熊谷トレッキング同人 国内山行記録
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屋久島 宮之浦岳

アルバム  

1 山域山名 屋久島宮之浦岳1936m(鹿児島県)
2 期  日  2014年5月29日(水)〜6月1日(日)
3 目  的  花山行
4 参 加 者 L駒崎 高橋仁 橋本義(3名)

5 行動記録 

5月29日(木)
羽田空港8:20=(ソラシドエア)=鹿児島空港10:05/11:35 =(日本エアコミューター)=屋久島空港12:10=(レンタカー)=宮の浦・昼食と買い物13:00=環境文化村センター14:40=志戸子ガジュマル公園16:00=四季の宿尾の間18:00・入浴夕食宿泊


5月30日(金)
 四季の宿尾の間4:20=(レンタカー)=屋久杉自然館5:30=(タクシー)=紀元杉・朝食6:10/45−淀川登山口7:30−淀川小屋8:15−花之江河9:40−黒味岳往復(分岐から10:30/11:30−投石平・昼食12:10/12:40−安房岳−栗生岳−宮之浦岳14:30−焼野14:50−永田岳16:30−鹿之沢小屋17:20


5月29日(木)<天候:晴れ>

 羽田空港に3人が集合し、荷物を預け、予定の飛行機に乗り込む。予定通り出発した。晴れているので窓から地上の景色が見える。富士山、南アルプス、紀伊半島の山々。室戸岬、足摺岬を経て九州の宮崎市上空で高度を下げ錦江湾を見て鹿児島空港に到着。ここで1時間半ほど待って屋久島空港行きの便に乗り換える。この便の飛行機は双発のプロペラ機で、離陸するとすぐに桜島が左下に見えた。煙を出してその煙が飛行機の方向に立ち上っている。右眼下には開聞岳が見えた。天気もよく無事屋久島空港に着く。荷物受け取り所では私たち以外のグループのリュックもあり登山客も混じっている。

 レンタカーを借り、宮之浦に向かう。道路は2車線で街路樹や植え込みもあり綺麗な島だ。既にアジサイやキョウチクトウも咲いていて埼玉よりも2〜3週間季節が早いかなという感じだ。宮之浦でガスを購入し昼食をとる。昼食は「海舟」でトビウオ唐揚げ定食。屋久島の事前学習をかね、屋久島環境文化村センター訪れた。気候、地質、動物、植物、人々の生活や文化の展示を見た。島の年間降水量は海岸沿いでは4000mmだが中央では8000mmで驚異的である。最後にホールの大スクリーン(10m四方)で屋久島の四季を写した空撮映像を楽しむ。雨量、気温、標高差などが多様な植物を育むことが分かる。

 ガジュマル公園では暖かい地方の森林が保存されている。木々は葉を茂らせ林床は暗い。ガジュマルの木は枝を張り出しそこから根を垂れ下がらせている。

 車で島の東海岸を走り今夜の宿に着く。夕食前の一風呂をすぐ近くの尾の間温泉に浴びに行く。ぬるっとしたお湯がいかにも温泉らしい。地元の入浴客が中心だ。

 夕食は食堂の外のウッドデッキでいただく。ここからは1日に登山予定のモッチョム岳を望める場所で気分も高まる。夕食後明日の登山に備え早めに就寝する。


5月30日(木)<天候:晴れ時々曇り>

宿を4時半前に出る。屋久島は西に位置しているのでこの時間ではまだ暗い。レンタカーで乗り換えの屋久杉自然館に向かう。屋久杉自然館に駐車し、予約しておいたタクシーに乗り換え、淀川登山口に向かう。カーブの多い道路を右に左に曲がり高度を上げていく。尾立峠の荒川登山口方面との分岐からは道路が狭くなる。左右は急な斜面で樹木が繁っている。花も咲いている。アブラギリだという。紀元杉で降車し、朝食を摂る。紀元杉は太さ、高さもすごいが着生植物も多い。ツツジ、フタリシズカ、エゴにににた白い花のハイノキも咲いている。

