山域山名:奥秩父・荒川源流、入川水系、真ノ沢本谷&甲武信岳(山梨県、埼玉県)《熊谷から見える山》
期 日:2007年6月1日(金)〜3日(日)
参 加 者:CL浅見 SL宮田 駒崎、木村(計4名)
行動記録:
6/1
入川渓流観光釣場P(9:00)→920m(10:00/10:15)→赤谷沢出合《荒川起点の碑》(10:20)
→1200m(11:05/11:20)→柳避難小屋(12:50/14:00)→1390mビバーク地(17:30)
(天候:晴れ後曇り)
前夜は時折激しい雨が降り天気を心配したが、朝には止んでおり一安心。駒崎邸に集合し出発。入川の駐車場に着くと、今日は地元の漁業組合の会合があるとの事で初めは駐車を断られたが、何とか端の方に車を置かせてもらえた。装備を振り分け出発する。
赤谷沢出合までは森林軌道跡の広くて歩きやすい道を進んでいく。美しい新緑のトンネルの道で気分がいい。赤谷沢出合には荒川起点の碑があり、さっそく記念写真を撮る。赤谷沢を吊り橋で渡った後、初めは赤谷沢沿いに道が続いていたのでこの道でよいのか不安であったが、やがて柳小屋方面への分岐が現われたのでほっとする。尾根を巻く1200m付近まで登りが続く。登りきった所で一息つく頃には晴れ間も覗くようになり、行く手はるかに目指す稜線が望めた。ここから柳小屋までがまた長かった。もう着くのではないか?と思ってもなかなか小屋は見えず、到着したのは出発してからおよそ4時間が経過した午後1時前であった。
小屋前のベンチで昼食休憩の後、沢装備を身につけ出発。小屋前の吊り橋の脇から流れに入り、わずかに進んだ所から真ノ沢に入る。しばらくは河原歩きが続く。水はそれほど冷たくはない。やがて「通らず」のゴルジュに出る。遡行図に従って左岸を巻く。踏み跡はついていたが、途中足下が不安な場所があったのでロープを出し安全策をとる。
次のF2は右岸を高巻き、その後の小滝も順調に巻いていくが、途中の3m程の滝で自分の不注意からヌメった岩の上に乗ったため滑り落ちてしまった。幸い上手く着地出来たため左太ももを強打しただけで済み、その後も行動できたが、軽率であったと反省している。落下した精神的ショックと、付いて行くのに必死で、この日のこの後のコースの印象があまり思い出せないが、新緑と苔むした岩の、いかにも奥秩父らしい景色がずっと続いていて綺麗だったという印象は残っている。
午後5時を過ぎて地形図上の1400m付近の平坦地にビバーク地を求め入っていくと、辺りをシダに縁取られた台地状の良さそうな場所を発見。苔と腐葉土でフカフカでとても快適、ビバーク地としては最高であろう。薪が湿っていたため焚きつけに苦労したが焚き火も楽しみながら、夜は更けていった。
6/2
ビバーク地(7:00)→武信白岩沢出合(7:30)→千丈ノ滝下(7:40)→千丈ノ滝上(8:10/8:20)→
木賊沢出合(8:50/9:00)→F4(9:55/10:10)→不動滝→三宝沢出合(11:55)→
2000m(12:35/12:55)→奥の二股《荒川源流の碑》(14:40)→甲武信小屋(15:30)
(天候:晴れ後曇り)
快適なビバーク地で少々寝坊してしまった。今朝も焚き火をしながらお茶漬けと煮豆で朝食。天気も良さそうだ。
出発後、30分程進むと武信白岩沢出合。そこから奥に少し進むと千丈ノ滝の下に出る。25mの見事な滝だ。滝の直下で記念撮影。沢登りでなければ来れない場所であり、満足し皆でニンマリ。千丈ノ滝はとてもじゃないが登れないので少し戻り、右岸の尾根に取り付く。急登をこなしていくとやがて明瞭な踏み跡が現れる。真ノ沢林道の跡だ。この辺りではシャクナゲが数株花を咲かせており、励まされる。林道に沿って滝の上に出て小休止。
この先はまた、しばらく木漏れ日の下美しい苔に覆われた沢を気分よく歩いていく。木賊沢を分けた先の4m滝は左岸を巻くが、降りる所が滑りそうでイヤな感じなので確保しながら通過。その先のF4(7m)もなかなか見事。写真を撮ったりして休憩後、この滝は右岸から巻く。さらに進み、次に現われた大きな滝は階段状の不動滝10m。これは右手にある倒木をつたって中段まで上がり、左手に移動して倒木の間を這い上がる。不安定だったのでここでもロープで確保する。
