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夏の名残の仙丈ケ岳


【個人山行記録】


◎山域山名:南アルプス・仙丈ケ岳(3032.7m/山梨県南アルプス市、長野県伊那市)
◎期日:2014年9月13日(土) 晴れ
◎参加者:6人:CL金子、会員外5人(金子の息子〈小3〉、30〜40代の男女2人ずつ)

◎行程 ※―交通機関、…山中の徒歩
新宿駅西口1:30―〈レンタカー〉―中央道・白根IC3:00−南アルプス市営芦安駐車場3:40〜4:10…バス停4:30〜5:15―〈山梨交通バス〉−広河原6:20〜6:30−〈市営バス〉−北沢峠(2036m)7:00〜7:20(スタート/6℃)…大平山荘(1960m)7:35…薮沢合流点8:45〜9:00…馬の背ヒュッテ(2630m/15℃)10:00〜10:20…仙丈小屋(2880m)11:05〜11:15…仙丈ケ岳山頂11:35〜11:45…仙丈小屋12:00〜12:45…小仙丈ケ岳(2855m)13:25…大滝頭(2519m)14:00〜14:10…北沢峠15:15(ゴール)〜15:30−〈バス〉−広河原16:05〜16:10−〈乗合タクシー〉−市営駐車場17:00〜〈温泉入浴〉〜19:00−甲府駅19:45〜(レンタカー返却)〜20:02−〈特急かいじ〉−新宿駅21:39(解散)                 ※行動時間7時間55分(休憩含む)

 この夏、芦安と広河原を結ぶバスは8月末まで不通だった。しかも3連休初日とあって、ある程度の混雑を見込み、芦安の駐車場始発のバスに向けて早めに出たつもりだった。
考えが甘かった。午前4時前の時点でバス停に近い駐車場はすでに満杯。第6、第7あたりに回るよう指示される。暗闇の中、なんとかスペースを探した。当初は1時間程度の仮眠も考えたが、そんな猶予はないと判断。すぐ身支度を整え、バス停へ向かった。すると、乗合タクシーが呼び込みを始めており、始発前の時間帯にもかかわらず、連なって出発している。待機の列に並んでいると、「タクシーは満員。次の便は1時間半後」。今度は慌ててバス停に並んだ。日の出前の早朝から、山奥で人々が殺気立って我を急いでいる。夏山の最盛期でもこれほど混雑するのだろうか。
 バスの始発便は4台のみ。これを逃すと、後発に乗れる保障はできないと言われる。座席を確保されている範囲内に並んでいたと思っていたが、3人ずつに分断され、結局は座れたのは1人ずつ。私と息子は段差を利用して床に座った。満員の道中は、延々とスタッフがマイクを握って「右手に見えますのは……」と観光ガイド。疲労と眠気の体にこたえる1時間だった。
 広河原では、一目散に北沢峠行きに乗り換えた。多くが北岳方面を目指したのか、席には余裕があった。ともかく、今回の最大のハイライトが、始発便に無事乗り継げたことだった。天候の悪かった夏の反動も重なったのか、地元の人も驚く大混雑だった。下山後に聞いた話によると、始発便を逃したことでバスが3時間待ちになり、北岳登山を断念した人もいたという。我々も、あと15分遅かったら危なかった。
 北沢峠からは日陰の寒さに秋山を感じながら出発した。鋸岳の鋭い稜線が日差しで輝くころには、暑さを感じ始めた。雪渓の残骸が見える薮沢に入ると、むしろ夏山の雰囲気を感じさせてくれた。背後には甲斐駒ケ岳の雄姿がそびえ立つ。小さな滝に高山植物と、変化に富んだ道で高度を稼ぐと、馬の背ヒュッテに着いた。清涼な水が疲れをいやす。
 稜線に出ると、仙丈のカールが目前に迫る。昨夏以来、夏山では悪天候に悩まされており、久しぶりのアルプスの展望に心が躍った。ただ、北側からはどんどん雲がわき、早くも甲斐駒は姿を隠した。仙丈小屋に荷物を置くと、山頂をピストン。一瞬ガスに覆われたが、北岳方面の展望は開けていた。
 手早く昼食を済ませ、午後3時半の最終バスを目指して急いで小仙丈尾根から下山に入った。つい長居をしてしまったため、コースタイム通りでちょうど、という時間帯だ。小仙丈ケ岳までは小刻みなアップダウンがあり、標高差1000mを早く稼ぎたいのにもどかしい。甲斐駒は、山頂付近が残念ながらずっと雲に覆われていた。晴れていれば、正面に眺めながらの下りは爽快だろう。
 小3の足を心配したが、バス出発の15分前に無事に到着。広河原からは乗合タクシーを使った。朝は闇の中で気付かなかったのだが、車を停めたすぐ隣に金山沢温泉があり、入浴。順調に山が終わった、と思った矢先、同行者の1人が携帯電話を行きのバスに忘れていたことが判明。温泉スタッフの好意で施設まで届けてもらう運びになったが、レンタカーの返却と帰りの電車の時間が迫ったのでタイムアップ。車を飛ばして、バタバタと甲府駅に滑り込み、帰路についた。携帯は後日、宅配便で届いたという。
〈記・金子〉