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奥秩父主脈縦走

アルバム  

山域山名:奥秩父主脈(雲取山〜甲武信岳〜金峰山)
期  日:2015年9月19日(土)〜23日(祝)
参 加 者:L木村 高橋仁 駒崎

行動記録:
 雲取山から金峰山までの奥秩父主脈縦走路は、一度は通して歩いてみたいと思っていたが、日数が必要なため中々計画出来ずにいた。今回、シルバーウィークの機会に同行者を得て、この長大なルートをトレースすることが出来ました。



9/19 東行田(7:21)=熊谷(7:41)=三峰口(9:09/9:35)=三峰神社(10:30/10:50)
→霧藻ヶ峰(12:30/13:10)→白岩小屋(14:35/14:50)→大ダワ(15:55/16:05)
→雲取山荘(16:30)(テント泊)
<天候:晴から曇>

秩父鉄道の電車に行田、熊谷、寄居から三人が乗り込んで、終点の三峰口へ到着。バスで三峰神社に向かう。車窓から眺める和名倉山が大きい。三峰神社でバスを降りて身支度を整える。楓がほんのりと色着いて秋の気配を感じさせる。予報通り好天が続くことを期待しつつ、4泊5日の長い縦走が始まった。装備と食料の詰まったザックはズッシリと重い。少し登ると奥ノ宮の鳥居があり、入山届けをポストに入れる。雲取山は若い頃に何度か登った事があるので、見覚えのある道だ。霧藻ヶ峰で昼食を取る。眺望は所々が雲に遮られるが、切れ間から両神山が現れた。白岩山手前の小屋は閉鎖され荒廃している。ここで和名倉山を眺めて休む。雲がさらに低く広がってきて、薄いガスの中は夕方のような気分だ。白岩山を越えて、芋ノ木ドッケで長沢背稜への縦走路を左に分けて進むと大ダワに着く。男坂・女坂は、男坂の方を登り雲取山荘に到着する。すでに何張りものテントが張られているが、手頃な平坦地を見つけて設営完了。山荘前のテーブルでビールとワインと焼酎で乾杯して、夕餉の支度にかかる。混雑と云う程でも無く、空いていると云うほどでもない状況だ。小屋が消灯になるのでテントに戻って就寝。



9/20 雲取山荘(5:10)→雲取山(5:40/6:00)→北天のタル(8:30/8:40)→飛竜山(9:15)
→禿岩(9:40/10:00)→将監小屋(12:10/13:05)→将監峠(13:10)→唐松尾山(14:25/14:40)
→笠取山(16:10/16:35)→笠取小屋(17:10)(テント泊)
<天候:晴から曇>

今日は5日間中で一番長い。5時出発。しばらくはヘッドランプを点けて歩く。東の雲が赤く染まって来た。雲取山頂には、全国で三つしか残っていない原三角測点の角錐標柱石(注)がある。雲取の他に新潟県・米山と、2001年に発見された群馬県・赤久縄山の白髭岩にある。米山は6月に見て来たが、赤久縄は5月に登った時に白髭岩まで行かず、原三角点は見ていない。そのうち見に行こうと思っている。(注:明治初期に内務省地理局が大三角測量のために設置した。大三角点標柱石とも言う)

日の出は山でなく雲の中から現れた。予報ほどよい天気にはならない。笹道のアップダウンを繰り返し、踏み跡のショートカットを登って飛竜山頂に出た。樹林で景観もないので、飛竜権現に下って禿岩へ。ここの眺めはなかなかだ。南の大菩薩嶺から、将監、唐松尾、笠取の稜線、北に和名倉山が見渡せるのだが、飛竜権現で4本の道が複雑に交差していたので方向感覚が狂って、木村さんに教えられるまで山座同定が出来なかった。将監小屋で昼食を取る。水が豊富、新しいトイレ、草地の幕営地、峠への登りは防火帯の草原で、明るく気持ちの良いロケーションだ。山の神土で和名倉山への道とトラバース道を分けて、真ん中の稜線の道を進む。さらにアップダウンを繰り返して笠取山頂(東)に出る。少し先の「山梨百名山」の標柱がある西山頂に出る。残念ながらガスが広がり、ここも眺望無し。笠取小屋に向かって下ると、開けた防火帯の中に「源流の道」「小さな分水嶺」の表示があり、荒川・多摩川・富士川(笛吹川)の分水嶺の標石がある。北は二瀬ダムから荒川に注ぎ東京湾、南は小河内ダムから多摩川に注ぎ東京湾、西は広瀬ダムから笛吹川に注ぎ駿河湾へ。いずれも太平洋に流れ出るのだ。日本海に流れる分水嶺はと云うと、まだずっと先の甲武信ヶ岳で日本最長の信濃川(千曲川)が荒川・富士川と水を分けることになる。笠取小屋は小さな小屋だ。外のテーブルで食事をした後、小屋のストーブで温まっていると、鹿が出てきた。半ば餌づけ状態らしく、ライトに照らされても逃げずに動き回っている。(9/19、20高橋仁記)





