山スキー記録    熊谷トレッキング同人

シーズンラストは立山・鬼岳山頂から滑降す!

アルバム

山域山名:北アルプス立山山系・鬼岳(富山県)
期  日:2009年6月20日(土)
参 加 者:L宮田、栗原昌、井上(計3名)

行動記録:北本(3:50)=扇沢(7:00/7:30)=室堂2420m(9:25/9:45)→
 龍王岳北方JP2855m(11:00/11:25)〜御山谷2500m(11:45/12:00)→
 鬼岳2750m(12:45/13:40)〜御山谷2550m(13:55/14:10)→一ノ越2700m(14:30/14:50)〜
 室堂(15:05/15:45)=扇沢(17:20)

 夏至前日の6月20日。乗鞍に続いて3名は「これが最後」を合い言葉に雪の室堂へ向かった。扇沢7時30分始発に乗車。予想を裏切り始発バス2台にはスキー板を持った客は他になく、不思議なことに登山者も数人しかいない。扇沢からのアプローチは乗り換えと待ち時間が多く、GWでの富山入山がいかに消耗がないか分かる。

 9時30分に室堂到着。ターミナル内でシールを貼って夏の太陽まぶしい外に出る。一部地面が出ているものの、まだ一面の雪世界だ。室堂でも登山者の姿は少なく、スキーヤーは室堂山に取り付く2人が見えるのみだった。一ノ越への坪足トレース沿いに進む。第1案であった山崎カールは融雪で最上部の状態に不安があったため却下、第2案の鬼岳東面カールに狙いを定めて、祓堂付近から龍王岳北方JPに向かってカール状斜面を登る。この先JPと浄土山との鞍部まで残雪はつながっているように見えるが、最後の詰めが50度を超える急斜面になっていたため、2730m辺りで一ノ越からの夏道に向かって今日1回目の藪漕ぎ開始。一汗かいて夏道に出たら、あとひと登りで富山大研究所のあるJPに立つ。

 梅雨の時期としては上天気。槍、笠、黒部五郎、薬師、赤牛など黒部源流の大展望を楽しむ。まだまだ2500m以上は雪がたっぷり豊富だ。ピークには先着の単独ボーダーが一人、彼はすぐに御山谷へ滑っていった。休んでいると、浄土山から稜線をきたという山スキー3名がパーティが登ってきたが、板を担いだまま雪のない龍王岳巻道を下りていった。その後に女性10名ほどの登山者パーティが到着して、「やっぱりここを滑るの」と話しかけられる。

 眺めを楽しんだら行きましょう。主稜線から東側に開いた斜面は雪の吹きだまりで出だしはMax40度+ほどあるが、雪面もフラット、雪質も締まったザラメとベストの状態。御山谷底まで2段となった急斜面を「ヤッホー」と至福の1本を楽しむ。緩斜面となった広い御山谷に出たらクルージング、これから目指す鬼岳東面カール底までトラバースして大岩のたもとまで滑る。

 上部は雪の壁で先は見えないが、龍王岳鬼岳コルまでは標高差150mほどのアルバイト。シールを付けて出発。壁を登ると野球ができそうな位の広場の末端に出て、コルはすぐそこだった。龍王岳を見上げるとさっきの3名が夏道のガレ場を下っていた。我々はコルに向かわず、鬼岳山頂付近からカール底まで両側を岩に挟まれ、きれいにつながったルンゼ斜面を狙って鬼岳への稜線を詰める。下からは回り込むように山頂直下まで雪がつながっていそうに見えたが、2680m付近で雪が途切れてしまったので、スキー板を担いでハイマツ帯に突入する。夏道はコルから東側斜面を巻いているので稜線に道はない。板を担いで兼用靴での藪漕ぎはしんどい。ハイマツと岩場のミックスを登ると大きな雪田に出た。重たい板をデポして空身で鬼岳山頂に向かう。長物のスキー板がないと、岩やハイマツに引っ掛かることがなく、藪漕ぎもいくらか楽である。

 やっと鬼岳山頂に立つ。頂きには標識などの人工物は一切なかった。南側には夏道からの踏み跡が確認できた。JPから見えなかった五色ヶ原はまだすべて雪に覆われている。東側には広い広い立山カルデラが、北側には巨大な岩峰が聳える龍王岳と素晴らしい眺めを満喫する。山頂北側に雪田があったので下をのぞき込むと雪がカールにつながっている。どうやらこの雪田が下から見えた山頂ルンゼのようだ。仕方なくさっきのデポ地点に戻ってまたまた藪漕ぎする羽目に。山頂で遅い昼食を食べていると、3名パーティがコルから滑っていった。

 鬼岳山頂から滑るなんてシーズンラストを飾るのにふさわしいでしょう。さぁ、行きましょう。Go! 斜度、雪面も申し分なく、短かったでしたがシュルンドもなく快適な1本を楽しむ。広いカールに出たらクルージング、壁下からトラバースして御山谷へ。草付斜面をショートカットで登った2550mで休憩する。龍王岳を見上げると、ゴジラの背のような東尾根岩稜の北斜面に刻んだ午前中のシュプール3本がまだきれいに残っていて、しばし自己陶酔に浸る。

 ここから一ノ越まで再び登り返し。シーズンの蓄積した疲労からか、ここ数回の山行は全身にどことなく爆発力がないことを感じていたが、幾度も山行をともにしてきた栗原氏も同様とのことでお互い妙に納得する。心地よい風を背中から受けながらゆっくりペースで一ノ越へ。稜線はかなり東風が強くなってきたので、今晩から崩れるかもしれない。雪が出てくるところまで室堂側へ夏道を50mほど下ってからスキー装着。室堂へ向けて最後の1本です。トラバースに入ると雪面には縦溝が深い。最後は推進滑降でTheEnd。

 長かったシーズンもこれで終わりとなるが、来たる11月立山初滑りに向けて、山スキーチームは夏山から体力アップに精進しましょう。         (宮田記)