熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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世界遺産登録元年
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【個人山行記録】 |
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◎山域山名:富士山・富士吉田ルート(山梨県富士吉田市) ◎期日:2013年8月3日(土)〜4日(日) ◎参加者:10人/CL K、会員外9人(SL40代男性、50代男性、40代男性2人、40代女性1人、30代女性2人、小5女児、小2男児) ◎行程 ※―公共交通機関、…歩行/高度は手元の高度計の計測を含むので目安として 【3日】 晴れ 新宿駅西口バスターミナル11:40―〈高速バス/車中で各自昼食〉―河口湖駅13:40〜コインロッカー&コンビニ〜14:10―〈タクシー2台に分乗〉―5合目(2305m)14:50〜〈レストハウスで夕食〉〜15:55…佐藤小屋16:20(2230m)〜ミーティング17:20(15℃)〜就寝18:00 ※行動時間25分 【4日】 晴れ 起床23:45〜朝食0:00〜佐藤小屋発1:15(11℃)…六合目登山指導センター前(2390m)1:55〜2:00…2570m付近2:40…七合目・日の出館(2700m)3:05〜3:15…七合目・東洋館(2875m)4:05〜4:15…八合目・太子館(3000m/日の出/9℃)4:45〜5:15…八合目・白雲荘(3160m)5:45〜6:00…八合目・富士山ホテル(3370m)6:35〜6:48…御来光館(3450m/A隊・B隊分割)7:10…吉田ルート山頂部(3710m)A隊到着8:05/B隊到着8:52〜休憩〜9:40…お鉢巡りで山頂(3776m)10:36…吉田ルート下山口11:00〜11:15…須走口分岐(3270m)12:15〜12:35…下山道公衆トイレ13:25〜13:30…六合目14:00…五合目・先発隊着14:25/後発隊着14:35〜15:00―〈タクシー2台に分乗/1台は河口湖駅で荷物ピックアップ〉―河口湖畔・山岸旅館15:30〜〈温泉入浴〉〜17:00―〈送迎バス〉―ほうとう不動・河口湖駅前店17:15〜〈打ち上げ会〉〜河口湖駅18:40−〈高速バス〉―新宿駅20:30 ※行動時間13時間20分/2日間計13時間45分 世界遺産の登録元年の夏に富士山登山となれば、「大混雑で辟易したのではないか」という問いが返ってきそうだ。しかし、時間帯を適切に選び、入念な準備と対策を重ねれば、そうした混雑とは無縁で、快適な登山も可能であると考えた。実体験がそれを証明してくれた。 パーティーは小学生を含む登山ビギナー中心である。K以外の9人のうち、経験者と言えるのはサブリーダーを務めた40代男性1人のみだ。今春、メンバーの1人が「富士山に登ってみたい」という希望をKに伝えたことを契機に、その仕事仲間が集った。このため、最低1回の練習登山の参加を事実上義務づけた。ただ、メンバー1人の友人として参加した女性1人(しかも札幌から駆けつける)だけは、Kを含むメンバーとは当日が初対面とあって、若干の不安があったのは正直なところだ。 小学生の参加は、6月に1回目の練習登山(大岳山〜日の出山)を実施したとき、メンバーの1人が「奥多摩ぐらいなら」と小5の娘を連れてきたことが始まりだ。難なく歩いていたので、下山後に「富士山にも行けるのではないか」と盛り上がった。 それに自分も刺激を受けた。富士山は想定していなかったが、昨年から奥多摩や尾瀬に息子を数回連れて行っていた。自分自身も昨年から定期的に登っており、体力の復活に自信があった。「いざとなれば、背負って下ろせばいい」と覚悟を決め、息子の同行を決めた。そして、別グループとはその前の週に白馬岳に行くことになったので、「高度順化の前座にしてしまおう」と2週続けて連れて行った。装備はキャラバンのジュニア用トレッキングシューズにモンベルのジュニア用ゴアテックスウエアなどで固め、ザックの中はほぼ空にした。親がしっかりとサポートをすれば、低学年の登山も十分に可能と言える。 富士山のポイントは、高度順化である。歩行上の危険な場所はなく、技術的な難易度は低い。一定の体力があり、高度にさえ慣れれば、誰でも登ることができると考えている。一般的なツアーでは、初日にバスで五合目に入って出発し、3000m付近のすし詰めの山小屋で寝不足に陥り、翌朝ダウン、という失敗例を多く聞く。だからこそ、初日は五合目で寝て高度に慣れ、日付が変わるころから登り始める、というプランを毎回選んでいる。数えると、このパターンでビギナーを富士山に連れて行くのは、学生時代を含めて今回で5回目だ。そして、5回とも全員が山頂部まで(お鉢巡りはカット有り)到達した。成功率100%の黄金プランである。 佐藤小屋は昨年、相部屋予約だったところを「空いているから」と個室に通された。個室の快適さを知ると、成功には1人1000円の追加集金は惜しくないと考え、今回は10人で3部屋を確保した。ただ、それでも2、3人が「ほとんど眠れなかった」と訴えた。