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南アルプス白峰三山縦走

アルバム8/1  8/2


山域山名:南アルプス・北岳、間ノ岳、農鳥岳(山梨県)
期  日:2015年8月1日(土)〜2日(日)
参 加 者:L宮田、木村(計2名)

行動記録:
8/1 北本(22:00)=奈良田(25:00/5:30)=広河原1520m(6:30/7:00)→
大樺沢2000m(8:05/8:10)→二俣2220m(8:35/8:50)→梯子下2700m(9:50/10:10)→
八本歯コル2890m(10:30/10:45)→肩3000m(11:10/11:25)→北岳3193m(11:40/11:55)→
肩3000m(12:05)→北岳山荘2900m(12:40)

<天候:晴れ後霧>

 8月最初の週末、天気も良さそうでどこに行こうか直前まで迷ったが、北岳には2回登っているが白峰三山縦走路は未踏だったので、南アルプス山麓の奈良田に向かった。前夜に北本を出て、圏央道、中央道、中部縦貫道を走り、早川町に入る。奈良田に入るのは初めてだが、想像したよりは道路状況もよく走りやすかった。深夜1時過ぎに奈良田着、車内で仮眠。

 バス出発は午前5時30分だが、バスは5時過ぎに到着したので慌てて列に並ぶ。第2駐車場でも長蛇の列でバスは3台出ましたがほとんどが立って乗車していた。広河原バスターミナルも大賑わい。回りは百名山目白押しなので、この夏も週末ごとにすごいことになったらしい。

 出発準備する人で賑わう広河原山荘から登り出すが、登山道はすでに数珠つなぎとなっていた。しかも相当ペースが遅く、先頭はまったく見えず抜くに抜けない。大人数の団体ツアーが休憩した時にやっと先に行け、あとは個人ばかりだったのでどんどん道を譲られる。何人抜いただろうか。

 バットレスをバックにする二俣の河原も人人人。ここから八本歯のコル直下までは、樹林が1本もない東方に開いた大樺沢沿いのルートとなるので、背後から容赦なく真夏の太陽が照りつける。まさにサウナ地獄のようだ。唯一の慰めは、足下の花と最後のツメにあった雪渓の上を吹いてきた冷風だった。梯子をいくつも登ると八本歯のコルに出た。気温が急激に上がったので、谷のあちらこちらからたくさん積雲が発生し、鳳凰や回りの尾根は雲に包まれようとしていた。

 コルから稜線までは高山植物の宝庫でたくさんの種類の花が群落を作っていた。以前、6月の山開きに合わせてこの斜面に咲くシラネアオイを見に来たを思い出す。稜線にザックはデポして北岳に向かう。東側の野呂川から上昇気流でガスが絶えず沸いているが、3000m稜線は西風に支配され晴れていた。

 快適な岩の稜線を登ると北岳山頂だ。山頂の標識は、昔の標高から1m上がった3193mになっていた。これまで見えなかった甲斐駒が姿を現し、ぐるっと湾曲した野呂川左岸には、仙丈から三峰、塩見まで延々と続く仙塩尾根が見える。この尾根はまだ歩いていないので、山頂で腰を下ろしながら仮想縦走などしてみる。

 コルまで戻り、北岳山荘まではすぐだった。まだ12時を過ぎたばかりで、小屋の中は空いていた。到着順が夕飯の順番になるシステムで、51番1回目16時からと書かれた札を渡される。ひとまず荷物整理をして食堂で乾杯!。外はガスで展望はないので、飲んであとは、昼寝で時間をつぶす。次第に廊下を行き交う人が騒がしくなってきた。3時を過ぎた頃から続々と登山者がやってきて、受付はまたまた大混雑。あの大樺沢の列が登ってきたのだから、しごく当然か。我々は寝具持参だったので適当な隙間(布団置き場)に収まったが、最終的には1枚に2名?で夕食は6回戦?くらいあったようだ。時間があったので、テント泊と小屋泊まりの動きを見ていたが、テン泊登山者の方が、目的地に早く到着している割合が高いようだ。テン場確保、夕飯作りなどいろいろ要因はあるが、山の経験と何よりも体力、その他諸々の判断と総合力が理由だろう。

 16時の夕飯後、外に出るとガスが薄くなり、北岳も霧の隙間から立派な山容が見え隠れする。下界は夕方でも30℃を越えているだろうが、ここアルプス稜線は12℃くらいで、天然クーラーで快適だ。大きな岩の上に大の字になりながら、しばし山を眺め

