熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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素晴らしき紅葉回廊を抜けて、真っ青な日本海へ! 秋の栂海新道 |
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アルバムへ 山域山名:北アルプス・朝日岳、犬ヶ岳、白鳥山(富山県、新潟県) 期 日:2008年10月11日(土)〜13日(月) 参 加 者:L宮田、栗原昌(計2名) 行動記録: 当初計画していたのは、蓮華温泉から入山して小蓮華を経由後に白馬岳山頂を踏み、雪倉岳、朝日岳と縦走して栂海新道に入る予定であった。ところが今年第2波の寒気南下のため、出発直前まで気象情報をチェック。縦走初日午前に寒冷前線が通過、その後一時的ではあるが冬型が強まり稜線では吹雪の恐れ高しと判断。やむなく朝日岳に入るのに一番安全な富山側の北又から登ることにした。決定したのは約束の出発時間間際、急きょ登山計画書をパソコンで打ち変えて留守本部にメール。また早朝にタクシーを使うことになったので、ネットで調べて林道を通行できる地元の黒東タクシーに電話で予約を済ましてから、約1時間半遅れで家を出た。これもメンバー2人だけなので、できる芸当である。 10/10 鴻巣=花園IC=朝日IC=泊駅(テント泊) 10/11 泊駅=黒東タクシーP(6:45)=北又700m(7:40/8:10)→吊橋660m(8:20)→ 940m(8:50/9:00)〜1390m(10:05/10:10)→イブリ山1810m(11:15/11:20)→ 夕日が原(12:05/12:10)→朝日平2140m(12:40)<テント泊> <天候:雨、午後から風を伴う> 上越高田あたりから雨が降り出し、朝日ICを出る頃にはワイパーも効かないのほどの豪雨に、今宵の仮眠先は屋根付きの泊駅自転車置き場2階にテントを張る。早朝4時半に起きると、泊駅には新潟方面(急行きたぐに)、金沢方面(特急能登)に向かう寝台列車が相次いで到着するため、結構な客がホームに入っていた。能登から下りた登山者は一番タクシーに乗り込んでいった。 我々が予約できたのは第2クールだったので、駅から700mのタクシー配送センターには午前7時の約束。駐車場でパッキングを済ませて、タクシーを待つ。愛想のいい運転手と話しながら林道を走る。地元でも今年の紅葉はきれいらしいと評判とのこと。北アルプスの山小屋ホームページでも、主達が揃って「10年に一度のすばらしさ」といっているので、期待が膨らむ。泊駅から北又まで定額9,300円、途中中間ほどの一般車が入れる小川温泉から乗車しても運賃は同額である。 約1時間で雨降る北又に到着。北又小屋はサワガニ山岳会をはじめ20名ほどの地元登山者が出発準備をしていて賑やかだった。今日は、北又谷に下りた吊橋から幕営地の朝日平まで標高差1500mを登らねばならない。おそらく午前中に寒冷前線通過し、その後に冬型のしぐれで気温も下がり、一日不安定な天候となるに違いないが、がんばるしかない。雨具を来て出発。車道から階段を下りて吊り橋を渡る。ここからイブリ坂の急登をひたすら登る。まだ南よりの風、雨具のなかはTシャツだけなのに暑さで汗をたっぷりかく。 ブナ林帯となる1140m4合目(イブリ山が10合目)でいったん雨が止んで空が明るくなった。標高が高くなるにつれて、次第に紅葉も色鮮やかになってきて、気分もよくなり、グングン高度を稼ぐ。それもつかの間、10時半を過ぎる頃になると風は北西の風に変わり気温も低下して、雲行きもどんどん怪しくなってきた。先行者2パーティが休んでいたイブリ山に到着。おにぎりを食べ始めると急ににわか雨が降ってきた。気温は6℃、とても寒くて休んでなんかいられない。雨具を羽織ってすぐに出発する。 冷たい雨はとても消耗するが、もう急登がないのが救いだ。木道を登っていくと程なく夕日が原の一角に出た。夕日が原は東西に1qもあり、すべてがお花畑という感じだ。初夏の頃は可憐な高山植物が咲き乱れているのでしょう。今はチングルマの草紅葉が一面だった。 北又は出てから4時間半で朝日平に到着。朝日小屋で幕営受付を済ませ、すぐに幕営。時折強く吹く風に飛ばされないように注意する。濡れたザックをテントに放り込み、荷物整理を済ませてから小屋の自炊スペースへ。