国内山行記録    熊谷トレッキング同人

日高の名峰 カムイエクウチカウシ


山域山名:日高・カムイエクウチカウシ、十勝幌尻岳(北海道)
日  程:2005年7月30日(土)〜8月2日(火)
参 加 者:CL南雲<装備・各種手配> SL駒崎<食料・医療> 木村<記録・会計>(計3名)
行動記録:

7/30 《カムイエクウチカウシ・第1日》
熊谷(5:08)=羽田空港=とかち帯広空港=登山口(11:50/12:30)→
七の沢出合(14:05/15:20)→中の沢出合(16:20)→八の沢出合幕営地(17:30)

 熊谷朝一番の急行能登に乗り込み集合。ほぼ定刻どおりのフライトで帯広空港に到着し手配してあるレンタカーに乗り込む。車はホンダのEDIX。雲が多いながらも晴れ間も覗きまずまずの天気。道の駅中札内で腹ごしらえをし、登山口へ向かう。途中、登山者交流センターに立ち寄り情報を仕入れる。やはり熊の目撃情報が何件か掲示されていた。また、今年は残雪が多く三俣付近からは雪渓がのこっている、昨日は夕立があり札内川の水量は多めであるとのことだった。
 当初の計画ではガイドブックなどに紹介されているとおり七の沢出合の近くの林道終点まで車で行きそこから行動を開始する予定であったが、実際は7〜8km手前の舗装道路の終点でゲートが閉まっており2時間程の林道歩きを強いられることとなった。共同装備を振り分け出発する。林道といっても建造が中止された日高横断道路をゆくのでしばらくは立派な道が続く。20分程歩いたところで下山してくる一行とすれ違ったが、彼らは水量をみて断念し引き返してきたとのことだった。我々はとりあえず七の沢出合まで行って様子をみてみることにする。
 七の沢出合に着いてみると、なるほど結構厳しそうな水量である。南雲さんが様子をみてくるが深い所で股下ぐらいあり、水勢もある。話し合いの結果、空身で少し渡ってみて駄目そうだったらここで停滞し様子をみることにした。渡渉の際の確保の仕方を確認し、進んでみる。七の沢を渡る所が問題だったがスクラム渡渉でクリアできたので先に進むことにする。
 八の沢出合の幕営地までは主に石のゴロゴロした札内川の河原を行く。所々テープに導かれて林の中をゆくがこちらも獣道でいかにも日高の未開の山らしいと思うと同時に、熊を警戒しないわけにはいかず、頻繁に鈴や笛を鳴らしながら進んだ。何箇所か深い渡渉点があったがいずれもスクラムを組んで無事通過。目印のテープやケルンも良く残っておりコースタイムで幕営地に到着した。
 八の沢の幕営地は林の中に開けた中々気持ちのよい場所で、先客はおらず今宵は我々だけで独占である。さっそく薪をあつめ、たき火をしながら夕食の準備をする。メニューはスパゲッティペペロンチーノと海藻サラダ。初日から結構充実の沢歩きだった。

7/31 《カムイエクウチカウシ・第2日》
幕営地(5:10)→休憩(6:30/6:45)→三俣(7:30/7:40)→八の沢カール(9:05/9:40)→
カムイエクウチカウシ山頂(11:05/11:25)→八の沢カール(12:30/13:00)→
三俣(14:15/14:30)→幕営地(16:25/17:05)→七の沢出合(19:05/19:30)→登山口(21:00)=
札内川ヒュッテ

