山スキー記録    熊谷トレッキング同人

富士山・吉田大沢



山域山名:富士山(山梨県)《熊谷から見える山》
期  日:2007年5月27日(日)
参 加 者:L南雲 宮田、木下(計3名)

行動記録:吉田口5合目2300m(6:30)→本8合目3380m(10:40/11:30)〜
 滑降終点2450m(12:15/12:25)→5合目(12:50)
 
 以前から計画していた富士山の山スキー計画だが、最終的に27日に吉田口からに決定。事前の予想では、好天かつ気温も高くなり、上部の雪も緩んでくれるのではという期待の下、前日深夜、河口湖畔の某所にてテント泊。

 朝6時に吉田口五合目に到着。数台の車があり、出発準備中のパーティもあった。この時点で、天気は快晴だが、それなりの風が吹いており、眼下の山中湖などは黄砂にかすんでおり、上部の様子が気になる。水平道から、緩い登り道に入り、6合目という表示のところから尾根状の登山道に入る。幅が広く、岩と砂礫で歩きにくい道を進む。右に大きく吉田大沢が広がり、山頂付近の上部まで見通せる。ときどき、強風にあおられた砂礫が飛んできて、目に入り痛い。

 7合目からは、歩きにくい道を避けて、他のパーティと同様に緩んだ雪の斜面をキックステップで登る。岩だらけの道よりずいぶんはかどった。3000mを越えたところで、雪が徐々に堅くなってきたので、アイゼンを装着する。このころまでは、山頂にも行けるのではないかという話をしていた。アイゼンを装着して3100mを越えるようになると、雪が急に堅くなってきた。斜度もあり、その上、時々背中を突然押されるような突風が吹き、転倒こそしないものの、よろめいたり、ひざまずいたりを何度か繰り返した。しばらく風が吹き止まず、耐風姿勢を続けることもあった。

 須走り方面からの道と合流する「本8合目」という場所で、進退を協議。これ以上の上部は、スキーを着けていると煽られるので、スキーをデポして、空身でピッケル・アイゼンで山頂を目指すという話もあったが、強風と、堅い雪、傾斜もあり、下山が危ないということとなり、ここで打ち止め。昼食後、滑降の体制にはいる。

 しかし、この後も緊張した。8合目になると雪面が完全に凍り付いていて、先行パーティのテレマーカーが転倒してもしばらく止まらず、ずるずると滑っていった。これは転倒すると大変だと思いながら、堅い雪面に、横滑り、斜滑降、キックターンを取り混ぜ、滑り出しの雪が堅かった難場をやり過ごした。広い吉田大沢の中心部に入ると雪もやや緩んできて、エッジが効くようになった。その後は、適度に緩んできた広い吉田大沢の斜面を思い思いにシュプールを描きながら、交代に滑り降りていく。斜度は一貫して25度程度であり、堅い雪の上にザラメ状のやや柔らかい雪が載っており、快適に滑り降りる。何度が休みながら降りていくが、何度滑って降りても広い吉田大沢のなかで自分の位置が変わったのがよくわからない。それほど広い沢である。

 約900mの一枚バーンの大沢を快適に滑り尽くし、最後はややブッシュに手間取られながらも水平道にでた。5合目につくと、早朝の寂しい様子とはうって変わって、観光用の馬や、台湾人(?)の団体や、家族連れや、焼きトウモロコシの売店など、完全な観光地になっていた。

 今回は、最高到達点は3380mであったが、これ以上の上部では、雪の状態が堅くて滑降自体にもやや危険が伴ったように思う。また、スキーを担いでの登りは強風かつ堅い雪の条件下では危険だったと思う。快晴かつ下界では30度以上の夏日にもかかわらず、吉田大沢は強風で登頂ができなかったし、滑降にも一部緊張する部分もあった。富士山は、その高度と独立峰という特殊な条件があり、それなりに厳しい山であることを再認識した。

次は、好天と微風をねらって、是非登頂したいと思う。          (南雲記)