さを改めて実感した。18時過ぎにはシュラフに入った。終夜雨音といびきが途絶えることはなかった。

 3日目5時起床、外は雨、ガイドが湯を沸かしている。簡単朝食とコーヒーを済ませ雨の中ストレッチ後6:10スタート、木道と階段の多い道を上り下りし1時間で旧高塚小屋に着くとその先に間もなく縄文杉がその偉容を現した。10数m離れたステージから見上げる。改めて胴回りの大きさに圧倒された。7時過ぎの時間帯では他のハイカーは見当たらない。

 しかし、下山途中続々と人の群れと行き交った。雨中の縄文登山というのだそうだ。しかし、雨具を着けていないとか素足にサンダル履きといった姿の人も見られる。時に、長い階段では上りの人を上で待っているとかなりつらそうに登ってくる。この辛さはよくわかる。下っていくに従い夫婦杉とか大王杉とかウイルソン株といった名前の付いた古代杉が次々に現れ人も多くなってきた。大株歩道から始まる軌道の歩きは2〜3度の緩い下りで歩きやすい。雲水峡の一部が増水で渡渉がむずかしいかも、という情報を得て楠川の分岐は軌道をそのまま直進した。より安易な道を行くことになる。途中の休憩舎で昼休み、小杉谷集落跡からはレールの枕木を踏んで進むも多くは雨水に沈んでるところを歩く。安房川右岸の斜面奥はコケがびっしりとついた原始の森が広がっている。雨にあたったコケはつやつやして美しい。長い軌道歩きも2時間半におよび、ようやく荒川口に着いたときは正直ほっとした。2日目の行動は8時間、しかし終日雨にあたり体の中まで濡れてしまった。

 同じ宿舎に戻りすべてのものを乾燥室に入れようやくリラックス、他の皆も強い足をもっているなと感じた。普段の山歩きのペースより明らかに早かった。

 4日目は観光と帰宅の日だ。朝の内日差しもあり暖かくなったものの昼前から再び雨になった。「月に35日雨が降る」と言われるだけのことはある。鹿児島に戻ると雨の代わりに桜島の粉じんが降っているとのこと。タクシーの運転手がぼやいていた。

 市内観光などは不要と思うがツアーは渋滞の中を予定通り観光をこなした。土産物店ではつい、衝動買いしてしまう自分が情けない。羽田着も予定通りながら遅い時間(21時)は困りものだ。総じて、ツアー登山は横のつながりがない為自分本位になってしまう。また、添乗員の不慣れが小団体のまとまりを欠く状況を作る反面、個人としては気分も体もらくちんそのもので、やや満足程度か。したがってツアーの良し悪しは相半ばというところでしょう。