 2時半起床。4時出発の予定でラーゾーで朝食。夜半から雨がポツポツとテントにあたる音がしていたが出発間際になって雨足が強くなり、1時間程様子をみて雨が弱くなったところで出発した。
 八の沢の道も昨日と同様沢ぞいを行くが、林の中への踏み跡を上手くみつけられると沢の中を行くよりだいぶ楽に歩ける。渡渉を何度か繰り返すがさすがに昨日の本流ほど厳しくはない。三俣に近づくにつれ聞いていたとおり所々に雪渓があらわれ、一箇所短いながらもスノーブリッジの下を通過するところもあり緊張した。このあたりで唯一の登山者に出会う。彼らは反対のコイボクカール側からカムエクを越えてきたとのこと。三俣付近は完全に雪渓に覆われており今年は本当に残雪が多いようだ。三俣は三方向から滝が流れ込んでいる景色のよい場所。登山道は右側の滝を巻くようにしてついており、ここから急登になる。インターネットを見るとこの先迷ったという記録が見受けられたが、テープの目印もはっきりしておりそれほど迷いやすいとは思えなかった。シャワークライミングになる所もあったので、おそらく慣れない人が濡れるのを嫌がって違う踏み跡に入ってしまったのではないかと思う。
 目の前が開けるとそこがカール底であった。ここにも幕営地があり、ここで一晩過ごせたらとても気分がいいだろうなと思う。稜線は厚いガスに覆われている。渓流シューズから登山靴に履き替え、余計な荷物はデポして山頂に向かう。カールでは所々でお花畑も現われた。特に固有種のエゾツツジの赤紫色が印象的だった。一方でこのへんからいたるところで熊の糞が見られるようになったが幸いにして熊と出会うことはなかった。稜線にでた後はハイマツを掻き分けるようにして踏み跡を進み山頂に到着した。
 山頂からはガスで何も見えなかったがとにかく証拠写真を撮り、下山開始。カールのデポ地でお茶を淹れて一息つき、また渓流シューズに履き替えさらに下る。沢道の急降下なので登りより気が抜けない。4時半近くに幕営地に着き、早速ビールで乾杯と思ったが、ビールを冷やしておいた場所の水位が7cm位下がっていたのと翌日の増水の可能性を考慮し、今日中に渡渉を終えてしまうことにした。すばやく撤収し5時すぎに再出発。札内川本流の水量もあきらかに減っており渡渉も昨日ほど大変ではなくなっていた。7時過ぎに七の沢出合につき、ここまできたのなら駐車場まで戻って札内川ヒュッテに泊まろうという事になり、ヘッドランプを点けてさらに歩く。
 9時過ぎに登山口に着きヒュッテに向かう。小屋には予想に反して先客がいたので静かに夕食を済ませ、明日以降の予定を話し合う。結果、十勝幌尻岳を一日繰り上げて明日登り、最終日は芽室岳に登ろうということになった。

8/1 《十勝幌尻岳》
札内川ヒュッテ(7:00)=十勝幌尻岳登山口(8:50)→尾根取付(9:50/10:10)→
1285m三角点(10:55/11:05)→主稜線分岐(12:05/12:10)→十勝幌尻岳山頂(12:30/13:50)→
三角点下(15:05/15:15)→尾根取り付き(15:45/15:55)→登山口(16:50)=山小屋芽室岳

 5時起床。お餅入りラーメンで朝食のあと十勝幌尻岳の登山口に向かって車をとばす。この山は最近入山者の増加に伴って踏み跡がはっきりしてきたが整備された登山道ではないと紹介されていたが、そのとおり背丈の高い笹の中に道が続いており、暑さによる汗と朝露による濡れで沢歩きでもないのに全身びしょびしょになってしまった。尾根取り付きの水場で冷たい水で喉を潤し、行動用の水を補給して本格的な登りにかかる。道は稜線に出るまでずっと直登でかなりきつい。黙々と登ること2時間、ようやく稜線にでて周囲の眺望が開ける。昨日のカムエクでもそうだったが稜線の東側は樹林帯なのだが西側はハイマツに覆われている。地形や気候の影響によるものであろうが対比が興味深い。
 稜線分岐から20分程で山頂に到着。日高の山の展望台と紹介されているとおり、360°の展望を楽しんだ。北海道の山は氷河に削られた鋭鋒が多くかっこいいと思ったが、その中でもやはり気になったのは昨日何も見えなかったカムエク方面の眺めであり、三俣付近の雪渓も良く見えた。山頂では反対側の六の沢を詰めてきたという単独行者と出会ったが、話をするうち昨日札内川ヒュッテの二階にいた人だということがわかった。(昨日は夜遅くにごめんなさい。)
 往路を戻り下山。芽室岳への移動の途中で街を通過するので夕食は街中で済まし、登山口の非難小屋へ。きれいで水も引かれている非常に快適な小屋でアルコールも進み、つい寝るのが遅くなってしまった。

8/2 《観光》
山小屋芽室岳=然別湖=十勝ワイン城=とかち帯広空港(17:05)=羽田空港=熊谷(20:20)

 朝から霧雨が降っており、天気予報でも雷注意報発令中。本日の登山は中止とし、観光してできれば一本早い便で帰ることにした。然別湖近くの駒止湖でナキウサギを観察し、山田温泉で汗を流し、ワイン城で十勝ワインを試飲し空港へ。その途中で電話があり、当初乗る予定だった20時50分発の便は羽田空港管制塔のシステムダウンの影響で欠航となったとのこと。登っていたら今日中に帰れなくなるところであった。我々は17時5分発の便に乗ることが出来、無事羽田に着いた。              (木村記)