山域山名:八甲田山(青森県)<BR>
期 日:2005年1月7日(金)〜10日(月)<BR>
参 加 者:山スキー CL宮田 SL大嶋 SL青木 川辺、豊島、須藤裕、木下<BR>
ワカンorスノーシュー 八木、堀、新井、飯塚<秩父><BR>
ゲレンデスキー 並木、木村 (計13名)<BR>

1/8(終日吹雪)
異常に雪の少ない2004年12月であったが、さすがの八甲田も雪不足との事であった。しかし年末から入ってきた寒気により、幸いにも我々が行く頃には例年に近いコンディションとなっていた。それどころか、数日前から冬型の気圧配置が続き、たっぷりの新雪をたたえて八甲田山は我々を迎えてくれていた。
事前の予定通り、この日はロープウェイを使った酸ヶ湯のガイドツアーを利用する。天候は雪。田茂萢山頂付近は当然のように吹雪である。雪が深いため無理かも知れないとの事であったが、以前から希望のあった銅像コースに行くことを期待して、私(木下)を除くメンバーは朝から1日ガイドツアーに参加した。私は朝一番の新雪を頂きたいため、午前中のみロープウェイを使ってコース内の滑降をし、午後からガイドツアーの参加とした。昨年、すでに銅像コースを経験しており、あまり執着も無かった。実はこの選択が当たりであったことが後でわかる。
一番のロープウェイに乗り山頂駅を降りると、吹雪の中へ飛び出しダイレクトコースで本日のファーストトラックを頂く・・・つもりであったが、雪が深すぎて下りでも進まない!すぐに後続に追いつかれ、斜度のある一部を除いて交代でラッセルとなった。どうやら普段からそうなっているようである。急傾斜のところでは底なしの新雪を楽しめたが、90%は下りラッセルであった。閉鎖されているモッコ沢コースにも行きたかったが、視界が悪いので止めておいた。結局、午前中はダイレクトコース3本、フォレストコース1本を滑って、ガイドツアーに参加したメンバーと合流した。
彼らによると、雪が深すぎるため銅像コースには行けなかったとの事。銅像コースの後半は長い緩斜面であり、この雪の状態では大変なラッセルとなるので、ガイドの判断で諦めたらしい。寒い思いをして結局、変形フォレスト1本しか滑れなかったと彼らは悔しがっていた。麓のロープウェイ駅で昼食を摂っていると、独り亀さんチーム(ゆっくり滑るグループ)の方に参加していた川辺さんが現れ、これで山スキー班の全員が揃った。
午後は川辺さんが不参加となり、私を加えたその他のメンバーでガイドツアーに参加した。山の上は相変わらずの吹雪であった。午後はガイドに連れられて、閉鎖中のモッコ沢コースを2本滑った。ここは深雪を楽しむのに適度な斜面があり、この2本が一番気持ちよかった。一番良いコースが閉鎖されているのは残念である。まあそのお陰でガイドツアーの時に新雪が残っている訳だが。その日の夜は美味しい湯治食を食べ、酒を飲んで休んだ。天気図は相変わらずの強い冬型で、明日も大雪になりそうである。
1/9(終日吹雪) 酸ヶ湯(8:15)→地獄谷下降点(10:55)→最高到達点1150m(12:45)→地獄谷下降点(13:20)→酸ヶ湯(14:30)
今日は恒例の大岳スキー登山である。雪は今朝も降り続いており、車に積もった雪の量から判断すると、一晩で40cm位は降ったようである。ゲレンデならパウダーを期待して喜ぶところだが、登山となるとそう単純ではない。結局この多すぎる新雪で、今日は苦しむことになる。
宿でシールを着けて出発。少し車道を歩いてから、道路わきに高く積みあがった雪の上へ上がった。「さあどんどん登るぞ」と行きたいところだが、なかなか前に進まない!
底なしの新雪の上ではスキーを使っても大変なラッセルである。深いところでは腰近くまで潜ってしまうような状態で、10メートル進むのもひと苦労であった。つぼ足ではまったく進めないだろう。頻繁に先頭を交代しながら、少しづつ前進していった。幸い人数は多かったため、一度先頭でラッセルをするとしばらく順番が回ってこないので、その間に十分に休むことが出来た。気温はマイナス10℃のため、順番を待っている間に体が冷えると寒い。上に積もった雪の重さで枝を大きくたわませた木々の間を、ゆっくりとだが確実に我々は進んでいった。
地獄沢の降り口までということで、スノーシューを履いて特別参加していた飯塚さんにも、途中からラッセルに加わっていただいた。体力には自信がお有りとの事であったが、なるほどパワフルである。浮力の少ないスノーシューでスキーに負けないラッセルを見せていただいた。普通の人ではこうは行かない。雪を纏って巨大な怪物のように見える針葉樹がちらほら現れる辺りで、ワカンを履いた新井さん、八木さんが追いついてきた。我々からはだいぶ時間を置いて宿を出られたようだが、まだこんな所に居たのかと驚かれていた。結局、地獄沢への下降点に到着したのは酸ヶ湯を出てから約2時間40分後であった。
大休止をしていると後続のパーティーが現れた。テレマーク3人組である。「お先にどうぞ」と快く道を譲る。間食を摂った後、ここから宿へ戻る3人と別れて山スキーの我々は出発である。「先行したテレマーカーが居るから、少し楽できそうだな」と思いきや、全然進んでいないではないか! 沢底の深雪に阻まれ雪の中で、もがくばかりで殆んど前進できずにいる。20秒で追いついてしまった。ラッセルの様子を見ていると、雪の下に下にと潜って行っている。これでは疲れるばかりで前に進まない訳である。結局ここからも、殆んど我々のパーティーがラッセルすることになる。
沢に下りてからも雪は減ることは無く、きついラッセルが続いた。途中で赤布を発見する。どうやら降り口が違っていた様である。雪の多さに諦めたのか、3人のテレマークパーティーは早々に降りていってしまった。我々は小屋を目指してラッセルを続けたが、沢が右に曲がり始めた1190m地点でタイムオーバーとなった。
小休止の後、シールを外して滑降にはいる。川辺・青木の両氏は、途中で登りも有るからとシールのまま下っていった。少し間を置いて他のメンバーも下るが、斜度の無い新雪に入るとすぐに止まってしまうので、登りのトレースをボブスレー状態で下っていった。地獄沢下降点で大休止を取り、再びボブスレーコースを辿って宿まで戻った。
ラッセルばかりで滑り足りなかった4名(大島・宮田・青木・木下)は、持て余したエネルギーを発散すべく車でロープウェイに向かった。他のメンバーは上がりである。ダイレクトコースを1本滑ったが、上部の吹雪は衰えずに続いていた。視界のない中で顔を凍らせそうになりながら、ほうほうの体で滑り降りる状態であった。蛇足であったが、最後の一部分は気持ちが良かったので好しとしよう。
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