国内山行記録    熊谷トレッキング同人

南アルプス・赤石岳・荒川岳山行


1 日程 2005年9月22日〜24日(行程の前半)
2 コース 椹島→荒川小屋
3 メンバ一:CL宮田 SL木村 吉田 高橋 豊島
4 行動記録:

9/22
 北本(8:13)=首都高・東名高速清水1C=畑薙ダムサイト(3:04)

9/23
 起床(6:30)・畑薙ダム(7:35)→椹島(8:30/8:55)→休(9:30/9:55)→休1495m (10:05/10:10)→休1685m(10:45/11:05)→休1900m(11:35/11:45)→昼食2060m (12:15/12:50)→休2250m(13:25/13:30)→休2390m (14:10/14:15)→赤石小屋(14:55)

 台風17号の進行も気になり、雨の熊谷を出た時は、もしかして温泉三昧になるかな〜。しかし畑薙ダムに着くと快晴、だれに感謝してよいやら。3時間弱の仮眠の後、リムジンバスに乗って登山口へ。日焼け止めをバッチリ塗る。
 原生林の急登は確実に高度を稼ぐが、滴り落ちる汗にぐっしょり。途中林道を二カ所横切り、ひたすら登る。だが会う人もなく、とても静か。そこここにきのこが顔を出し、まるで標本を見るようだ。きのこに興味を持つ者としては、とても魅力的な山であるが、観察をしているゆとりはない。巨木の樹林帯は強い日差しを遮り、明るくとても心地よい。急登の連続だが適切な休憩をとることにより、小屋に着くことが出来た。
 稜線に建つ赤石小屋は、立派で静かなたたずまいだ。私達5人の外に単独が1人の計6人で食事も美味しく、寝具も暖かく大満足。

9/24
 赤石小屋(6:00)→富士見平(6:45/6:50)→休2600m(7:25/7:30)→休2700m(8:12/8:25)→赤石岳山頂(9:35)→避難小屋(9:45/10:50)→再び赤石岳山頂(10:55/11:10)→小赤石岳(11:45/12:10)→休2850m(12:45/12:55)→大聖寺平(13:10/13:15)→荒川小屋(14:10)

 翌朝は雲がゆっくり動いているが360°の展望は嬉しい。小屋の前方に聖岳がドーンと座し、右手に赤石岳の勇姿、少し色づいたカールが素晴らしい。富士見平を過ぎるとハイマツ帯となり、ナナカナド、ダケカンバが色づき始めるが、あまり良い紅葉にはなりそうもない。この辺りから急に雲に覆われ始め、雨具着用(8:45)する。宮田さんの見事なリードは、遠のいていた夢を現実のものとして赤石山頂に立たせてくれた。喜びのあまり全員に握手を求めてしまった。

 天候が悪いので避難小屋に逃げ、ゆっくり昼食をとりながら、天候の回復を待つ。突然ガスが切れ、360°の展望がひらける。雨の中を登頂したのが嘘のよう。明日の道程もすっかり見渡せ歓声をあげるが、15分もたつと又一面のガス、目まぐるしい変化だ。
 小赤石岳から大聖寺平を過ぎ、荒川小屋にかけてのトラバース道は正に南アルプスを満喫させる、素晴らしいプロムナードだ。奥西河内の深い谷は、ロータンパスを思わせる広がりを見せ、その中に引き込まれていった。ときを忘れて南アルプスを満喫しつつ、小屋に着いたとたんにどしゃ降りの雨となった。
 カール上に建つ荒川小屋は、明日が小屋終いという日にぶつかり、最後の晩餐で豪華夕食をいただく。荒川特製カレー・とん汁・オードブル皿には、コロッケ・イカフライ・ポテト・アスパラの肉巻き・白和え・オレンジと食べきれない程。この小屋も私達5人の外に3人の計8人で、小屋泊りでこんなに静かで満足なのは初めてだった。

9/25
 荒川小屋(8:25)→休(9:00/9:10)→お花畑→展望台(9:55 /10:05)→鞍部(10:28)→荒川前岳(10:36/10:55)→中岳(11:10)→中岳避難小屋(11:17/12:00)→休(12:30/12:35)→悪沢岳(13:26/14:06)→丸山3032m(14:34/14:40)→千枚岳(15:17/15:25)→千枚小屋(15:55)

