熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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強雨・強雨・雨・快晴◎〜黒部源流周回 |
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山域山名:北アルプス・雲ノ平、鷲羽岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳(富山県) 期 日:2012年7月20日(金)〜23日(月) 参 加 者:宮田(単独) 行動記録: 7/20 立山駅(6:40)=有峰口駅(6:52/7:13)=折立1350m(8:10/8:40)→ 三角点1870m(9:45/9:50)→太郎平小屋2300m(11:40) <天候:雨のち強雨> ここ数年、梅雨明け後にテント泊で北アルプスの縦走を楽しんでいるが、今年はまだ未踏の「読売新道踏破」と、「雲ノ平でウィスキーをちびちびやりながら夕照の黒部五郎岳をのんびり眺めたくて」、夜の北陸道を富山に向かう。コンビニ駐車場で仮眠し、夜中の雨は上がったが、厚い曇天の立山駅へ。駅前駐車場に車を駐めて、富山地鉄電車に乗って有峰口駅へ、ちょっと歩いたバス停で予約していた折立行き第3便のバスに乗り込む。車内はほぼ満員の登山者を乗せて、登山口の折立へ到着。 バスを出るとしっかりと雨が降っていて、ごった返す休憩所に入って雨具を着る。登りだしから雨とは、気分も滅入るが仕方ない。黙々と蒸し暑い急登を上がる。ザック重量は19s超と、幕営装備一式と食料4日全食分の割にはまずまずの重さにおさまった。三角点手前で富山県警山岳救助隊を抜く。訓練山行のはずが、昨日、高天ヶ原に向かった単独の高齢登山者が行方不明となったので、本番の捜索となったとのこと。ご苦労様です。 五光岩ベンチを過ぎたあたりから、雨はどしゃ降りとなって登山道は川となった。湿原も溢れて木道も水をかぶって、もうどうにもならない状態に。休むことも億劫になって、三角点からノンストップで太郎平小屋へ。1時間ほど待ったが、雨は一向に弱くならず、小屋前の広場も池のようになっている。薬師岳から下りてきた登山者に聞いたら、テン場のある薬師峠上の沢が増水して大変だっと聞く。スマホで雨雲レーダーをチェックしたら、夜中にも強い雨雲が通過する予想だったので、今日の幕営は諦めて、小屋素泊まりとする。ザックから靴、全身すべてがびしょ濡れで、受け付けする前に乾燥室に案内される。 着替えを終えて、ホッとひと息。自炊スペースでビールを飲みながら昼食を取る。雨は降り続いて、薬師沢小屋に向かう薬師沢左俣の橋上まで水があがっているので、通行止めになった。小屋番に聞いたら、通行止めになるほど短時間でこんなに降るのはそうは滅多にないとのこと。幕営を諦めたパーティが、次々と小屋に避難してきた。午後の自炊スペースにはそんな山ヤさん達がたくさん集まって、山談義に花が咲いた。単独からグループ、学生まで、情報交換しながら楽しい時間を過ごせた。みなさん日本中の山々を歩いていて、話題も豊富でした。小屋泊まりのいいところだ。 松戸山の会の人から、「読売新道は今通れないらしいけど?…」と聞いて、小屋番に確認したら、「平の渡しと奥黒部ヒュッテの間が大きく崩壊していて、現在、修復工事中。整備している関電は‘お盆までには修復できる’と言っているが、室堂山荘は‘無理じゃないの’と言っていますよ」とのこと。太郎平小屋の黒板にも読売新道のことはまったく書かれておらず…、水晶小屋や奥黒部ヒュッテのHPも事前にチェックしたが何も告知はなく…、ここで確認できたのは不幸中の幸いか…。目的の読売新道が行けなくなってモチベーションは一気にダウン。さて、天気もよくないし…、この後はどうしようか思案…。車を立山駅に置いてあるので、薬師岳を越えて五色ヶ原から室堂へ抜けるか、雲ノ平から鷲羽岳を登って黒部五郎岳経由で周回するか。結論は、あの美しい五郎のカールを久しぶりに見に行こうと黒部源流周回ルートに決める。 夕方のほんのひととき、雨がやんで山々が姿を見せた。皆、いっせいに小屋を出て写真を撮る。