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黒部源流、奥の廊下遡行


山域山名:北アルプス・黒部源流奥の廊下(富山県)
期  日:2015年8月8日(土)〜10日(月)
参 加 者:L栗原昌(記)、栗原聡

行動記録:

8/8 折立1357m(7:25)〜1869m(8:45/:55)〜五光岩ベンチ2180m(10:00/:15)〜
太郎平小屋2328m(10:55/11:35)〜薬師峠2294m(11:55/12:25)〜
薬師岳山荘2693m(13:25/14:25)〜
 初日はAパーティ後続隊と行動を共にする。亀谷ゲートに前夜入して、折立を目指すがそれでも駐車場は満車で路駐の車が数百メートルの列を作っていた。路駐を覚悟したが、少し戻ったところに臨時駐車場の看板発見。ダート路を200mほど進むと数百台は停められそうな広大な広場があった。こんな立派な臨時駐車場があることを初めて知った。これからはここを使おう。
 ちょっとしたトラブルがあって、30分遅れの7時半前に出発。Aパーティはそれより少し送れて出発。夏山最シーズンとあって最初は列を作って登っていたが、徐々にペースの違いが顕著になって、やがて周りには人影が見当たらなくなる。急登が終わる三角点のピーク手前でAパーティが追いつき、三角点にて小休止。その後も順調に進んで、もう一回の小休止を経て11時前には太郎平に到着。目の前に夏山の景色が広がる。
 生ビールで舌をちょっとだけ湿らせて、大休止。少し早めの昼食をとった後、少し先の薬師峠で一旦Aパーティと別れる。我々は今晩の寝床を確保するため、なるべく更地を探すが、今日は1年で最も混雑する日とのこと。それでも時間が早かったため、まあまあの場所にテント設営できた。
 空荷でテン場を出発。ちょうど1時間で薬師沢小屋に到着。先発隊はすでに外のテーブルで宴会中で、後発隊も無事到着していた。我々も混ぜてもらってしばし歓談。体が冷えてきたので1時間程いて山荘を後にする。テン場に戻ると、日差しが強くとてもテントの中には暑くていられないので、外で宴会の続きをやりつつ、夕食の準備をして午後の夏山気分をたっぷり味わう。日が暮れると急に冷えてきたのでテントの中に戻り、明日に備えて早めの就寝。



8/9 薬師峠2294m(5:00)〜薬師沢小屋1912m(7:00/:35)〜赤木沢出合1976m(8:35)〜
2000m(8:45/:55)〜五郎沢出合2057m(9:40)〜祖父沢出合2080m(10:00)〜
2140m(10:25/:40)〜2231m(11:20)〜登山道2400m(12:30/:13:15)〜
岩苔乗越2731m(14:25/:40)〜祖父岳2825m(15:15)〜雲の平山荘2552m(16:30/17:00)〜
雲の平テン場2560m(17:20)
 3時起床。簡単に朝食を済ませ、テントを撤収し5時ちょうどに出発。今日も快晴で、絶好の沢日和で安心する。今日は長丁場だから登山道は少しペースを上げて時間を稼ぐ。太郎平を経て薬師沢小屋に7時着。
 沢装備に着替えて30分後に入渓。水量は平水よりやや多めだが、遡行に支障をきたすほどではない。1箇所だけ胸まで浸かるへつりがあったが、それ以外は問題なく、予定通り1時間後に赤木沢出合を通過する。ここから先は初めて行く場所だが、延々とゴーロ歩きが続く。沢登りというより、河原をただ歩いているようだった。途中登山者二人組とすれ違ったが、おそらく五郎沢から下降してきたのだろう。この沢は黒部五郎から太郎平までのショートカットルートにもなっているようだ。五郎沢出合、祖父沢出合と過ぎても川幅がやや狭くなったくらいで、斜度も水量もほとんど変わらない。さらに1時間ほど進むとようやく正面の展望が開け、鷲羽へ続く稜線が見えてきた。この辺りからちらほら雪渓が見え始めたが、登山道に出る直前の2300m付近には沢を埋めるように残っており、沢床はトンネルになっていた。右岸から簡単に巻くことが出来たが、もっと時期が早ければ通行困難だろう。やがて三俣山荘と雲の平を結ぶ登山道に合流。ここまで入渓から5時間の長いゴーロ歩きだった。
 ここから直接雲の平に行くこともできたが、源頭の最初の一滴を求めて岩苔乗越を目指す。沢は完全に雪渓に覆われて遡行不能だったので、ここで沢装備を解いて並走する登山道を行く。水量はかなり上のほうまで豊富でなかなか枯れてこない。乗越まであと50mというところでようやく線が細くなってきたが沢の本流はワリモ岳へと続いており、結局どこが水源かは判らずじまいだった。
 2時半に岩苔乗越に到着。ようやく今日の目的地にたどり着いた。時間に余裕があればここにデポして鷲羽を往復する予定だったが、それはパスして宿泊地へと急ぐ。祖父岳を経て、急斜面を下りきってテン場まで後10分というところで、まさかの登山道通行止。植生保護のためらしいが、東側のハイマツ帯を切り開いて迂回路が新しく作られていた。30分ほどの残業だったが、予期していなかっただけに疲れた体には堪えた。迂回路はテン場と小屋の中間点に合流していたので、先に小屋に行って受付を済ませることにした。
 小屋は新しくなっており、夏山らしくたくさんの登山客で賑わっていた。木村氏が我々を出迎えてくれて、3人でビールで乾杯。30分ほど居て、暗くなる前にテン場へと戻った。テン場も大賑わいで更地は満席だったが、比較的ましな傾斜地があったのでそこに設営。行動12時間のハードな一日だった。



8/10 雲の平テン場2560m(7:20)〜薬師沢小屋1912m(10:10/:25)〜
太郎沢出合2074m(11:50/12:00)〜太郎平小屋2328m(12:50/13:25)〜1934m(14:40/:55)〜
折立1357m(16:05)
 この日は帰るだけなので、ゆっくりめの起床で7時過ぎに出発。小屋へ向かっていると、小屋方向から来た木村氏と遭遇。彼も今日は黒部五郎小屋なので、ゆっくりで良いらしい。記念写真を撮って氏と別れる。小屋に立ち寄った後は薬師沢小屋まで一気に下る。途中防災ヘリが薬師沢小屋周りを旋回していた。事故か何かあったのだろうか。
 薬師沢小屋で小休止後、昨日来た道を戻るが、疲労がたまっていてさすがにペースダウン。加えて、実は雲の平から折立までは結構距離があって、たっぷり一日の重い工程なのだが、今日は下山だけだからと高をくくっていたので、よけいにつらく感じた。小休止の間隔を少し短めにして、ばてないようにゆっくり歩いた。途中聡子さんのソールが剥がれるアクシデントがあったが、テーピングで応急処置して、下山まで持ってくれた。
 4時過ぎに折立着。天候に恵まれほぼ予定通りに行動できて充実した3日間だった。亀谷温泉で汗を流して、富山市内で寿司を食べ、安房トンネル経由で帰った。(栗原昌記)