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2013年7月 北海道の山旅

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期  日:2013年7月20日(土)〜28日(日)
山域山名:北海道
 <7/22、23> 知床半島・羅臼岳、三ツ峰、サルシイ岳、オッカバケ岳、南岳、知円別岳、硫黄岳
 <7/24> 知床・斜里岳(オンネヌプリ)
 <7/25> 北大雪・ニセイカウシュッペ
 <7/26> 東大雪・石狩岳
 <7/27> 後志・羊蹄山
参 加 者:L宮田、福田(計2名)

行動記録:



7/20(土) 《仙台港からフェリー》   
北本(12:20)=仙台(16:00)=仙台港(17:30着/19:40出港)=苫小牧へ
<天候:晴れ>

 2013年の夏は9日間かけて北海道遠征へ。一昨年の9月に単独で、ニペソツ、雌阿寒岳、羅臼岳、十勝岳を登ったが、今回は福田さんとふたりで、知床連山縦走と日高幌尻岳をメインに据えて、埼玉から仙台港に向かった。

 夏休みに入った最初の土曜日とあって、苫小牧行きの太平洋フェリーは大混雑。車両もめい一杯で、最後はギチギチに縦列駐車で収まった。乗り込んですぐに、北海道でしか買えないサッポロクラッシックで、旅の成功を願って乾杯!!。日が暮れた仙台を出港、夜にはジャズコンサート、ロビーは広く清潔で、フェリーの旅は何とも優雅だ。2等料金に3千円プラスしてB寝台を予約したので安眠できた。(宮田記)




7/21(日) 《苫小牧toウトロ》    アルバム7/21

苫小牧(11:00着/11:30下船)=市街=沼ノ端西IC(13:30)=道央道=
旭川紋別自動車道丸瀬布IC=遠軽(16:00/17:10)=湧別(17:30/17:45)=
計呂地(18:00/18:10)=北浜駅(19:20/20:00)=小清水町原生亭温泉=斜里=
ウトロ(22:30)道の駅でテント泊
<天候:晴れ、オホーツク海岸線は霧>

 前夜からの太平洋フェリーにて、海を眺めながらの入浴と朝食。11:30定刻に苫小牧西港に着岸。フェリーから車の搬出に30分を要した。苫小牧駅近くのラーメン屋にて宮田くんお薦めの味噌ラーメンで北海道入りを祝う。

 北海道の道は、有料・高速・無料・一般を問わず快適であった。この日は太平洋岸に位置する苫小牧からオホーツク海に面する知床半島まで400q以上の道程を、途中途中で寄り道しながらの楽しい一日であった。

 サロマ湖のある湧別町・佐呂間町に隣接する遠軽町では「太陽の丘」と呼ばれる大きな公園を訪れ、「ピリカノカ瞰望岩」と名付けられた絶壁から遠軽の町を一望する。JR石北線の遠軽駅は途中駅であるが、車両の運転席が逆転する珍しい駅であった。この時の気温は20℃を下回る涼しさであった。

 その後、廃線になった旧中湧別駅や旧計呂地駅に立ち寄り、今も当時の様子がうかがえるレトロな駅舎や列車を見ることができた。JR釧網線の北浜駅は、一日に数本が行き交う無人駅であるが、おもしろいことにその駅舎が「停車場」というレストランとして利用されている。ここで、やはり宮田くんのお薦めホタテカレーを堪能した。駅の管理もしているのかもしれない店のオーナーから、近くの立ち寄り湯を教えてもらい、その後「原生亭」という温泉旅館のぬっとりとした北海道の温泉につかった。

 温泉を出ると、オホーツク海の霧の中であったが、順調に予定したウトロに到着した。17℃であった。(福田記)




7/22(月) 《知床連山縦走第1日》    アルバム7/22

ウトロ(5:10)=岩尾別温泉230m(5:35/6:10)→560m岩峰(7:10/7:20)→弥三吉水(7:40)→
極楽平(7:50)→銀冷水(8:30/8:45)→羅臼平(9:35/9:50)→羅臼岳1660m(10:40/11:10)→
岩清水(11:30/12:05)→羅臼平(12:20/12:35)→三峰分岐(12:50)→
三ツ峰キャンプ地(13:10/13:25)→サルシイ岳肩1540m(14:10/14:20)→
オッカバケ岳西峰1450m(15:15/15:25)→二ツ池(15:50)テント泊
北本(12:20)=仙台(16:00)=仙台港(17:30着/19:40出港)=苫小牧へ
<天候:晴れ>