淀川登山口までは一般車が入れ、20〜30台が駐車している。登山口で用事を済ませ登り始める。森の中、緩い登り下りを繰り返し淀川小屋(無人)につく。ここでは他のグループとも出会う。周辺の樹種は雑木林であるがコナラ、ケヤキ、クヌギの類はない。茶色のヒメシャラの太い幹が目立つ。淀川小屋ではポリタンクでの屎尿運搬をしていた。この小屋の先は自分の排泄物は持ち帰りになるので携帯トイレを持参しなければならない。(2回分500円位)標高を上げるにつれ目当てのシャクナゲが出てくる。シャクナゲのピンク、白の花が目立つ。1500m位からは大きい木々も少なくなりシャクナゲが増える。木々の間から西方に峰が見える。頂上の付近の白い岩が白く豆腐を切ったような様子である。花之江河という日本最南端といわれる高層湿原を横切る。花も植物の緑も目立たない地味な湿原である。黒味岳分岐手前の展望所でシャクナゲの本格的な群落を見て感激する。辺り一面シャクナゲである。黒味岳分岐にリュックを置き1時間の往復で登る。この山もシャクナゲで一杯である。黒味岳の頂上は花崗岩の巨岩が数個連なっている。天気、見晴らし、シャクナゲがそろって最高である。見渡せば投石岳から安房岳、栗生岳が連なる稜線が見え、それぞれの山頂付近はシャクナゲの群落に覆われている。下りて投石平の岩の上で昼食をとる。昼食後宮之浦岳に向かう。すでに標高は1700mなので200mほどの登りである。山頂、稜線の花崗岩の巨石を見ると、お地蔵さんやイースター島のモアイ像に見えたりする。数千万年前こうした花崗岩岩塊がプレートの衝突により溶けたマグマの中で形成されその後隆起したときくと本当にすごいと感じる。

 そして遂に宮之浦岳に到着。風はほとんどなく少しかすんでいるが東西南北の山々が見渡せる。頂上付近は屋久笹に覆われていて、先客の鹿が頂上の笹を食べていた。さらに進んで、焼野まで下り、この分岐から永田岳へと向かう。適度なアップダウンがあり、シャクナゲも沢山咲いている。永田岳を越え、鹿之沢小屋に下る。急坂であるが左右のシャクナゲは色も濃く素晴らしい。小屋手前の林は高さが数bあるが気づけばこれがシャクナゲの群落で上には花が咲いているに違いない。立派な石作りの小屋には先客がいて「どうぞ」と声をかけられたが多少狭そうだ。テントも持参したのでテントを張ることにした。テント場の後ろにも前にも水量豊富な沢が流れていて水には不自由しない。地面には苔が生えていてふわふわしている。近くにもシャクナゲが咲いていてこの花を見ながら夕食をとる。テントは4張である。隣の方と話が弾み、シャクナゲの花付きの良さは十数年ぶり、天気が続いてよいのも十数年ぶり、両方よいのは50〜60年ぶりではないかなどと言っていた。一日の疲れで直ぐに眠りについた。
(以上 橋本義)

                             
5/31(土)晴 鹿之沢から荒川登山口
鹿之沢小屋(5:20)→永田岳分岐(6:40)→焼野三差路(7:00)→宮之浦岳(7:50/8:00)→焼野三差路(8:20)→平石(8:35)→新高塚小屋(10:20/10:25)→高塚小屋(昼食11:25/12:00)→ウイルソン株(13:20/13:35)→大株歩道入口(14:20)→楠川分岐(15:10)→荒川口(16:3017:00)=バス=屋久島自然館=尾の間