 予報では天気は回復するとのこと。今日は千枚小屋まで辿り着けば良いので急がずに天候の回復を待って、朝はのんびりと過ごす。荒川小屋は今晩を最後に冬じまいとのことで、残しても仕方ないからとあん饅とおいしいお茶をサービスして下さる。
 待てば海路の日和有り、ガスがきれ陽もさし出発する。やがてお花畑にさしかかる。イワインチン、トウヤクリンドウ、ミヤマコゴメグサ、ウメバチソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマコウゾリナ、タカネマツムシソウの残り花がちらほら。そして花は終わっているもののタカネウスユキソウ、ミネウスユキソウは花を囲む白い綿毛をつけた包葉が花のように目立ち、イワベンケイも見える。ハクサンフウロの実は中軸の囲りに5本くるりとそり返り、おもしろい。残っている葉などから花盛りの夏にはさぞかしや美しかろうと思いを馳せる。
 展望台で一休み。振り返ると昨日歩いた赤石岳、大聖寺平から荒川小屋、そして後方に中盛丸山、大沢岳が浮かぶ。前方足下にはカールが拡がりモレーンもはっきりしている。
 荒川岳の前岳と中岳の稜線鞍部に突き上げてから前岳に向かう。ウラシマツツジの紅葉が目にも鮮やかで、それにイワウメの細かい敷きつめたような葉の緑、うす黄色のトウヤクリンドウがさらに色を際立たせ、思わず撮影タイムとなる。前岳には3068m四等三角点があり、西側は崩壊している。こわごわ覗いてみる。迫力有り。先程の鞍部まで戻り中岳へ。中岳は3083.2m、こちらには三等三角点がある。中岳避難小屋にてカップラーメンを注文して昼食を摂る。気温14℃。ここからは岩肌、ウラシマツツジの赤、ハイマツ・キバナシャクナゲの緑、地衣類の緑白色が縞模様を織りなす尾根の道を辿る。ところどころダケカンバの黄葉も彩りを添える。風もなく快適。イワツメクサ、タカネツメクサが咲き、少ないがツガザクラ、アオノツガザクラ、タカネナデシコ、タカネシオガマ、ヒメセンブリも咲いていた。

 荒川悪沢岳は3141mと今回の山登りの最高地点。展望を期待していたのに、スッポリと雲に包まれてしまった。それでいてうす陽をうけているようで暖かく、私達だけの別世界、夢の中のよう。展望がひらけるのを期待してゆっくり待つうちに眠くなってしまった。とうとうあきらめて下山。丸山ではライチョウの母子5羽と遭遇。母鳥がクウクウと鳴きながら先導していた。千枚岳は遠望でもゴツゴツ見えただけあって岩場の急登。疲れてしまった私は岩に寝ころんで小休止。2879.8m三等三角点有り。千枚小屋近くなると樹林帯の中の緩やかな道となり気が楽になる。小屋は樹林の中から伸び上るように立ち眺めは良さそう。泊りの部屋は外階段で2階へ。今日最後の登りである。明日はもう下るだけ、2600mもの所にいるのに里に近くなった気分で、夜は小屋の人とフォークソングを歌ったりしてのんびり過ごす。

9/26
 夜明け前、窓から見えるシリウスに惹きつけられて星空を見に外に出る。満天の星。オリオンなどの冬の星空を仰ぎ見る。やがて夜明け、雲海に浮かぶ富士山に左手から日が昇る。朝日の赤石岳を見るために小屋から少し登る。樹林帯の中、もっと良く見えないかと右へ左へ、切り株に乗ったりして眺める。背の高いMさんは私とは違う景色を見ているのかも知れないと思う。今日は快晴。ヤナギランの咲く小屋をあとに樹林帯の中を下る。

 展望台にて荒川小屋・荒川岳を眺めて小休止。ダケカンバが柔らかい黄緑に染まり、本格的な黄葉はもう少しといったところ。樹林帯の中ひたすら下る。ツルリンドウは赤い実となっている。やがて広い林道に出る。カンカン照りで、日陰側によりつつ下る。天候には思いの外恵まれた山行でした。椹島からのバスの車窓より赤石岳が見えるところがあり、青空にスッキリとそびえる頂を見上げ、あそこに登ってきたのだなと感慨も一入でした。畑薙第1ダムまでバスで送ってもらい、そこから少し下ったところの白樺温泉で一汗流し、帰りは大井川に沿って南下しました。途中、大井川鉄道井川線の列車に逢いました。日本一のミニ列車とのこと、赤いかわいらしい小さな車輌が連なって、山間の傾斜をゆっくりと走り、童話の世界のような眺めです。駅舎にとまっているところで記念撮影させてもらいました。山行も長かったですが帰路も長く、帰りはかなり遅くなってしまいました。楽しい山旅でした。


(吉田 高橋記)