 いよいよ知床連山縦走へ。北海道に向かう前から週間予報を気にかけていたが、今日、明日とも知床は晴れベースで大きな崩れはない。少々寝不足だが、夜が明ける前に起床した。海霧に包まれた道の駅うとろ・シリエトクで、テーブルを出して朝食をとる。

 知床国道から、羅臼岳、三ツ峰、サルシイ岳、オッカバケ岳と今日縦走する山が見えて、おのずとモチベーションUP。明日宿泊するホテル地の涯駐車場に車を駐めて出発。入山口の木下小屋の小屋番から「熊はよく出るが、人は襲われたことはないよ。稜線の水もあるんじゃないの」と素っ気ない返事だったが、他の登山者から今日もすぐ裏の山で子熊が出たと聞いた。

 登山道は初めから樹林帯の急登が続くが、気温が18℃くらいしかないので大汗をかくことはない。オホーツク展望台からは天頂山と奥に尖った知西別岳が見える。最初の水場の弥三吉水は冷たい水がたくさん流れていた。極楽平からは正面に端正な羅臼岳。銀冷水の水場はあまりきれいな流れではなかった。

 ガラ場の大沢は雪渓が埋めていたので、オホーツクをバックに爽快な風を受けながら、キックステップで登る。雪渓の脇には、エゾコザクラがたくさん咲いていた。傾斜が緩んだら羅臼平へ到着。ザックに入れてある食料は熊に襲われないようにフードロッカーへ保管。このフードロッカーは、知床連山にはテントが張れる羅臼平、三ツ峰、二ツ池に設置されている。

 デイパックで羅臼岳を目指す。ハイマツ帯から溶岩ドームがせり上がる羅臼岳の急登に取り付く。振り返れば、左にはオホーツク海、正面には知床連山、右には太平洋と、雲海上に国後島のルルイ岳と爺爺岳(チャチャヌブリ)が見える。足下の砂礫には、ミネズオウ、エゾノツガザクラ、チングルマ、名前が分からない花も、たくさんの高山植物が咲いていた。

 大きな岩を越えると羅臼岳山頂。斜里岳、海別岳、ウトロ港、遠くには網走の海岸線が見え、潮の流れがまるで田んぼ模様のようだ。ゆっくり景色を楽しんでから下山する。途中にある岩清水で、この先取れないかもしれないので、今晩のキャンプ用の水も補給する。岩をしたたり落ちる水を集めるので、じょうごが非常に役に立った。ひとり行動用2.5Lにテン泊用の4L以上をプラス。水をはとても冷たい軟水で、最高だった。

 羅臼平からまた大きなザックを背負う。しかも水が加わったのでずっしりと重い。縦走路入ると、いきなり藪漕ぎ。抜けると花花花が咲き乱れる。この先まだ長いので、三ツ峰山頂はパスしてサルシイ岳を目指す。鞍部にある三ツ峰キャンプ地は3カ所くらいにテン場があって、まだ雪渓も残っていたので水も十分取れた。

 お花畑を抜けて、急登に取り付く。このサルシイ岳は、羅臼岳に負けないくらい大きな山容だ。サルシイ岳山頂肩に立ったが、山頂への道はなかった。サルシイ岳北面には大きな雪渓があって、末端は豊富な水が流れていた。再び水を補給する。

 オッカバケ岳に立つと、硫黄岳の手前にやっと二ツ池が見えた。知床連山縦走でこの景色を一番楽しみにしていた。北の山らしい素晴らしい景色に感動する。雪渓を注意して下り、道が泥となった箇所を通過すると静かにたたずむ二ツ池の畔に出た。テン場は池畔の北側にあった。

