T 特別寄稿

マナリ大洪水 ドキュメント

 森 田 千 里

今年は例年にない強いモンスーンの夏でした。そのモンスーン明けに100年来の大洪水、熊谷ラダックチームとのかかわりで、記録を追ってみました。

9月1日夜 久しぶりに美しい星空、銀河の流れ。モンスーンもいよいよ明けるか?

9月2日 朝8時、曇り サンペル君、レーへ向かって単身出発。キャンピング装備を ジープに積んで5日にはレー空港でメンバーを出迎えの予定。

9月3日 朝8時 森田、車でクルへ出発。クル発アルチァナ航空は遅れ、雨の中 を16時デリー着。ヒヤヒヤのフライト。

同日深夜、熊谷隊、デリー到着。市内も水びたしの所あり。

9月4日 マナリ地方、終日雨。夕刻より大増水。

9月5日 夜来の雨で道路寸断。バシストの1km上流のバング村、流失壊滅。刻々被 害増大。

クル〜マナリ間の国道の60%が流失、壊滅。

同日 デリーよりレーへのフライト、キャンセル。空港で待つがレーが雨のためつ いにセントール・ホテル泊。6日に飛べるかどうかも不明。

9月6日 とにかく空港へ行けという。ヒヤヒヤしながらも、とにかく天候回復し、飛 ぶという。何とかもぐり込める。でも着けるかどうかは着いてみなければわか らん、が 無事レーへ。

人混みの中にサンペルが迎えに来ている。ひと安心。彼は雨の中を3日夜に レーに到着したという。

飛行機の中から見下した、バララチャ附近はすごい新雪の山々、何とまあ美 しいというところ。

マナリから、5日に出発予定の2台のジープとコック等のスタッフは出発で きず。サンペルにしろ、後発ジープにしろ、途中でこの洪水につかまったらニ ッチもサッチもいかなかったところです。

9月15日 楽しくトレッキングを終えてデリーへ。

マナリへの旅は、いつ道がひらくか見当もつかず、予定変更し、デリーに飛 ぶことにする。しかし16日よりフライト数も減るし座席の確保も極めて困難 となるので、15日にねじ込む。

9月16日 森田、クルへ到着、快晴。大洪水は知る由もなし。タクシーにマナリと言う とドライバーが笑っている。そこで聞いてみると何と大変なこと。ポーターを 連れてタクシーを乗り継ぎ、河原を歩いたりして対岸へ渡り、高まきにしたり、 6回乗り継いで、アシュラムにたどり着いたのが夕方6時。クルは11時に出 たのです。いやはやびっくり。アシュラムは無事でした。

9月25日 サンペル帰着。バララチャは当初、積雪は120cm位だったとのこと。ダ ルチャとバララチャの間、ダルチャとケーロンの間、チャンドラ河岸、シス村 近くでも道路が壊れていたようです。ジープはパルチャン村に置いて歩いて帰 り、3日後に何とか持ってきました。ジープと荷はレーで越冬させ、サンペル は空路帰ることになるかもと思っていたのですが、ひと安心。

銀行に金が不足したり、野菜が不足したりで、電気、電話もほぼ回復したのが2カ月後です。いま車はクルの上流から対岸を通って、マナリの橋の所へ出ています。いやはや自然のパワーに驚いた大水でした。熊谷チームは幸運を背負っているようです。

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