4時起床。朝食とテント撤収。今日も天気が良い。昨日下った荒れた道を登り返す。朝陽が刺して来てシャクナゲの花がきれいだ。ローソク岩のシルエットを望み、永田岳を巻いて焼野三叉路に到着。膝が不調の橋本さんは待機して駒崎・高橋は宮之浦岳(西峰)を往復する。
 山頂で地元の人が「5日前に登った時は標柱が1935mだった。数日前に書き直したばかりだ」と話していた。良く見ると1936mの「6」の部分は削って書きなおしてある。国土地理院の標高変更(2001年)を受けてやっと直したらしい。
 朝日に輝くシャクナゲのじゅうたんを楽しみながら橋本さんの待つ三叉路に戻り、高塚小屋に向かう。左に永田岳から北に延びるネマチ、子障子を眺め、右に振り返れば宮之浦岳、翁岳が見える。平石への登り道で雄・雌のヤクシカが笹を食べているし、平石の巨岩の上にはヤクザルが何匹か座っている。ビャクシン岳、第二展望台、坊主岩と巨岩・奇岩の峰々の眺めと、シャクナゲのトンネルを楽しみながら新高塚小屋に到着。ログハウス風の避難小屋だ。
 ヒメシャラの巨木や、大きな屋久杉と朽ちかけた株が次々と現れて高塚小屋に到着。これも新しいモダンな避難小屋だ。土曜日なのに数人しかいない。観光客はこの先の縄文杉で引き返すらしい。広いテラスでゆっくり昼食を済ませて、いよいよ屋久杉の森をぬけてトロッコ道に下る。縄文杉は人が多く柵に囲まれて、ゆっくり観ることも出来ないが、太く艶やかで、デコボコとした幹は悠久の時間を生き抜いた風格を醸し出している。ウイルソン株は、中にもぐって見ることが出来る。想像した以上に広く、その大きさを実感できた。ただ、これが朽ち果てるのは、屋久杉の生きた年月のスパンから見れば時間の問題だろう。
 いくつもの団体に道を譲ってもらって先を急ぐ。大株歩道入口からは平坦なトロッコ道だ。2日間の長丁場山行の仕上げは、楠川分かれ、小杉谷、荒川登山口バス停まで2時間20分のトロッコ道歩きだ。淡々と歩いていると眠気に誘われる。靴が指を締め付けて少し痛む。橋本さんも膝が辛そう。バスの時間もあるし、ひたすら歩くしかない。


6/01(日)晴 モッチョム (本富)岳

宿(5:00) =千尋滝駐車場(5:30/5:45) →万代杉(6:50/7:00) →神山展望台(8:00)→モッチョム岳(8:35/8:55) →P(11:10/12:20) =枕状溶岩(13:55/14:15) 屋久島空港(14:40/15:40発) =鹿児島空港(16:15着/17:55発) =羽田空港(19:35着)

今日も良い天気!橋本さんは大事を取って、屋久島観光に。駒崎・高橋で登ることに。淀川登山口の南に端を発した鯛の川下流にある千尋(せんぴろ)滝を見てから、モッチョム岳登山口に。雑木の登り道を300mほど一気に登り小沢を渡り、ひと登りで万代杉に到着。岩尾根を跨いで根を張り、巨大な幹を誇示している。大きな根元に寄り沿って古代の息吹を感じてみる。
 見通しのない道のトラバースと登りを繰り返すと、枝越しに大きな岩稜が見える。あれがモッチョムか?あんなに遠いのか!・・マップを見て、北西につながる耳岳、割石岳と気付いてホッとする。それではモッチョムは?
 展望台の先に「モッチョム20分」の表示板。が、道はどんどん下り、ヤセ尾根をアップダウン、トラバース。少し不安になる頃にモッチョムの岩峰が見えてきた。ロープで登り詰めた岩塊がモッチョム山頂だ。この間を20分でとは!・・健脚者のコースタイムだ。
 山頂の眺望は抜群で、雲がなければ種子島も良く見えそうだ。眼下には尾の間の街並や海岸線が広がり、泊った宿も見える。狭い頂上の先をロープで下りると、一品法壽大権現(いっぽんほうじゅだいごんげん)の祠がある。
 帰り道で3組6人とすれ違う。山頂以外はあまり展望がない静かな山だ。昼食がわりに食料の残りを平らげてから、田代海岸の枕状溶岩を見て空港へ向かう。



 屋久島の4日間はずっと好天が続き、30年ぶりという見事なシャクナゲを堪能。ヤクシカ、ヤクザルを間近に見て、山々をたっぷりと縦走。おまけのモッチョム岳も思ったより手ごたえあり。南端の百名山・宮之浦岳は仁の58峰目の登頂。  (以上 (高橋仁)