9/21 笠取小屋(6:20)→雁峠(6:49)→燕山(7:30)→古礼山(8:43)→水晶山(9:12)
→雁坂峠(9:50/10:00)→雁坂嶺(10:40/10:50)→東破風山(11:40/12:25)→西破風山(12:50)
→破風山避難小屋(13:20)→木賊山(14:50)→甲武信小屋(15:10)(小屋泊)
<天候:曇り>
 朝のうち日が差すことがありましたが、今日も縦走路は霧に包まれていました。

朝食、テントの片付け、そして小屋下へ行動用の水を汲みに行き出発。昨日下った道を少し登り返し、雁峠へ向かう。途中使われていないような雁峠山荘を右手に見る。峠は広々とした笹原になっている。ここから一登りすると樹林の燕山。雁坂峠へは笹の尾根道になる。展望のよさそうな古礼山山頂を踏み、縦走路へ戻る。時折色づいた木々が目に入る。次の水晶山は樹林の中、苔むした林を下ると笹原になり雁坂峠に着く。昨日までと違い、ここからは人に良く会うようになる。

 小休止した後、登りつめると、雁坂嶺、ザックをおろして、一息ついて進みます。縞枯れ林を抜けると東破風山、お昼にする。



 ここからはところどころ大きな岩がゴロゴロする稜線歩きになる。林の中の西破風山を過ぎて少し下ると破風山避難小屋、水を汲みに行ってきた人に会うが、水汲みは大変だったようです。ここから登りになり、花崗岩の砂地の賽の河原が現れ、さらに西沢渓谷への分岐を通過し、木賊山、そして甲武信小屋到着。一畳に二人という混み具合でした。夕食のカレーを頂いた後は、徳さん撮影の花、徳さん主演の笛吹川東沢遡行の上映会でした。
(駒崎記)





9/22 甲武信小屋(6:20)→甲武信ヶ岳(6:35/6:50)→毛木平分岐(7:10)→水師(7:25/7:30)
→富士見(8:05/8:10)→両門ノ頭(8:35/9:10)→東梓(9:55/10:05)→国師ノタル(10:40/11:35)
→国師ヶ岳(13:40/13:55)→北奥千丈岳(14:05/15:05)→大弛小屋(15:45)(テント泊)
<天候:晴れ>

 縦走四日目にしてやっと文句のない良いお天気。小屋の周辺の紅葉が朝日に映え綺麗だ。まず、小屋から急登をひと登りで甲武信ヶ岳山頂に着く。何度か来ている山頂だが、やはり景色は素晴らしい。国師ヶ岳への稜線は、これから歩くと思うとこれまでと違った印象で目に映ってくる。雲取山頂以来の富士山も見ることが出来た。

 まだ気温が上がっておらず寒いので、予定より早めに山頂を後にする。急坂を下り毛木平への道を分けると、ここからは私は未踏の部分だ。ほとんどが苔むした針葉樹林の中の道だが、昨日までと違って常に木漏れ日の中を進んで行けるのが嬉しい。腐葉土でふかふかしていて足にも優しい道だ。甲武信から国師の間はあまり歩かれていない縦走路なのではないかと思っていたが、踏み跡は明瞭で迷うような所はほとんど無い。笠取山頂で会ったトレイルランナーが、奥秩父主脈縦走路はトレイルラン的にメジャーなコースだと言っていたので(彼はこのコースを2日(!)で走り抜けるとの事)、そういう影響もあるのだろう。水師、富士見のピークは全く展望が無かったので、休憩もそこそこに先に進む。両門ノ頭に着くと山梨側が大きく開け、行程にも余裕があるので景色を楽しみながら大休止をとる。