子ども2人を含む自分は快眠だった。 4日未明、満点の星空の下を出発。小屋の主人にメンバーが聞いたところ、「この1カ月でも珍しいくらい」の晴天の夜だったようだ。天の川まで見ることができた。メンバーに口うるさく繰り返したのは、「有酸素運動の継続」だった。インドやペルーの高所の経験から、リズムを刻んだ腹式呼吸が有効であると考えている。自分には「吸う」「吸う」「吐く」のリズムが適しているが、練習登山のときからこうした方法を実践してもらった。本番でも、登りながらできる限り呼吸を継続するようにこまめに伝えた。 六合目の指導センター前は、話題となった入山料試験徴収のチェックポイントだった。だが、3日夕方までがその時間帯だったので、我々は払うことはなかった。個人的には徴収に賛成だが、トイレチップでも計1000円ぐらい払っており、徴収した後の使途を行政はよく検討するべきだろう。 六合目、七合目と順調に高度を稼いだ。登山道はほぼ独占状態だった。各小屋の前でも、ごったがえしている、ということはなかった。ご来光はほぼ定刻通りで、今までにない絶景を望むことができた。混雑を避けるポイントは、須走口や下山路と重なる「胸突江戸屋」を素通りすることだろう。 ビギナーが多いこともあって、パルスオキシメーターを会装備からお借りしていた。休憩時にこまめにチェックした。未経験者ほど、血中酸素飽和度が低くなり、息子を含めて一時は80%を切った人もいた。最後の山小屋である御来光館で小学生2人を含む元気な5人をA隊として先発、残りをサブリーダーに任せてB隊としたが、45分差で全員が山頂部に着いた。 心配した札幌の女性は軽い高山病の症状があったので、サブリーダーとともに吉田口側に残し、お鉢巡りに出発した。さらに途中で50代男性が引き返した。彼は出発以来、水分は摂っていたものの、食べ物は胃が受け付けなくなり、行動食を何も口にしていなかった。ゆっくりではあったが、確実に歩いていたのでケアが手薄になっていた。その事実を知ったのは山頂部に着いてからだった。 お鉢巡りでは、静岡側にある簡易郵便局に初めて立ち寄り、富士山マークの消印が付くポストに用意したはがきを投函。息子には、ポストカードになっている登頂証明書を買った。ガスが濃かったが、山頂に着くときにちょうど晴れ、大きな火口が見えた。山頂でも「撮影に大渋滞」ということもなく、最近話題のおもしろい写真(みんなでジャンプしてみる、など)ではしゃぐこともできた。 ただ、この時点で午前10時半を過ぎていたので、早く戻ろうと息子の足を急がせた。すると、「疲れた」と泣き言を連発するので、奮い立たせて背中を押しながら歩かせた。いたって順調だった7歳児にはやはり酷だったのか、待機組と合流して休憩していたら、少しもどしてしまった。 このため、お鉢巡りをキャンセルした2人の荷物をサブリーダーと自分で分担。息子のザックは、そのまま自分のザックにしばりつけて下山に入った。「富士山の下りはとてもつらい」と事前に説明していたことが奏功したのか、全員の気持ちがだれることなく、サクサク下山。山頂部から約2時間で六合目の指導センターにたどり着いた。 五合目からはタクシーで下山。河口湖畔の「山岸旅館」で温泉に入り、駅前の「ほうとう不動」で打ち上げ会を開いた。この旅館は河口湖駅まで無料送迎してくれるのがうれしい。中央道では、予想通り渋滞に巻き込まれたものの、無事に全員が帰路についた。 (記・K) 【参考/パルスオキシメーター記録】 日時 8/3 12:00 8/3 17:15 8/4 0:40 8/4 3:09 8/4 4:10 8/4 5:00 8/4 5:56 8/4 7:10 場所 都内 (バス車中) 5合目 佐藤小屋 5合目 佐藤小屋 7合目 日の出館 7合目 東洋館 8合目 太子館 8合目 白雲荘 8・5合目 御来光館 標高 50 2230 2230 2700 2875 3000 3160 3450 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 心拍 酸素 K 84 94 90 90 78 93 85 92 96 86 102 83 - - - - 小2男 83 97 94 92 103 95 110 82 111 81 115 84 120 80 119 75 SL 87 96 79 85 83 92 109 89 95 81 - - - - - - 50代男 72 95 87 95 83 92 109 87 90 87 95 88 94 81 98 74 30代女 77 96 83 93 83 96 96 98 83 91 - - - - - - 40代男 73 97 80 93 96 93 110 88 118 84 110 77 122 86 112 82 40代男 72 98 96 94 102 88 115 90 108 92 111 87 112 82 118 84 小5女 86 97 95 91 94 98 103 94 122 88 109 93 104 95 111 78 30代女 77 98 98 91 103 95 93 89 110 87 114 84 - - 120 80 40代女 87 96 83 93 108 88 106 91 118 84 120 84 113 83 119 80 |