熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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花と展望の後立山南部周回縦走

アルバム

山域山名:赤沢岳・針ノ木岳・蓮華岳(長野県)
期  日:2011年7月16日(土)〜7月18日(月)
参 加 者:L木村 逸見 高橋武


行動記録:
7/16 熊谷(4:00)=扇沢(7:40/8:00)→柏原新道入口(8:15)→ケルン(9:45)→種池山荘(13:00)
 それなりに早く熊谷を出発したつもりであったが、扇沢に着くと無料駐車場はすでに満杯であった。車の安全のためには上の有料駐車場でもよいのでは、ということで、そちらに車を停め出発した。柏原新道入口まで若干車道を下り、登山口の臨時登山指導所に計画書を提出し登り始める。

 柏原新道は整備されていて歩きやすい道だが、今日は朝から気温が高く、とにかく暑い。最初のモミジ坂の急登でたっぷり汗をかかされる。熱中症にでもなってしまいそうな感じだったので、こまめに休憩を取って水分補給をしながらゆっくり登っていった。暑さのためか雲が湧き始めるのも早く、登路では景色は雲の合間からわずかに望めた程度であった。

 お昼過ぎに種池山荘に到着し、予定では爺ヶ岳まで散歩に出かける計画であったが、ガスで展望が効かないのと暑さによる疲労から、小屋でゆっくりして明日にそなえて英気を養うこととした。小屋の周囲には、コイワカガミ・チングルマ・アオノツガザクラ・キヌガサソウなどのお花畑があった。夕食後の時間にはガスが晴れて、爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳の景色を楽しむことができた。



7/17 種池山荘(5:15)→岩小屋沢岳(7:05/7:15)→新越山荘(7:50/8:00)→鳴沢岳(8:55/9:10)→赤沢岳(10:10/11:00)→スバリ岳(13:15/13:30)→針ノ木岳(14:25/14:50)→針ノ木小屋(15:40)
 4時起床。外に出てみると日の出前なのにかなり暖かい。天気は快晴、今日も暑くなりそうだ。行程に余裕を持たせるため、朝食は弁当にしてもらい前夜の内に受け取っていたので、それを食べる。朝焼けに染まる針ノ木岳と立山連峰を眺めた後出発した。

 出発後10分程進むと、これまでガス・樹林に閉ざされ見えていなかった剱岳が初めて目に飛び込んできて感動する。岩小屋沢岳までは緩やかな登りで、正面には徐々に近づいてくる剱・立山、左手に針ノ木・蓮華、後方には鹿島槍ヶ岳から後立山の稜線を常時眺めながらの稜線漫歩だ。高山植物も前述のものの他、シナノキンバイ・ハクサンチドリ・シラネアオイ・コケモモなど次々現れ楽しませてくれる。新越山荘のある新越乗越付近もなかなかのお花畑で、コバイケイソウの群落が綺麗だった。新越山荘から先は傾斜も増してきて所々岩場も出てくるが、展望に励まされつつ進んで山荘から1時間程で鳴沢岳に到着。ここまでくると間近に迫ってきた剱・立山連峰の眺めがすばらしい。

 赤沢岳へはまた一旦鞍部まで下って登り返す。この頃になると扇沢側はさすがに雲が湧いてきて展望が効かなくなった。赤沢岳までの間も特に歩きにくい所はなく、予定通り山頂に到着。赤沢岳山頂からは、剱・立山に加え、黒部湖を眼下に、その向こうには五色ヶ原や薬師岳、赤牛岳から水晶岳への稜線が眺められ、またまた感動する。この先は道が険しくなるので、少し早いが昼食休憩を兼ねて大休止を取った。

 赤沢岳からの下り始めはガレた岩場で、落石・滑落に注意しながら下る。ここからはこれまでと打って変わって岩稜帯となり、思ったより時間がかかる。このあたりではコマクサの他、タカネバラが咲いていた。鞍部まで下った後の登り返しは標高差250m程あり、疲れが出てくる頃でもあり結構辛かったが、何度か休憩を挟みながらがんばってスバリ岳山頂へ。やっと今山行の主峰といえる針ノ木岳が目の前まで来ました。マヤクボのコルからはカールを覗きこんで、なるほど山スキーにいい斜面だな〜などと思いつつ、ミヤマオダマキやイワベンケイの花に励まされながら、本日最後の登りをがんばって針ノ木岳に到着した。

 山頂では、午後になってさすがにガスに覆われ展望は得られなかったが、小屋までもあと少しであり、ここまで縦走してきた満足感にも浸りながら中休止。針ノ木峠までの下りでは2か所ほど雪田の横断があり、ステップが切ってあるので問題はないものの緊張する箇所であり、慎重に下って針ノ木小屋に到着した。このコースは後半になってから結構アップダウンが激しく、思ったよりタフなコースであった。10時間強の長時間行動お疲れさまでした。小屋前のベンチで景色を眺めながら、本山行核心部の行程の完遂を祝して生ビールで乾杯した。



7/18 針ノ木小屋(5:45)→蓮華岳(6:45/7:40)→針ノ木小屋(8:25/9:00)→雪渓末端(10:25/10:45)→大沢小屋(11:20/11:30)→扇沢(12:10)

 朝食を食べに食堂へ行くと、山小屋にしてはめずらしく朝からテレビが点いているので何だろうと思ったら、やっていたのはサッカー女子W杯決勝のライブ中継。そういえばそうだった。後半終了1−1まで見て、結果は気になるが、とりあえずお茶道具とカメラを持って蓮華岳に散歩に出かけた。高層の雲が出始めていているが今日一日はまだ天気は持ちそうだ。

 小屋からすぐ急登になるが、空荷なので快調に高度を上げる。頂上稜線に出ると初めはチングルマの他、多品種の高山植物のお花畑、山頂に近づくにつれてコマクサの群落が広がり、展望もよく天上の楽園のようであった。蓮華岳山頂からは、これまで辿ってきた稜線から、後立山連峰、立山・剱、槍・穂高、去年辿った船窪の稜線など360°の展望を、お茶を飲みながらゆっくり楽しんだ。1時間程花と景色を満喫して、名残は惜しいが山頂を後にする。下りの途中でなでしこジャパン勝利の報も聞いて気分は最高であった。

 小屋に戻り身支度を整えて、ここからもうひとつの核心部ともいえる雪渓下り。軽アイゼンを用意してきたが、この3日間強い日差しに炙られたせいか雪がかなりグズグズで、アイゼンの効きがいまいち良くない。まだ雪の多いこの時期だと10本爪以上のきちんとしたアイゼンを用意した方が良いのかも知れない。それでも無事雪渓末端まで辿りつきほっと一息。大沢小屋からは去年の山行で教わった作業道経由で扇沢へ下山した。

 3日間とも天候に恵まれ、花と展望を満喫した充実の山行でした。    (木村記)