国内山行記録    熊谷トレッキング同人

熊野古道を歩く
山域山名:世界遺産・熊野古道(奈良県)
期  日:2007年4月23日(月)〜26日(木)
参 加 者:L吉田 高野、山崎、八木、白根、新井、大嶋、逸見、高橋、篠崎(計10名)

行動記録:
4/23 熊谷6:39=東京7:36(新幹線ひかり)=新大阪11:03(スーパーくろしお)
 =紀伊田辺13:05(バス)=中遍路きけうや旅館15:00

4/24 きけうや旅館6:56=滝尻王子7:01/7:15→不寝王子7:35→高原熊野神社9:14
 →大門王子10:30→十丈王子(昼食)11:09/11:50→十丈峠12:05→上多和茶屋跡12:42
 →大坂本王子13:47→道の駅熊野古道中遍路14:18→箸折峠14:42→牛馬童子堂14:43
 →近露王子15:07=民宿のなか山荘15:27

4/25 のなか山荘6:55=継桜王子7:05→秀衡桜7:08→仲人茶屋8:53→王子製紙社有碑10:48
 →湯川王子(昼食)11:05・11:45→猪鼻王子13:40→発心門王子14:05→水呑王子2:42
 →伏拝王子15:33→祓戸王子16:55→熊野本宮大社17:00=民宿ゆのたに荘18:00

 「王子」とは熊野三山の御子神をまつる祠。中世がもっとも盛んで熊野九十九王子と称された。名水100選「野中の清水」を引いてある宿の水をペットボトルに入れる。先ほどまで降っていた雨も上がり、雲空の中、二回に分けて宿の車で急坂を登り、熊野古道の継桜王子まで送ってもらう。

 昨日、近路王子で会った人と再び出会う。宿の主人にお礼を言い、まずスタンプ(押印帳)を押し、次の秀衡桜へ舗装道路を歩き出す。ゴールまでの道のりは23kmか。少し肌寒い。集落の中を抜けて緩やかな上りを、水たまりをよけ、左に新高尾トンネルを見て、小広峠に向かう。

 峠から山道に入る。薄くらい杉林の中に熊瀬川王子が祀られている。わらじ峠から女坂を下る途中、沢ガニがやってくる。前の方から「世界遺産のカニを踏まないように」と声がかかる。いったい何しに何処へ行くのやら!沢ガニに聞かないとわからない?

 栃の川の脇、仲人茶屋跡で一休み、今日一番きつい男坂を岩上峠まで登り詰める。岩上王子を過ぎて、下り入る。林道に出ると非常電話が設置してある。扉を開けると、赤いランプがついたのであわてて閉める。

 音無川に沿って古道が続く。おぎん地蔵が川を見つめている。熊野の許嫁の元へ向かう途中、山賊に殺された今日の芸妓おぎんを祀る地蔵とのこと。

 十一、蛇形地蔵でスタンプを押し、源平の戦いでの平家の豪族である湯川氏の本拠地跡に立つ。湯川王子で早めの昼食にする。

 食後の登りはきつい。古道の左右には、屋敷跡らしい石垣が残っている。つづら折れを何度か行くと、樹林の間が明るくなってくる。林道に出て、目の前が三越峠だが展望はない。
 歩いても、歩いても船玉神社は見えない。疲れが出てきてペースが遅くなってくる。
 発心門王子の坂を登ると、脇に最終バスが待機している。湯の峠温泉までバスで30〜40分程である。歩くとあと3時間くらいか? バスが恨めしく思える。ゴールの熊野本宮大社までは、まだまだ長い道中だ!温泉とビールが待っている、がんばるぞ。
4/26 ゆのたに荘8:30=(バス)8:50→熊野速玉大社→(昼食)→新宮13:03(南紀6号)
 =名古屋16:58(ひかり378号)=東京19:12=熊谷19:52着
 朝の散歩がてら裏山の二十湯峰王子へ最後のスタンプを押しに出かける。朝食は温泉粥に、温泉卵・・・。ひなびた温泉場をバス停まで下る。途中、川の脇に小さな小屋が、温泉世界遺産になったつぼ湯(有料)が見える。逸見さんが購入した卵が、河原の中に下がっている。

 アツアツのゆで卵を、バス停のベンチでご馳走になり、新宮行きのバスで熊野速玉大社に向かった。         (記録:高野&白根)



《熊野古道を歩き終えて》
                                 篠崎記

 同人シニア10人(CL吉田さん)で熊野古道中辺路の山行に行ってきました。

 熊谷発6時39分、新幹線を乗り継ぎ新大阪着、紀伊田辺駅で下車、路線バスで90分ゆられて滝尻の民宿着。先ずは足慣らしの散歩を兼ねて熊野古道館で資料あさり。熊野古道押印帳を全員分購入(これは、滝尻王子から湯峯王子までの20王子のスタンプ帳、全部押せると完歩証明書と記念品がもらえる)。初日の夜会は静かにすぎて行った。

 2日目、天気は上々、滝尻王子の初っ鼻から高低差約250mの急登で体が目覚めた。十条王子で昼食。初めて参加した私は、お湯を湧かしコーヒーやお茶を用意する手際のよさに驚いた。午後はアップダウンを操り返し、8時間18kmの山歩きは終わった。山崎さんの万歩計は24,788歩を指していた。渇き切った体になんともビールがおいしかった!民宿の周辺の田圃には水がはられていて、その夜はカエルの合唱を聞きながら眠りについた。

 3日目の朝雨は止んでいた。「今日は距離があるぞ、山に入ったら進むしかないよ!」とのリーダーの掛け声に、私はザックのベルトを締め込んだ。継桜王子から歩きはじめた。平均年令が七十才に近い一団なので昨日の疲れが残っている様子だった。腰痛持ちの私は秘かにシップを5枚はっていた。

 中辺路の山道はよく整備されていたが、雨に濡れた石畳の路は滑りやすかった。道中峰が幾つもあり上り下りの連続だった。「せっかく登ったのにまた下るの! ああ、もったいないもったいない」を連発しながら進むしかなかった。

 だんだん「休憩!」の合図が待遠しい体になってきた。先頭を進むリーダーの時計の秒針のような歩みには感服した。スタンプが20番目に近付くのが楽しくなった。座り込むと立ち上がるのがつらく思えたが、リーダーの一声でみんな動きだす。

 夕方近くに熊野本宮大社に着いた。10時間23km、万歩計は37,777歩を刻んでいた。硫黄の香のする温泉で疲れをいやし、全員完歩を祝って、その夜の下山祝いは盛り上がった。温泉につかりながらも「大変な山の会に近付いちゃったな」と考えていた。

 退職直後に挫骨神経痛を患い山歩きに不安を持っての熊野古道参加だった。「いつもこんなにすごいのかなア?・・・」 下山祝いの中で「10時間も歩いた山行は最近ないねえエ!」と話していたので安心した。私は、数少ない経験をさせていただいたことに感謝している。何よりも感動したことは、ひとりのザックの中身を分散して持ち合い、最高齢の同人をゴールさせたチームワークの素晴らしさだ。これなら自分もついて行けるかもと思った。今年の夏は手始めに、北八ケ岳に登って試してみようと思っている。