る。日没間際には、西の方向に寸光が甲府盆地を照らし、その右にはかすかに冨士が浮かんでいた。




8/2 北岳山荘(4:05)→中白根山3055m(4:30/5:05)→間ノ岳3189m(5:40/6:05)→
農鳥小屋2804m(6:45/7:00)→西農鳥岳3050m(7:35/7:50)→農鳥岳3025m(8:20/9:00)→
大門沢下降点2830m(9:15/9:20)→大門沢小屋1720m(11:00/12:00)→
発電所1120m(13:15/13:35)→広河内橋890m(14:40)=奈良田(14:45)
<天候:晴れ後霧、雷雨>

 3時起床、朝飯は自前で一旦外に出なくてはならないので、パッキングを済ませて自炊スペースに向かう。稜線を見上げると、早い登山者はすでに北岳山頂に立っていた。朝食を済ませ、ヘッドライトで4時に山荘を出発し、中白根山に着く頃には明るくなった。すでに多くの登山者が待機していた。ここで日の出を迎えよう。東の地平線には大きな冨士山、この冨士を眺めると日本人でよかったといつも思ってしまう。奥秩父連山の東側から太陽が上がる。仙丈の後ろには北アルプス全山がくっきりと見え、西には月と雲海に浮かぶ中央アルプス。見事な日の出だった。

 中白根山をあとに間ノ岳へ向かう。快適な稜線をたどれば間ノ岳だ。どっしりとした山容と標高も北岳とほとんどかわらず、野呂川と大井川の分水嶺にある間ノ岳は、南アルプスのほぼすべてが眺められて、展望は南アルプス一番だろう。山頂は多くの登山者がいたが、北岳山荘からこの頂きを往復して広河原に戻る登山者が圧倒的に多い。南に連なる尾根は赤味がかかった黒い岩畳みの荒涼とした斜面を下る。雰囲気は赤石岳に似ているか。間ノ岳から農鳥岳稜線も絶景ルートだ。

 40分でオヤジさんが有名な農鳥小屋へ。根はいい人らしい?ので、その姿を見かけたため声を掛けてはみたが、食器洗いに集中?していたのか返事はなかった。午前11時を過ぎて大門沢に向かう登山者が農鳥小屋を通過すると、「モタモタするんじゃない!」とやさしいお言葉をかけてくれるらしいが、健脚者以外は、雷の確立が高くなる午後3時までに大門沢小屋に着かない時間となるので、夏山の鉄則にはなっている。確かに、北岳山荘にも午後6時を過ぎて入ってくる登山者がチラホラいた。夏山は3時までにテン場へ着くが鉄則で(学生時代にたたき込まれた)、昔に比べれば、山小屋入りの時間がかなり遅くなっているも事実。捻挫やケガなどアクシデントがあれば、すぐに暗くなる訳で、北岳山荘でも「やんわり」と注意していた。では一路平安(オヤジの看板)を願って農鳥岳へ向かう。

 西農鳥岳までは急坂のザレ場と直下は細い稜線で高度感があった。西農鳥岳からは稜線南側に付けられた道を辿ると、変わった標識が目立つ農鳥岳山頂だ。眼下にはうねりながら3000m稜線に突き上げる大井川東俣、その東側には平行するように連なる白峰南嶺、いずれもいつかトレースしよう。農鳥岳から大門沢下降点に向かうと、分岐には大きな標識と鐘があった。ガスったら迷いやすいのだろう。ここから野呂川林道までは標高差2000mの大下りだ。

 急坂ではあるが道はしっかり整備されていて快適、ノンストップで大門沢小屋へ。小屋は昔の風情そのまま、途中抜いてきたツアーの団体2組の予約が入っているらしく、今日は布団1枚に2名と書いてあった。高校生のバイトが3人もいて、いい収入源なのだろう。この小屋がなくなったら、白峰三山縦走はかなりの健脚者しか来れなくなってしまう。

 小屋をあとに広河内沢を手製の木橋で渡る。登山道は沢沿いを離れて、樹林帯に付けられた小径風の斜面を下る。しかも落ち葉や腐葉土でクッション性抜群で、懸念した膝痛への負担はなく、意外や快適な下山だった。早川水系発電所を過ぎたら、大きな堰堤工事現場に出た。どれほど堰堤の効果があるか不明だが、昔の渓相の面影はいっさいなくなり、大きな吊り橋も渡る必要がなくなった。

 すると急に雷雨に降られ、工事に合わせて作られた東屋で雨がおさまるまでしばし雨宿り。なかなか止まず、小降りになったところで、広河原から奈良田行きのバスを計算して下りたら、目の前でバスは行ってしまった。定刻より早いじゃないか?〜と停留所のおじさんに言ったみたところで後の祭り。おじさん「言っちゃったね〜」と話していたら、トンネルの向こうからライトが見えて、「臨時便の連絡ないけど来たかもよ?」と待ってみたら、その臨時便でした。ラッキー!!と、林道で雨に濡れて歩かずに奈良田へ到着。天候に恵まれて、大展望を満喫できた白峰三山縦走でした。(宮田記)