 まずはとテント設営をするが、虫が多くてしかも獰猛。油断すると、服の上からも刺された。食料をフードロッカーに入れて着替えを済ませ、ひと仕事終わったらビールを冷やそうと、隣の池にあった雪渓を目指すが、夏道は迂回するルートに付け替えられて、隣の池がまったく見えない。仕方なくまたテン場に戻って、オッカバケ岳北面にあった雪渓に登り返す。プレモルを1分でギンギンに冷やして乾杯!。最高に贅沢なビールでしょう。

 今日は北太平洋沖の高気圧から吹き出す風で、絶えず太平洋側は低い雲に覆われていた。逆にオホーツク海側はほぼ快晴で、知床は両側を大きな海に挟まれて、大気がぶつかりあうところだと実感できた。冬の知床は、人が簡単に飛んでいくほどの烈風が吹くという。

 テン場に戻って夕食を取る。二ツ池の水は、沸騰させたとしても勇気がいるかも?といった感じ。途中で水ポリを満杯にして正解だった。寝る前に見た、月に照らさせた二ツ池は幻想的だった。(宮田記)




7/23(火) 《知床連山縦走第2日》    アルバム7/23
二ツ池(5:40)→南岳1459m(6:30/6:40)→知円別岳1544m肩(7:35/7:50)→
第2前衛峰(8:50/9:00)→硫黄山分岐(9:15/9:20)→硫黄山1562m(9:40/9:50)→
硫黄山分岐(10:00/10:30)→硫黄沢雪渓最上部1280m(10:55/11:00)→
雪渓末端1000m(11:25/11:35)→沢出合(11:45)→尾根850m(12:00/12:10)→
新噴火口(12:25/12:30)→硫黄山登山口240m(13:25)→カムイワッカ橋(14:00)=
タクシー=岩尾別温泉地の涯<泊>
<天候:晴れ、稜線は時々霧>

 3:30起床、気温は14℃。4:00朝食・テント撤収後、のんびりと出発。天候はまずまず。足下には様々に色づいている高山植物が見事。時にはハイマツをかきわけ、またあるときは残雪のような白い岩肌を。硫黄山からの雪渓ではそれなりにアイゼンも活躍。

 西には真っ青なオホーツク海。東を見れば、根室海峡を隔てて雲が立ちこめているもののうっすらと国後島。知床半島を縦走する大満足の日となった。

 ヒグマの高密度生息地としても知られるが、遭遇することはなく、熊スプレーの出番はなかった。ヒグマの爪から頭を守ろうと身に付けた、中学生自転車用ヘルメットは枝に頭をぶつけがちな私には大いに役だったが。

 当初16:00にウトロ観光ハイヤーを予約していたが、14:00に変更してもらい、早めに今夜の宿に到着。しめったテントも駐車場でビールを飲みながら乾かし、気分爽快で宿へ入り、露天風呂つきの素敵な広々した温泉につかりその後また一杯・・・。至福の一日であった。(福田記)




7/24(水) 《斜里岳》    アルバム7/24

岩尾別温泉(8:20)=清岳荘680m(10:20/10:30)→下二股(11:15/11:25)→旧道→
上二股(12:35/12:50)→馬の背(13:10/13:20)→斜里岳1547m(13:35/14:10)→上二股→
新道(14:50/15:00)→能美峠(15:10)→下二股(15:40/15:50)→清岳荘(16:20/17:30)=
斜里市街(19:00/21:10)=遠軽町(24:00)
<天候:晴れ、稜線は時々霧>

 知床連山縦走が無事に終わり、今回の北海道遠征もうひとつのメインとした日高山脈幌尻岳に向かうため、今日は登山口までの移動の予定だったが、道南から胆振日高地方にかけては、昨日から雨雲がすっとかかって天候が悪い。今日、明日以降も日高周辺は湿った南風の影響を受けて天候が思わしくなく、明日以降は、日本列島を大きな低気圧(寒冷渦)が覆って、道内全域も下り坂に向かうとの予報が出ていた。TV天気予報、山テン、ネット気象サイトを見ながら…‘う〜〜〜ん’と考え、今日のこの晴天が最後かも?、これを逃してはもったいないので、まだ登ったことがない近場の斜里岳に登ることにした。