入山前には、明日から天気も回復するとの予報が出ていたが、玄関に張り出された最新の「猪熊さんヤマテン」を見たら、明日も午前中を中心に絶望的な予報に。明後日もすっきりせず、どんどん回復が遅れる予報に変わっていた。日本海に入った寒気が強く、しかも動きが遅く抜けないようだ。昨日、北陸は梅雨明け宣言したはずじゃな〜かった!??と、みんなガックリ…。 下界では大雨警報が出て、被害も出ているようだ。夜はまた屋根をたたくような激しい雨が降り続いた。 7/21 太郎平小屋2300m(10:20)→薬師沢小屋1900m(11:45/雨宿り/12:30)→ 雲ノ平末端(13:40/13:50)→雲ノ平山荘2500m(14:35)→キャンプ地 <天候:強雨のち雨、午後時々止む> 天気は雨。今日は雲ノ平までなので、朝食を食べてからしばらく待機とする。雨は強くなったり弱くなったりを繰り返していたが、この悪天候のなか早朝に出発していく人も結構いた。無線で規定雨量を超えたので有峰林道が通行止めになったとのこと。下山していった登山者は折立で足止めか。下山時に聞いたら、夕方4時半に解除となったらしい。 待機組はまた自炊スペースでうだうだ過ごす。7時半に一斉掃除があるので自炊スペースに人が集まってきて、今日は諦めたと停滞を決めた人も多く、みんなまったりムードだ。暇なので小屋番とGW太郎平周辺の山スキーの話しをしていたら、受付にいたお姉さんは、なんと現役のSAJナショナルデモンストレーターだった。藤田デモの所属は田沢湖スキー場とのこと。太郎平でなぜか秋田駒や月山の話しとなってしまった。 昼には少し時間が早いがラーメンを食べて、出発の準備完了。雨が小降りとなったので、モチベーションは低いが雲ノ平まで行くことにする。停滞組の方々と挨拶して出発。薬師沢の橋は水位も下がって難なく通過して薬師沢小屋へ。着いた途端に、またどしゃ降りとなった。しばらく待ったがやみそうもない。小屋番に聞くと、昨日の午後の黒部本流の水位は今より5mも高く濁流だったらしい。いっしょに雨宿りしていた富山の髭のヒロタさんは「行くわ〜」と先に出発。先に着いていた石巻労山の単独者としばし待機。震災の時は仙台港の精油所で働いていて、コンビナートが流れていく状況やその後に火災が起きたこと、大津波から逃れことや避難所から自宅まで40キロの道のりを一日かけて歩いて帰ったことなどの話しを聞かせていただく。全国の労山の仲間からたくさんの支援をもらって、みんなも本当に感謝していると。 雨はやみそうもないので、自分は出発。豪雨のなかの急登はとてもしんどい。川となった登山道を登る。途中で雨もあがったので、木道に出たところで昨日から着っぱなしだった雨具を脱ぐ。このあとは霧雨が降ったりやんだりで雲ノ平山荘へ。新築した山荘は木の匂いがプンプンする。このまま快適な小屋に素泊まり〜、の誘惑を振り払ってテン場へ。張ってあったテントはたった3張りだけと寂しい。設営途中でまた降ってきた。すべて着替えたあとにビール&ウィスキーを飲んで、濡れた服を乾かす。が、コンロの火ではそうは乾かず。 夕方から気温が下がってダウンを着ても肌寒い。明日は、ラジオの予報では曇りベースで時々雨の予報だった。 7/22 雲ノ平キャンプ場(7:45)→祖父岳2825m(8:45/9:05)→岩苔乗越(9:30/9:40)→ ワリモ岳2888m(10:15/10:20)→鷲羽岳2924m(10:45/11:00)→ 三俣山荘2550m(11:25/12:25)→三俣蓮華岳2841m(13:15/13:25)→ 黒部五郎キャンプ場2350m(14:25) <天候:曇りのち雨> 今朝も小雨。寝袋に入れた衣類も生乾きで気分もしんなりだ。今日の行程もそれほど長くないのでのんびりする。雨が上がったあとにテントを撤収。昔は通れた祖父岳への直登ルートは通行止めで、倍の距離を大きく迂回して祖父岳へ向かう。山頂に着くとガスが切れて黒部五郎や鷲羽、水晶が姿を見せてくれた。暗い気分にも少し明かりが差す。 岩苔乗越で黒部源流の景色を楽しむ。また、この源流域に山スキーで来てみたい。再びガスに覆われた稜線を登ってワリモ岳から鷲羽岳へ。2009年夏の時も雨で今回も展望なし。絶景の鷲羽池越しの槍を見にまた来なければ。三俣山荘に下りる途中でまたまた雨が降ってきた。雨はまた本降りで三俣山荘で雨宿り。