熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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斜里岳・ニペソツ・ウペペサンケ


山域山名:東大雪・知床(北海道)
期  日:2010年7月16日(金)〜18日(日)
参 加 者:南雲(単独)

行動記録:
 今回の山行は、予定では、4日で4山と欲張りの計画であるが、主目的は、悪天続きで敗退を重ねていた斜里と、東大雪の名峰ニペソツの山頂を踏むこととした。


16日(斜里岳) <天気:晴れ・曇り>
清岳荘12:10−下二股-上二股-14:30斜里岳14:45-上二股-熊見峠-下二股-16:50清岳荘

 羽田に向かう5時32分発の高崎線が、人身事故ということで、北本に足止め。早朝から飛行機に間に合わないかと昨年に続き焦ったが、ギリギリで事なきを得た。

 女満別空港からレンタカーで一路清岳荘に。ナビにでないことから、昨年に引き続き道を間違え約15分ほどロス。12時10分出発の時には早い人は下山してきていた。登山口の注意書きには、「午後3時までに下山する予定で入山すること」となっているが、天気もよく、日の入りが7時なので入山。

 昨年、増水で徒渉できずに敗退した最初の徒渉点で昨年との様変わりした水量を確認。沢沿いの徒渉を繰り返しだらだら登りを下二俣まで。登山靴で充分とはいえ、微妙な飛び石渡りは、転ぶのではないかとヒヤヒヤする。

 下二俣からは、羽衣の滝など、いくつもの滝に沿いながら登っていく。沢登りというほどのことはないが、なかなか変化があって楽しい登りである。約400mの登りで上二股につく。ガイドブックが「沢筋道は上りに」としてあるので、ここを下ってきた人は一人だけだった。上二俣を過ぎると左上に斜里の山頂方面が見える。カール状の地形を詰めて馬の背に乗り上げると、一気に展望が開ける。ガスが流れているものの、遠くの視界は効く。山頂から摩周湖やクッチャロ湖がそのままに見える。山頂直下で下りてくる1パーティにすれ違ったのが最後で、登山者はおらず、山頂は貸し切り。しばし展望を楽しみ、これまでの敗退続きの斜里の山頂を確認。

 下山は、上二俣から稜線通しのコースを取る。アップダウンがあるし、這い松林に虫は多いのには閉口したが、沢沿いコースとは異なり展望がいい。熊見峠(峠というが、形は稜線上の小さな出っ張り。)で斜里の山頂に最後の挨拶をして、後はひたすら膝を痛めないように気を遣いながら、単調な急坂下りをする。下二俣から清岳荘の間では、数人の登山者を追い超した。午後4時50分下山。すぐに、この日の宿泊場所捜しに入り、糠平温泉のペンションに予約。到着は8時半という非常識な時間ながら、素泊まり客に、奥さんが、快く単品のラーメンを出してくれた。


17日(ニペソツ) <天気:晴れ>
杉の沢出合5:00-天狗のコル-7:40前天狗8:00-9:20ニペソツ10:00-11:05前天狗11:15-12:00天狗のコル12:00-13:10杉の沢出合

 昨年、幌加温泉まで入ったのに、悪天で断念した山である。装備の中に書き出したヘッドランプがないことに宿で気づく。日が長いにしても、もしも暗くなったら行動不能である。4時半過ぎには登山口に。既に10数台が止まっている。さすが人気の山である。

 5時出発。朝方、ぱらぱら雨が降った。約600mの樹林帯の登りの中でも、ガスが湧いており、この時点では展望は期待していなかった。小天狗のピークの南の大岩を巻いて、天狗のコルというテント場へ。雲がかかっているが、明るくなってきた。このあたりから、這い松帯と岩礫帯となる。

 岩礫帯で「チー」というナキウサギの声が聞こえてくる。見ると岩の上で、まるでモアイ像のように空を見上げている。あわてて写真を撮る。その後も、チー、チーいう声を聞きながら、前天狗に。前天狗にて荷物を下ろして地図と磁石で、雲の中に、山頂方面を確認していたが、そうしている内に、雲が飛ばされてニペソツの山頂が見えてきた。予想していたところより、ずっと高くそびえていた。東側がばっさり切れ落ち、針のようにとがっており、本当に格好のいい山である。登高意欲をそそられる。ここからは、70mの下りと登り返しで、天狗岳。そこから150mの下りの後に、約300mの登りで山頂に到達する。アップダウンの繰り返しだが、終始、鋭峰を正面に見ながらの登りであり、楽しい。

