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雪上訓練 谷川岳・マチガ沢

アルバム  


谷川岳マチガ沢雪上訓練

1 山域 谷川岳
2 目的 雪上訓練
3 期日 2015年4月5日(日)
4 参加者 CL浅見、大嶋、石川、豊島、橋本義、花森、菅谷、平岡、福田、木村、金子、橋本健

5 行動記録 (天候 曇り時々雨)
  谷川岳ロープP8:00−マチガ沢出会い8:40/14:20−谷川岳ロープP14:50

 天気予報はあいにくの雨の予報。山行ならいざしらず雪上訓練ならば、雨もまた訓練。

自分は山スキー以外に冬山も少々やったことがあるが、このような訓練は初めてなので、ワクワクである。

 谷川岳ロープPから歩き始め、登山指導所のすぐ先でアイゼンを装着し、マチガ沢出会いへと進む。ここのところの高温傾向で雪解けは早まったようだ。この春の賞味期限は短いかもしれない。

 マチガ沢出会いにはマチガ沢への入山規制ロープが張られている。実際この日も大きな雪崩音がして雪崩れていた。

 いざ訓練開始。まずは滑落停止の訓練である。斜面を滑りながらピッケルを斜面に突き刺していく。前向き、後ろ向き、頭から、転がりながら・・・。いろいろな体勢で試みる。終わりの頃には体が慣れてきて、初めよりスムーズに刺せるようになってきたが、この日はやや腐れ雪、カチカチのアイスバーンではどうなることか、不安は残る。

 手と体はずぶ濡れになってしまったが、続いてハーネスを装着してのロープワーク訓練。ムンターヒッチ、クローブヒッチ、エイトノットを使って木を支点に懸垂下降、引き上げの訓練。これは自分一人の問題では無いので、より重要である。10mmザイルに体重をかけ、きちんと停止するのか、スムーズに降ろせるのか、確認しながら練習していく。

 最後にセルフビレイ(スタンディングアックスビレイ)の練習。下降したいところに都合のいい木がない場合にはこの方法となるので重要だ。雪面にさしたピッケルが支点となるので意外なほど荷重はかからなかった。

 ひとしきり練習したら、ツェルトを張って、その中で昼食。家形に張るタイプのツェルトは綺麗に張れていたが、自分たちの班のはモノポールタイプ(?)のツェルトであったためか、上手く張ることができなかった。個人で持っているツェルトは張り方など確認済みだが、共同装備で持つものはツェルトに限らず予めよく確認しておくことが必要であると痛感した。

 休憩が終わったらロープワークの続き。今度はコンティニュアスの練習。1本のザイルに4人連結して、歩きながら誰かが滑落したとの想定で、訓練である。予めザイルの輪を作って持っておき、落ちた瞬間にそこにピッケルを突き刺して滑落者を停止させる。実際の場面になると「落ちた瞬間に」が難しそうである。ただ適切に使えば、上手く停止させられることがわかった。

 訓練が全て終了し、マチガ沢出会いを後にする頃には、見えていなかった白毛門やマチガ沢上部も見えてくるほど天候が回復していた。

 この日に使った技術はそうそう使うものではないのかもしれないが、知っているのと知らないのとでは大違いであると思う。これからも技術、特にセーフティ技術の習得に励んでいこうと思った一日であった。(橋本健)




 今回参加させて頂いた雪上訓練で、特に重要だと感じ、自分でも実践しようと思ったことをまとめてみました。(以下 菅谷)

@ 滑落停止

転ばないことが、何よりいちばん大事。もしも転倒したら、スピードがつく前にピッケルや身体を使って滑落を防ぎ、とにかく加速しない事。もちろんピッケルの持ち方、使い方の訓練は必然です。


A アイゼン歩行

実際にアイゼン歩行をする前に、自宅で登山靴とアイゼンの相性を確認し、装着する練習をしておく必要があります。山でアイゼンを使用する状況は、自宅よりもはるかに厳しい環境だからです。登山靴との間に緩みや隙間があるものには、自分で工夫して事前に加工をすることも大切です。長時間の山行等で疲れてくると、うっかりアイゼンの歯をパンツの裾に引っかけて転倒事故になることがあります。このような事故を少しでも防ぐために、アイゼンに左右で色違いのゴムテープ等を利用し、登山靴との隙間や遊びがなくなるようにストッパーの外側を加工して歯の角度を調節したりします。現場で命を預ける大切な道具の細かいところにまで気を配り、そして実践で練習を繰り返し行うことが重要です。


B ロープワーク

 8の字結びや、通し8の字結びは基本中の基本。必ず覚える必要があります。そしてムンターヒッチとクローブヒッチ。片手でもできるようにしておくべきです。ボウラインノットはハーネスや簡易ハーネスがない緊急時の代替えにもなるので、目隠しでもできるようにしておくのが大切です。これらの結び方を活用して、懸垂下降やスタンディングアックスビレイやコンティニュアスの練習をしました。ロープワークのポイントは、何回も繰り返し練習するとその時は覚えますが、普段の生活でほとんど使わないので、しばらく練習しないとやり方を忘れてしまう事です。そうならないために、練習用の短い紐などを用意しておき、忘れる前に定期的に練習することです。


C ツエルトビバーク

ツエルトを活用すると、悪天候から身を守ることが出来ます。細引きやロープ、ストックやピッケル、立ち木などを利用して、いかにツエルト内部の居住空間を作るかがポイントです。もちろん頭から被るだけでも良いですが、テントのようにしっかり形を整え設営してガスコンロ等で暖をとると、とても快適な空間になります。非常時に持っているのといないのとでは雲泥の差があります。そして厳しい条件下でも、きちんと設営できる技術を身につけることが必要条件です。




 今回、講師でリーダーの浅見さんは、雪山登山の経験が全くなかった自分を、何とか3000m級の雪山にも挑戦できるまでに指導して頂いた先輩の一人です。親切で丁寧なアドバイスには、経験から生まれた実践的な工夫が感じられます。いつも貴重な知識と知恵を伝えて頂き感謝です。指導のもと、初めて雪と氷で覆われた真砂岳の頂上に立てた時の感動は今でも忘れません。