 岩尾別温泉をあとに、斜里市街のコンビニで行動食を買って登山口に向かう。清岳荘は鉄筋3階立てであまりのきれいさにびっくり。比べて本州の避難小屋はどこもひどい。

 出発が10時30分と遅くなってしまった。北海道の登山口は、ほとんど入山ポストに設置してある登山者名簿に、入山時刻と下山予定時刻を記入する方式であるが、下山が遅くなる登山者も多いらしく、ここ斜里岳は清岳荘管理人が夕方にチェックしていた。

 林道に下りて10分くらい歩くと再び登山道となる。一般ルートといえでも、石伝いに渡渉やへつりもある。下二股から旧道はほとんど川歩き。羽衣の滝、方丈の滝、見晴らしの滝、七重の滝ときれいなナメ滝の水線脇を登っていく。今日の水量は少なく登山靴で十分であるが、雨が降れば沢靴が欲しくなるような感じだ。快晴の空に明るく白い滝、眼下にはパッチワークのような畑と、最高の情景を楽しみながら登った。

 上二股からは流れも細くなり、水がなくなると胸突き八丁と呼ばれる急坂にさしかかる。さすがに汗びっしょりになって馬の背へ。尖った1508mピークと左に南斜里岳、登路の先には斜里岳山頂が見える。斜里岳もいい山だと実感。ヨツバシオガマやチングルマに迎えられて斜里岳山頂へ。時間がずれたためにほかに登山者はなく、のんびりと昼食を取る。

 下山は上二股から新道を取る。新道は尾根ルートで快適なスカイラインで、一ノ沢源頭部に拡がる斜里岳稜線を眺めながら稜線散歩を楽しむ。能美峠からは一気に急坂を下る。旧道と合流したら沢を下れば清岳荘へ戻った。

 ベンチ前で夕食を食べていた三重から来た方としばし談笑。まちわびた定年後の初めての北海道で、7月初めに名古屋から太平洋フェリーで約1ヶ月間、ひとりで山を登りながら旅をしていると。道南の羊蹄山から日高幌尻岳、楽古岳、暑寒別、夕張、大雪十勝、二ペソツ、阿寒と登って、明日は斜里岳へ。とても楽しそうでした。(うらやましい〜)

 幌尻岳は、占冠林道からポロシリ山荘に泊まって往復したそうで、林道ゲートから片道19キロを歩き通せば、渡渉もなく幌尻岳を登れるらしい。最近は、幌尻山荘の混雑を避けてツアーもあるようで、最近は歩く人が増えているそうだ。憧れの七つ沼カールでテン泊はできないが、悪天でなければ最後の2日間に強行できなくはないかも?、とプランのひとつに入れることにした。

 山麓から斜里岳を眺め、来雲公園で湧水をたっぷりと補給し、夕暮れの中斜里駅に立ち寄り、GSのおじさんに教えてもらった斜里市街にあるグリーン温泉で入浴。原生亭もそうだったが、鉄分が強い茶色の温泉で熱いのなんの、地元の温泉はみんな熱い風呂が好きなようだ。温泉に入ったあとは、コインランドリーに洗濯物をぶち込んで、教えてもらった里味で夕食。知床産鮭ほぐしみ&生ほたて丼を食べる。

 天気予報をチェックしたところ、道南や日高方面は相変わらず明日も雨の予報。道央方面は崩れるのが遅めとの予想があったので、明日は、より雨雲がかかりにくい大雪山北東側にあるニセイカウシュッペを目指すことに決める。斜里から登山口のある上川町までは約250q。行ける所までいこうと深夜のロングドライブへ。(宮田記)




7/25(木) 《ニセイカウシュッペ》    アルバム7/25

遠軽町(6:00)=丸瀬布IC=旭川紋別自動車道=浮島IC=古川砂金超林道(6:45)=林道ゲート(6:50)=林道終点登山口1137m(7:25/7:50)→見晴台(8:55/9:05)→大槍→ニセイカウシュッペ山1879m(9:40/10:20)→大槍分岐(10:30/10:35)→登山口(11:45/12:15)=林道ゲート(12:50)→上川町(13:20/15:00)→糠平温泉(16:25) 糠平温泉山湖荘泊
<天候:くもり、昼過ぎ一時小雨>