三宝沢を右に分けるとナメも豊富に現われてくる。苔におおわれたナメで滑るんじゃないかと思ったが、リーダーに付いていって踏み込んでみるとそんな事はなく、楽しめた。標高が上がるにつれ倒木が増えていくが、これも人が入り込んでいない手付かずの自然の中にいる証拠か、苔むした倒木は奥秩父ならでは、という事になるのだろう。
奥の階段状の10m滝を倒木を使いながら越えると、あとは難しい所は無いと遡行図にはあったが、最後に現われた5m滝は近くに高巻く場所が見当たらない。少し戻った所の泥壁が何とか登れそうだったのでリーダーがまず登り、確保してもらいながら越える。降りる所も急斜面だったのでロープを架けて降りる。
ここを越えると流れもか細くなり、いよいよ源流に近づいた雰囲気が漂う。流れが伏流になる所で「これが荒川の最初の一滴だ」と記念撮影したが、少し上で流れはまた復活しここは勘違い。ここからあと少し行くと、やがて上の方に5年前に個人で来た時にも見た荒川源流の碑が見えた。ゴールにたどり着けた事と、来た事のある場所に前と全く違う方法で来れた事に、うれしさもひとしおである。
記念撮影をした後、ここまできたら最後まで沢を詰めようということで甲武信小屋に出る右股をさらに進む。流れはすぐに消え、その先の源頭部はまだ雪で埋まっていた。少し登ったところで沢からはずれ登山道に戻る。もうヘロヘロであったが何とか頑張りようやく小屋に到着した。
千曲川源流隊も我々が到着した後すぐに到着。栗原さんと逸見さんのおいしい手料理をつまみに皆で早速祝杯を挙げる。嬉しく楽しいひとときを過ごす。シャクナゲの時期で小屋はものすごい混雑であった。
6/3
甲武信小屋(9:00)→2300m(9:35/9:45)→1880m(10:45/10:55)→1360m(11:55/12:05)→
徳ちゃん新道入口(12:30)→西沢渓谷駐車場(13:00)
(天候;曇り時々晴れ)
今日はまず、みんなで源流碑の所に行こうという事で空身で出発。改めて記念写真を撮り、源流の水を水筒に詰めて小屋に戻る。千曲川源流隊に付いて甲武信岳頂上にも行き、ここでも記念撮影。若干雲が多いが大きく展望が広がりやはり気分はよい。十文字峠に向かう皆さんを見送った後もしばらく景色を楽しんだ後小屋に戻り、パッキングをしなおし出発する。
自分が足を痛めているため、ゆっくりめのペースで下ってもらう。途中2000m付近からはK女史期待のシャクナゲも満開となり、噂に聞くとおりのシャクナゲの花のトンネルの中を楽しみながら降りていく。西沢渓谷の遊歩道にたどり着いたときは足の状態のこともありほっとした。
後はタクシーで入川まで戻り、大滝温泉で汗を流し、帰路に着いた。個人的には充実感とともに、反省点も多かった山行となりましたが、「荒川を遡る」を無事終えることが出来よかったと思います。浅見さんご苦労様でした。 (木村記)
〜真ノ沢遡行の感想〜
『真ノ沢は荒川源流であり、一番奧にある沢なので、アプローチが長い。今回は柳小屋まで登山道を歩いたが、4時間もかかっている。手軽に入れないこともあり入川渓流観光釣り場の駐車場から甲武信小屋直下の荒川源流の碑まで誰にも会うことがなかった。大混雑の甲武信小屋につきあってくれた皆さんには申し訳ないが、この静寂が奥秩父の本来の姿だと思う。
柳小屋はきれいな避難小屋で、この沢を愛する釣り人たちによってきちんと管理されている印象を受けた。ここから沢靴を履く。新緑の木漏れ日の中の沢を行く気分は最高である。奥秩父特有のやわらかな苔と美しいシダ。沢登りの最大の魅力は自然の中にまるごとしたれることかもしれない。ふかふかした苔の上に快適なビバーク地をもとめ、たき火を楽しんだ。
2日目は大滝の大高巻きや、泥壁の高巻き、倒木越えなど快適な遡行とは言えないかもしれないがこれもまた、沢登りである。途中、ミツバツツジやシャクナゲの花に励まされて高度を上げていく、荒川源流の碑についたときは、責任を果たせた気分でうれしかった。』 (荒川を遡ろう:L浅見)
|