 最後の100mは稜線通しの道は困難で、北側斜面にトラバースして回り込み山頂に突き上げる。天候は回復基調。糠平湖、ウペペサンケ。遠く雌阿寒・雄阿寒も見える。大雪方面は雲が湧いているが、昨年登った音更や石狩岳方面が見えてきた。東側はきれいに切れ落ちている。山頂にあまり長居をしない方だが、この時は40分以上のんびりした。だんだん雲が晴れてきたが、いつまで待つわけにも行かないので、下山開始。下山途中に大雪方面の雲が上がってきて、沼の平から、オプタテシケの下半分、旭岳まで見えてきた。石狩岳方面も雲が完全に晴れ、昨年縦走した、ユニ石狩岳から音更岳・石狩岳の稜線が間近に見えた。

 前天狗でニペの山頂に別れて、その後の下りもナキウサギを見つけては写真に撮った。小天狗からは単調な樹林帯の下りにあき、山と関係のない考え事をしながら下っていたら、午後1時に沢の出合についた。幌加温泉で汗をながし、糠平温泉に宿を見つける。昨日のペンションは連休ということで満室。やむなく観光案内所で「糠平温泉ホテル」という宿を紹介してもらう。風呂は良く安いが、古い。登山者がよく利用する宿のようで、地元のNPOが作った東大雪の案内の冊子をもらえた。宿の主人に、「夏のウペペは虫がすごいので対策を」と注意されたが、虫除けは持っていない。「休まなければいいんですね」と答えた。


18日(ウペペサンケ) <天気:雨と風>
登山口6:00-7:10・1399m峰7:25-菅野温泉分岐-9:00糠平富士9:10-9:35菅野温泉分岐9:35-
10:20・1399m峰10:25-11:10登山口

 事前の天気予報は、曇り一時雨。実際は、朝起きると小雨が降っていた。連日の山で疲れているなか、雨の登山は気が重い。登山口まで山道を20分ほど走る。狭い登山口には、誰もいない。宿の人があまり人は入らないといっていたが、本当だ。この時点で、自動車のワイパーを速回ししないといけないほどの雨。樹林帯の木も揺れていた。

 しばし、自動車の中で、登るかどうか思案。気温が低くないこと、稜線までは樹林帯であることから、とりあえず1400mの稜線まで500m登ってみようと出発。当初は快適に登ったが、朝何も腹に入れずに登ったので、最後の100mはバテバテだった。稜線にでると岩があり、そこに座って、とりあえず握り飯を食う。西側から強い風が吹き上げ、這い松が大きく揺れている(この付近では這い松が立ち上がっており這っていない)。

 どうしようかここでも思案。風は続いていたものの、雨が弱まってきたので、いけるところまで行くことにした。この時点でも上半身は下着1枚の上に、雨具のみ。風が強くやや寒い。50mほど樹林帯を下り、250mの登り返しで1600mのピーク。この間、笹が道を覆ってしまい、目で見ても道が分からないことが多い。足で、笹をかき分け道を探りながら進む状態。本州では考えられない道の整備状況である。1600mのピークからは、自分の背くらいある這い松をかき分けるようにして進むこととなるが、標高が高くなるに従い、徐々に這い松の背が低くなってきて助かる。1700mからは、日本アルプスの稜線歩きのような状況に近くなり快適な稜線歩きとなる。その代わり左側の谷から吹き上げる風で体が冷える。

 だらだらした稜線歩きがしばらく続くと最後に150mの急登で、糠平富士につく。台形の山頂の一方の端であり、最高標高は台形の中心部にあるが、地元ではここを山頂としているとのことであり、宿の主人もそういっていたので、この悪天の中、更に進む気にもならず、これで登頂とした。ここでも山は貸し切り。途中誰にも会わないかと思っていたら、下山途中に菅野温泉方面から登ってきた1パーティとすれ違った。この日の入山者は、これで全部。

 下山は、黙々と風に吹かれながら稜線を歩き、最後は稜線からの500mの急な下りを45分程度で下り、登山口に。雨具を脱ごうとすると、自分の周りに沢山の蚊がブンブン舞っている。とても、半袖の素肌を曝す気にもなれず、雨具だけ脱いで、登山靴のまま自動車を運転してその場から避難。糠平温泉にあるスキー場の駐車場で、身を整え、然別湖近くの山田温泉へ。

 翌日の天候を調べたら降水確率60%、大気は不安定ということで、芽室岳は断念し、1日早く帰ることとした。