 4:00起床、気温は16℃。4:55テント撤収を完了して車で移動。途中、コンビニで朝食等をすませる。天候はまずまず。それもそのはずで、宮田くんがインターネットと多年にわたる山での経験を駆使して、天候の安定しそうなポイントを選びながらの登山の毎日である。

 当初の計画では、知床縦走とともに、いやそれ以上に大きな目標であった幌尻岳に入山する日であった。最終的に今後の楽しみとして幌尻は取っておくこととなる。というのも、もし各種登山口を考慮しどこからか雨の中アプローチしたとしても、その後の天候回復が見込めない状況であった。宮田くん単独であれば、素早い行動での登頂も可能であったろうが、相方の私の体力・技量を考えれば・・・。厚意を甘んじて受けることとなり日帰り登山となる。

 登りだしてから1時間もたつと、南西に大雪山の峰々がきれいにみえた。山頂でゆっくりと景色を楽しんだ。荷物も軽かったし、往復4時間余りの、柔らかな山容にふさわしいちょっと一服といった思いの登山であった。

 下山後、上川町の観光協会で薦められた、ラーメン日本一をうたう上川駅近くの「きよし食堂」で昼食。店に飾ってあった、往年のプロ野球選手箕田の写真や地元出身スキージャンパーの話で盛り上がりながらすすったその味噌ラーメンは確かに美味しかった。その後、本屋さんによって、層雲峡を車窓に見ながら素敵な温泉民宿、ぬかびら温泉「山湖荘」に宿泊。野趣あふれる洞窟温泉風呂と心づくしの料理に生ビールと、これまた至福の一時を過ごすことになった。(福田記)




7/26(金) 《石狩岳》    アルバム7/26

糠平温泉(6:00)=石狩岳シュナイダーコース登山口800m(9:40)→1126m(10:35/10:45)→
1580m(11:50/12:05)→稜線1770m(12:30/12:40)→石狩岳1966m(13:05/13:45)→
稜線1770m(14:00)→1580m(14:25/14:30)→1126m(15:15/15:25)→登山口(16:10)=
幌加温泉鹿の谷(17:00/18:10)=芽室町(20:00/21:00)=
道東自動車道&道央自動車道=豊浦町(24:30)
<天候:曇り>

 昨日からの雨が朝方まで強く降り続いた。天気予報も道東知床地方を除いて雨か曇りとよくない。幌尻岳登山は完全に消滅だ。気を取り直して、糠平温泉から近い名山、石狩岳に行くことにする。石狩岳登山口は予想に反して先行パーティがひとつあるのみ。名山でも百名山でなければ、どこもこんなものなのだろう。

 樹林帯を30分ほど歩き、二十一ノ沢は倒木をつたって渡渉。ここから北海道指折りの急登となった。藪漕ぎに岩場ありと変化に富んだシュナイダーコースは緩やかな道が多い道内では珍しいだろう。1600mを越えたら雲海の上に出て、急峻な石狩岳東面が眺められた。

 稜線に出たら堂々とした石狩岳が大きい。遠くに、高根ヶ原と旭岳も何とか見える。砂礫にはコマクサも咲いていた。ここから石狩岳山頂まではハイマツの稜線を登る。グングン高度を稼ぎ、振り返れば音更山もまことに格好いい。この山域は山スキーパラダイスに違いない。

 誰もいない石狩岳山頂に立つ。この先の稜線を小石狩岳を越えてさらに行けば、沼ノ平までは7時間の距離。沼の平の左奥には、かすかにトムラウシ山が見える。十分に展望を楽しんだら下山開始。尾根は危険な場所もあるので慎重に下った。

 下山後は、秘湯の幌加温泉へ向かう。昔は食事も出したらしいが今は素泊まりのみで、耳の遠いおばちゃんが守っていた。内湯は源泉の違う湯船が3つ並ぶ。お湯はお決まりの熱め。露天に入ろうと内湯から出てみたら、鹿が2頭!!いた。まさしく宿の名前‘鹿の谷’のどおりか。