小屋を管理する山雑誌でおなじみの清水ゆかりさんから「テント客も使っていいですよ」と言われていたので、ついでに玄関のストーブで雨具も乾かせた。暖かい心遣い、ありがたいものである。 午後の小屋には北又から続々と登山者が到着してくる。小屋の営業は明日の宿泊で今期は終了、今晩はたくさんの登山者が泊まるに違いない。乾杯のビールと昼食を済ませてテントへ戻る。しばし寝袋に入って昼寝を決め込むが、とても寒かった。午後2時頃から夕方までが風雨のピークで、気温はどんどん下がっていく。当初のルートで突っ込み、濡れた体にアルプス主稜線の寒い風を受け続けたら、相当きつかったかもしれない。計画変更して正解だった。 10/12 朝日平2140m(6:15)→朝日岳2418m(6:50/7:05)→千代の吹上(7:30/7:35)→ 長栂山2260m(8:10/8:15)→アヤメ平(8:30)→黒岩平(9:40)→ 黒岩山1623m(10:10/10:20)→サワガニ山1612m(11:10/昼食/11:35)→ 犬ヶ岳1593m(12:35/12:45)→栂海山荘1560m(12:50/13:00)→ 黄蓮乗越・水補給(13:55/14:20)→下駒ヶ岳1241m(15:05/15:15)→白鳥山(16:10) <天候:快晴のち時々くもり> 午前4時に起きると、空は満天の星空。おかげで今朝は冷え込んで−2℃、テントはバリバリに凍り付いていた。凍ったテントの撤収はとても手先が痛い。ポールのジョイントも凍っていたので手袋して摩擦熱で融かす。出発の準備をしていると清水ゆかりさんがテン場に来て、「木道が凍っているから気をつけて」と注意してくれた。忙しい時間になかなかできないことである。 小屋脇を通って朝日岳に登り出すと白馬岳と剣岳が見える。白馬岳にも雪が降らなかったようだが、白馬小屋の最低気温は−7℃であったらしい。朝日岳直下のはい松には霧氷がびっしり付いていた。朝日岳山頂は多くの登山者が休んでいた。眺めは絶景、日本海から信州側には雲海がびっしり覆い、妙高山群と焼山、高妻山が雲海から顔を出していた。尖った白馬岳から吊り尾根でつながる旭岳はいつ見ても美しい。黒部谷を挟んで剣岳、白山までの眺望を楽しむ。 朝日岳山頂を西側に下りて白馬方面との分岐から、いよいよ栂海新道の始まりである。朝日岳東面の万年雪は健在で、見下ろす白高地沢は紅葉で埋め尽くされている。この沢は山スキーも素晴らしいが紅葉もまたすばらしい。蓮華温泉への夏道が通る五輪尾根分岐は千代の吹上、ここから先は日本海を目指すパーティのみだ。途中でサワガニ山岳会パーティを追い抜く。彼らは栂海新道を開拓し、途中の小屋を管理しているが、今宵は栂海山荘で総勢20名ほどで大宴会らしい。 分岐を過ぎるとすぐに白高地(八兵衛平)へ、ここにある照葉ノ池越しに見た白馬岳は、おそらく随一でしょう。滑りやすい木道に注意して行くと、真っ平らの長栂山山頂だ。北の犬ヶ岳に続く稜線が見えるが、まだまだ遙か彼方だ。ちょうど紅葉のピークは標高2000mから1500mにかけて、長栂山2260mから北にある黒岩山1623mまではアヤメ平と黒岩平という大きな湿原があるが、このほかにも小湿原と池塘が点在していて、この間の‘柔らかい紅葉’は、それはそれは見事で素晴らしいのひと言。これまでのこんなにきれいな山の紅葉は見たことがないくらいだ。まるで京都の庭園を見ているような感じだった。今年はダケカンバの黄色や、ナナカマドの紅色がとてもいいようだ。台風のダメージがなく、山は早く秋の空気に入れ替わったため、朝晩の気温が低かったかららしい。 黒岩平で日本海から来たという女性2人組に会う。昨晩は雨のなか栂海山荘までがんばったという。水場の状況を確認すると、白鳥山直下以外は問題なく取れたとのこと。午前10時過ぎに黒岩山頂へ、ここでも中俣新道から来たという単独男性と会う。中俣小屋から3時間で来たとのこと。さすがに栂海新道はそれなりの登山者しかいない。山頂から当面目指す栂海山荘がある犬ヶ岳が見えるが、まだまだ遠い。ここからがアップダウンが続く忍耐の始まりである。紅葉が気分を和ませてくれるのがありがたいが、一番この道が賑わう夏を想像すると…。 サワガニ山山頂で昼食を取る。主稜線の西側に独立する初雪山がとても立派に見える。昼食中に今日の行動を協議。犬ヶ岳まではあと2時間弱、ここまできたらと今日は白鳥山までがんばることとする。サワガニ山頂を出てすぐに単独男性と会う。話をすると今朝日本海を出発?!して、今晩は朝日小屋に泊まるという。