昨日雲ノ平山荘に泊まったヒロタさんと会う。雨が降ってきたから、今日はここで泊まりとのこと。もう、槍に行かずに新穂高に下りようかなと。 少し小降りになったので出発。巻道は雪渓で不明瞭らしいので、三俣蓮華岳山頂に向かう。ここも展望なくあとは五郎平にむけて下りるのみ。蒸し暑くなった頃に小屋の屋根が見えた。キャンプの受付を済ますと、太郎平でいっしょだった東京の小林さんパーティとばったり。展望がなかったがお奨めの五郎カールが見たくて、予定を1日延ばして黒部五郎小屋まで来たとのこと。テント設営を済ませて、ストーブで暖かい小屋の談話室でビールをご馳走になる。談話室には、石巻の方と太郎平でいっしょだった鳥に詳しい笹室さんも加わりプチ宴会。みなさんヤマレコメンバーで、記録UPや検索だけでなく、自分が歩いたルートを日本地図に赤いラインで落とせる機能にはまっているとのこと。なるほど〜と納得。またまた楽しい時間を過ごさせていただきました。ちなみに五郎小屋の夕食は天ぷらで、民宿並の料理が出て、とても評判がいいらしいです。 テントに戻って質素な夕食タイム。外はしっかりと雨が降っている。今山行はホントに雨ばかりだ。 7/23 黒部五郎キャンプ場2350m(4:40)→黒部五郎岳2839m(6:50/7:30)→ 中俣乗越(8:25/8:50)→北ノ俣岳2661m(9:50/10:00)→太郎平2300m(11:05/12:00)→ 折立2550m(14:05/15:10)=有峰口駅(15:50/16:55)=立山駅(17:08)=北本 <天候:朝雨のち快晴、午後時々曇り> 起きたら雨。今日もまた雨の中の行動かと諦めモード。雨が小降りなってから撤収する。雨具で出発。歩き始めたら雨はやんだ。カール手前で雨具を脱ぐ。上空が明るくなってきて、青空が見えだした。雲海の中にいて、上部は快晴のようだ。カール中ほどで雲海を抜けて、見上げる空は真っ青!!。4日目にして初めて、まぶしい夏山だ。黒部カールは氷河が作ったまさに天国のような別天地。雪渓、冷たい小沢、満開の花、そして黒部五郎岳の岩壁。この景色は日本で一番お気に入りの場所だ。昨日までの苦労が一気に報われた感じだ。夏のカールを歩くのは高校2年生の時以来だから30年振り。あの時はテントを担いで槍ヶ岳から縦走してきた。確か岩橋崇至氏の北アルプス写真集で、三俣蓮華岳からの美しい黒部五郎岳の写真を見て、このカールを目的に来た記憶がある。いいポイントに立ち止まっては何度も写真を撮る。ここだけはのんびりと歩いた。 カール上部から振り返ると、雲海上に槍穂高連峰が姿を現す。眼下に拡がるカール越しにみる景観は素晴らしいのひと言だ。黒部五郎岳山頂に立つと、剣立山、薬師、水晶、鷲羽、白山までと360°のまさに大展望。山頂でものんびりしよう。カール底を登るパーティが見える。小林さん達も今頃カールで歓声を上げているに違いない。黒部五郎岳山頂には夏に1回、GWには2回来ている。東面の五郎カールと北面のウマ沢を滑っているが、雲ノ平と絡めたルートを探る。いつかはまた来よう。 名残惜しい山頂をあとに急坂を下る。さすがに暑くなってきた。広い中俣乗越で、びっしょ濡れのテントを乾かす。完璧ではないが、これで少しは軽くなったか。赤木岳の登りでは赤木沢源頭を見ながら、美しいナメが連続して美しい沢だったな〜と記憶をたどる。もう8年前のことか。 北ノ俣岳を越えて、冷気で涼しい帯状雪渓を下って太郎平へ。ベンチに座って黒部源流の山々を眺めながら、呑兵うどんとペプシで贅沢なランチを食べる。下山前にいろいろ話しをした藤田潤子デモと小屋番歴10年以上の川野さんと挨拶して折立へ下山。 10名ほどの登山者を乗せた15:10発バスに乗って有峰口駅で下車。えっ?、1時間も電車が来ないことが分かり、何もない駅でやることないので、風情たっぷりの駅舎にテントを干す。これで家で干す手間がなくなった。電車バス登山は、こんな時間がたっぷりあるんだろうな〜と納得。立山駅で車を回収して、立山山麓温泉で汗を流し、いつもの新井PAきときと寿司で満腹になって、無事に家路に着いた。 いろいろとアクシデントや悪天候で予定変更もあったが、たくさんの方と知り合えて、五郎のカールの素晴らしい景色が見れたので、終わってみれば楽しい山旅でした。 |