 まったりしたら高規格道路の車道を走り、上士幌町名物10qを越える直線道路を抜けて、帯広の西にある芽室町へ向かう。‘あかずきん’で十勝名物の豚丼を食べる。満腹になったあとは、近くのスーパーでクラシックをお土産に買い、芽室ICから高速に乗る。目指すは遙か彼方の羊蹄山。苫小牧で豪雨にあったが、なんとか夜中に洞爺湖ICに着いた。とようら道の駅でテントを張って仮眠。(宮田記)




7/27(土) 《羊蹄山》    アルバム7/27

豊浦(7:20)=真狩コース登山口370m(8:15/8:30)→4合目990m(9:45/10:00)→
8合目1600m(11:25/11:40)→外輪山1850m(12:25)→羊蹄山1898m(12:50/12:55)→
羊蹄山避難小屋1680m(13:45/15:00)→4合目(16:00/16:10)→真狩登山口(17:00/17:40)=
道央自動車道=千歳空港(19:30/20:20)=苫小牧(20:50)=苫小牧西港出港(22:00)
<天候:曇り時々雨、稜線は暴風>

 5:00起床。6:15テント撤収を完了して車で移動。途中、コンビニで朝食等をすませる。天候は今にも泣き出しそうな曇り空、時折薄日も差す。最終日の登山、多少4合目より上での霧雨に、今回の登山旅行で初めてカッパを着用するも決定的な雨には至らずラッキーであった。登頂を断念するパーティーもあったようだが、山頂部のお鉢巡りでは風が強いとはいえ、私たちの行動を阻むものではなかった。

 昼食は休憩料300円を支払い、避難小屋でとる。数パーティーが同様に休んでいたが、我々と入れ替えに小屋を後にしていった。小屋の管理人さんは、気さくな方で私たちとの会話もはずんだ。

 今回は、山頂からの眺めはのぞめなかったが、この約1週間にわたる登山旅行の満足感いっぱいに心晴れ晴れと山を下り始めた。

 新千歳空港でお土産を買い、港近くの回転寿司やさんで新鮮なネタに舌鼓をうった。早めに商船三井フェリーに乗り込み、入浴後北海道で最後のクラシックを飲んでしめくくった。

 私個人としては、連日の登山ということもあってそれなりの疲労はあったものの、山と仲間と現地でのたくさんの人たちとの出会い、おいしいビールに料理の数々と充実した毎日で大満足であった。ただ、次の機会に幌尻岳に行けるだけの力を身に付けていかねばと、体力を維持するだけでも大変な私には大きな課題がある。でも、宮田くんのおかげでいい思いをいっぱいすることができたので、日頃からトレーニングに励もうとする意欲がわいてきました。(福田記)




7/28(土) 《苫小牧to大洗》    アルバム7/28
苫小牧西港出港(25:30)=大洗港(7/28 19:45)=ひたちなか(21:15)=北本(23:00)

 商船三井フェリー「さんふらわあ深夜便」は娯楽施設が一切なく、喫茶スペースがあるのみでトラック専用船のような感じ。部屋はすべてBOXで仕切られたベットのみだが、運良く4名部屋を二人で使えたのでラッキーだった。

 大洗に着くのは午後7時過ぎ、朝起きてから展望室やデッキに出たりしながら、のんびり〜とくつろぐ。大洗港に入ると、街では花火が上がっていた。昨日は大雨で中止になったらしい。下船後は腹ペコペコで、最後もラーメンが食べたくなったので、隣町のひたちなかにある「ラーメンすずなり」へ。こってり系だが、美味しいみそラーメンで締めた。


 何度行っても、北海道の山は、奥深く、美しく、自然が残されていて、素晴らしい。また、北の山特有の気象条件の厳しさもあって、登山の対象としての魅力も大きい。今回は天候が不安定で、メインとした幌尻岳に登れなかったのは残念だったが、次回の楽しみにとっておくことにしよう。

 名山に登り、たくさん温泉に入り、美味しい食べ物をいただき、地元に人や山旅人との語らい、どれをとっても最高の山旅でした。(宮田記)