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新雪の蓬峠

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山域山名:上越国境・蓬峠(群馬県)
期  日:2014年11月16日(日)
参 加 者:L宮田、福田(計2名)
行動記録:土合駅760m(7:30)~虹芝寮(8:40/8:50)~白樺尾根鉄塔(10:50/11:00)~白樺避難小屋(11:25)~蓬峠1529m(13:05/13:50)~白樺避難小屋(14:40/14:45)~芝倉沢(15:55/16:00)~土合駅(17:10)
<天候:曇り、稜線は霧>

 強い冬型になった週末、新雪の山を歩きたくなり上越国境に向かった。紅葉シーズンも終わったので、早朝の土合駅に他の車はない。駅舎越しに見上げる白毛門はまだ雪雲に覆われていたが、尾根は下の方まで真っ白だ。湯桧曽川にかかる土合橋たもとの清水街道新道分岐から蓬峠まで、ちょうど10㎞の標識が立っていた。

 林道は冬季に入ったためか、すぐに通行止めのロープが張られていた。さらに1㎞ほど行くと林道は終わり、ほどなく落ち葉に新雪が積もったマチガ沢出合に出た。谷川岳稜線は厚い雪雲に覆われていたが、マチガ沢の岩壁は冬の装いだ。

 一ノ倉沢出合を過ぎると真っ白になったが、何やら怪しい足跡が…ついていた。慌ててラジオを鳴らして笛を吹く。先行者(熊)は、夏道の上を奥へ奥へと進んでいた。雪が積もってなければ人間は気がつかないが、彼らはいつも通っている道なのだろう。新雪が積もり落葉したブナの森はモノトーンカラーで、紅葉の頃の派手さはないが、山を歩くには静寂の初冬が一番のお気に入りだ。

 JR巡視小屋と虹芝寮が建つ芝倉沢に出ると、急に視界が開けて、幽ノ沢と堅炭岩が覆いかぶさるようで圧倒的に迫る。その先で消えていた先行者の足跡が再び現れたが、足がさっきより小さめなので違う者のようだ。新道は所々岩壁迫る湯桧曽川右岸を高巻き気味に行く。水量が多かった武能沢も問題なく渡渉し、白樺尾根に取り付く。ここまでずっと付いていた先行者の足跡は、やっと森の中へ消えていった。

 白樺尾根に入るとグッと積雪が増えて、鉄塔付近の積雪は30㎝超だ。もはやラッセルトレーニングとなり、目標は武能岳だったが蓬峠に変更だ。小雪が舞う白樺避難小屋で誰も来ないね、と話していたら、トレースにつられて単独の女性が登ってきた。この後は3人で交代しながらラッセルする。

 小沢を2本越え、白樺沢出合では滑りやすい岩が隠れているので、足場を確認しながら斜面を進む。次第に視界がなくなり、峠下の吹き溜まりでは膝上の激ラッセルへ。何とか蓬峠に到達し、休まずに峠の北方に建つ蓬ヒュッテへ向かう。ヒュッテの入口は簡易カラビナでロックしただけだったので、小屋の中に入って休憩する。外気温はマイナス2度だったので、ゆっくりできる小屋はありがたい。

 初冬は夕暮れが早いので、休憩もそこそこに下山開始。午後になっても天候は回復せず、深い霧のなかを下る。避難小屋までくると空も少し明るくなり、湯桧曽川対岸に連なる朝日岳大倉沢とその右には笠ヶ岳の頂きが姿を見せた。湯桧曽川沿いの樹林帯は、日中も日差しがなかったので、雪はほとんど融けなかったようだ。急ぎ足で下ったが、土合駅に到着する頃には薄暗くなっていた。                  (宮田記)