 この後はまた樹林の中を進んで行く。展望の無い東梓・2224mピークとアップダウンをこなし、国師ノタルに着いたところで空腹を覚えたので少し早いが昼食休憩をとる。ここから400m程の登りを頑張ると、やがて国師ヶ岳の色付いた稜線が見えてきた。辿りついた山頂は南側が開け、北奥千丈岳の眺めが良い。しばし景色を楽しんだ後、今山行の最高地点、北奥千丈岳へ。こちらは国師ヶ岳にも増して景色が良く、金峰山への稜線、佐久の御座山、天狗山・男山、国師ヶ岳の向こうに甲武信ヶ岳などが眺められた。今日の目的地の大弛峠は眼下に見えているので、お茶を淹れながら1時間あまり、ゆっくりと景色を楽しんだ。

 大弛峠への下山路は一般向けのハイキングコースになっているようで、立派な木製の階段がこれでもかと整備されていた。振り返る北奥千丈岳の西面は午後の光線を受けて紅葉が特に綺麗だった。夢の庭園を過ぎると観光客も大勢現れ、やがて車のエンジン音が賑やかになってくると大弛小屋に到着だ。ここのテント場は樹林の中の中々感じの良いロケーション。賑やかだった峠も観光客が帰ってしまえば後は静かな山ヤの世界だ。明日の朝食を残して食料をすべて調理して最後の晩餐を楽しんだ後、シュラフにもぐりこんだ。



9/23 大弛小屋(6:05)→朝日岳(7:15/7:25)→金峰山(8:30/9:00)→大日岩(10:25/10:35)
→大日小屋(11:00)→富士見平小屋(11:35/11:40)→瑞牆山荘(12:05/12:55)
=増富の湯(13:17/14:47)=韮崎駅(15:45/16:23)=熊谷(19:36)
<天候:晴れ>

 長かった縦走も本日が最終日。テントを畳んで出発する。ザックも初日と比べてとても軽くなった。大弛峠から金峰山への登山道は多くの登山者が歩いているので道幅も広い。朝日峠を過ぎてさらに登っていくと朝日岳の手前で露岩帯に出て展望が開ける。富士山・南アルプス、国師から甲武信への稜線などが眺められる。稜線の一番奥に見えているのは雁坂嶺だろうか、思えばずいぶん遠くまで来たものだ。朝日岳の標柱は壊れていた。西側の露岩からは五丈岩を頂いた金峰山が目の前だ。

ここから一旦下り、鉄山の北面を巻いて登り返すと森林限界を越え金峰山の稜線に出る。稜線からは、前述の他、近くは小川山、瑞牆山、八ヶ岳、遠く中央・北アルプス、御嶽山、浅間山、赤城や日光の山々も見えている。眺望を楽しみながら進んで、ついに最終ピーク、金峰山の山頂に到着した。雲取山からここまで来ることが出来て感無量だ。五丈岩にちょっと登ったりしながら、しばし山頂でのひとときを楽しんだ。

後は下山を残すのみとなった。砂払いの頭までは森林限界上の稜線歩きで、展望を楽しみながら下る。一部鎖場や歩きづらい岩場もあり注意が必要だ。砂払いの頭からは樹林帯になり、雲の下にも入ってしまったので、ひたすらに下る。大日岩は巨大で中々立派な岩塔だ。結構早めのペースで歩いているつもりなのにエアリアのコースタイムより遅れ気味になり、この辺のタイムはシビアに書かれていると思う。近年、営業小屋となり綺麗になった富士見平小屋を過ぎると、瑞牆山荘まではあとわずかだ。結局、後半頑張った甲斐あって、ほぼ予定時間にゴールすることが出来た。山荘では昼食をいただくと共に奥秩父主脈縦走路の踏破を祝して生ビールで乾杯。この一杯はたまらなく旨かった。

この後はバスに乗り、途中増富の湯で5日間の汗を流して韮崎駅へ。満員の特急あずさに揺られながら帰路についた。(9/22、23木村記)