トレイルランナーというより、アスリートと言える。世の中すごい人がいるものである。 小ピークをいくつも越えて、しんどい急坂を登って犬ヶ岳山頂へ。今日の宿泊地白鳥山が初めて見えたが、まだあんなに遠いのと言うくらいまだまだ先である。直下にある栂海山荘は、営業小屋ではないが、中は広く、布団も借りることができる。前泊入りしていたサワガニ山岳会の重鎮らしい3名の方と話す。ふたつの小屋と登山道の管理は相当な労力が必要であるらしい。山に入る若者がいないと嘆いていた。田舎も都会も悩みは同じであるようだ。白鳥山まではまだ遠いが頑張れと励まされる。 栂海山荘を過ぎると一気に急坂を下る。疲労が次第にたまってくる。黄蓮山を越えてさらに下ると、ブナの美人林が拡がる黄蓮乗越へ。5分ほど東側に下ると水場がある。ここで白鳥小屋泊のための水を補給、行動用の空いた水筒にプラス予備タンク2.5リットルを加え、正味4s重量アップだ。もう、疲れた体にさらにむち打って行くしかない。乗越にもブナに囲まれた良いテン場もあったが、誘惑を振り払って出発。標高差100mほどの二つのピークを登下降、下駒ヶ岳の固定ロープ垂らす急登は一番きつかった。最後の白鳥山へはまた200mの登りが待っている。もう無心で登りました。 午後4時10分に白鳥山山頂へ。やっと着きました、2人ともヘロヘロです。小屋に入ると予想外に誰もいなかった。我々2名の貸し切りである。小屋に入る前に壁に付けられた階段で2階の屋根に登り、360°の景色を眺める。今朝出発した朝日岳の山稜は霞んでいる。直線距離でも20q、よくきたものだ。眼下の日本海は波まで見える。 日差しで暖まった2階に陣取り、2日間担ぎ続けたプレミアムモルツロング缶で乾杯!糸魚川の夜景と漁り火が今日のがんばりを労ってくれました。 10/13 白鳥山1286m(7:30)〜シキ割(8:20/8:25)→坂田峠610m(8:55/9:05)→ 尻高山677m(9:35/9:40)→入道山(10:25/10:30)→栂海新道登山口90m(11:25)・観光ホテル 荷物デポ)→日本海親不知海岸0m(11:45)→観光ホテルで入浴(13:00)=市振駅(13:13)= 泊駅(13:22)→黒東タクシーP=鴻巣 <天候;快晴> 小屋2階窓から日の出を眺める。なんと贅沢な朝なのだろう。今日は日本海まで下るのも、ゆっくり出発する。白鳥山は上部は緩やかだが、中腹は部分的に急傾斜があり、谷が入り組んで複雑な場所がある。しっかり山スキーも偵察兼ねて地形を観察する。真冬は北西尾根が一番無難なルートかもしれない。この週末の寒波で、標高千m下まで紅葉が始まっていた。シキ割の水で喉を潤し、坂田峠までは急坂をどんどん下る。坂田峠は山周りの旧北陸街道で、海岸沿道が通れない時にはこの峠がバイパスに使われていたらしい。明治時代には橋立村に金山精錬所があり、裕福な土地で芸者街道と呼ばれていたらしい。 峠から40分ほどで展望ない尻高山へ。尻高山から入道山にかけては標高600mそこそこであるが、山頂の平坦地には立派なブナ林が拡がっていた。少し下るとブナと杉が混成する不思議な光景があった。入道山を過ぎると、さぁいよいよ日本海です。快晴の空に真っ青な日本海が近づいて来ました。送電線鉄塔を過ぎて杉林の急坂を下ると栂海新道登山口看板がある国道8号線に出た。一気に俗の世界に飛び出した感じか。道路向かいにある親不知観光ホテルにザックを置いて、観光用の階段を下る。 午前11時45分、ついに着きました、青い青い日本海です。2人で万歳、最高です! 快晴無風なのに、親不知海岸には大きな波が打ち寄せている。脇には岩を削った旧道があるが、あんなところを通るのはまさしく命がけだったに違いない。すごいところだ。 しばし波打ち際で楽しんだあとに、ホテルに戻って風呂に入る。観光ホテルでは一人1500円で入浴と駅まで送迎をしてもらえる。車が富山の泊駅ということで市振駅まで送ってもらった。電車に乗って泊駅へ、閑散とした駅前通りを10分歩くとタクシー駐車場。デポ車回収して、糸魚川IC近くのきときと寿司を食べて帰京する。今年一番という上信越道の渋滞を避けるため、遠回りで関越道to北関東道経由の藪塚ICを使って家路に着いた。 いつかはと思っていた栂海新道を踏破できた。併せて10年に一度という素晴らしい紅葉にもドンピシャで巡り会えて、記憶に残る山行となった。 (宮田記) |
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